その一方で7日から始まる代表質問のすり合わせが始まっています。今回の代表質問のメインは「脱・財政危機宣言をするような状況下での予算編成についての考え方」になりますが、財政危機と言われてもまだピンと来ないという方も多いと思います。
「財政が厳しいのは前から分かっている」という意見がありますが、今回はそういうレベルで済むものではありません。
●今までの予算と今回は決定的に違う
まず認識しなければいけないことは「千葉市は厳しい予算の中で禁じ手を取り続けてきたために本当の意味で逃げる余地がない」ということです。
今までも財政が危機的な状況にある中で何とか予算が組めていたのは、工夫をしたからではなく、市債管理基金からの借り入れという禁じ手を取り続けてきたからに他なりません。
●今までは自転車操業で成り立っていただけ
市債管理基金というのは過去に発行した市債を償還するために定められたルールのもとで積み立てている基金(平成21年予算で約431億)ですが、千葉市はこの市債管理基金から202億円借り入れています。借金返済のために貯めたお金からさらに借りるという、完全な自転車操業でしのいできたわけです。
ちなみに、今年度予算は収支不足が220億円発生しましたが、都合120億円分を市債管理基金からの借り入れで誤魔化したので実質的には100億円分を何とか工夫して予算縮減したことになります。
●今回はその手法を使えない
私は議員時代にこの予算案(平成20年度も)に反対しましたが、それは上記のような禁じ手には限界があり、結局は危機を先送りしただけで状況はさらに悪化することが確実だったからです。
この市債管理基金からの借り入れで確かに単年度の予算は誤魔化せるかもしれません。しかし、自治体の財政運営を縛る財政健全化法の基準である実質公債費比率には確実に効いてきますので、イエローカードである早期健全化団体の指定はますます近づいてきます。
●最悪の時期のために踏ん張るべきだった
しかも、平成21年度に比べ平成22年度の方が景気悪化による税収減の影響をもろに受け、かつ千葉市は過去に大量の借金をしているために年を追うごとに借金返済額が増えていきます。つまり平成21年度に比べれば平成22年度の方がはるかに条件は厳しいわけです。
"市債管理基金からの借り入れ"という禁じ手はむしろ平成22年度や平成23年度に行うべきで、まだ比較的条件がマシな平成21年度はもっと徹底的な事業の見直しで逃げる余地を残しておくべきだったのです。
●危機から目を背けてきた代償は
にも関わらず、事業費を削るだけの小手先の見直しに留まり、本格的な事業の見直し・廃止に着手しませんでした。
結果、来年度の予算編成は逃げ道の殆ど残されていない中で最も税収が減るという最悪の環境での予算編成となりました。このことによってどれだけの市民と職員が犠牲になるか、本当に悔しい思いをしながら今予算編成にあたっています。
●事業仕分け対象事業など見直しの一部に過ぎない
千葉市版事業仕分けとも言われる事務事業評価の外部評価も遅すぎる実施なのです。
正直言って、この事業仕分けの対象は44事業であり、金額にしても仮に外部評価員の指摘を全て反映させて廃止や縮小をしても6、7億円しか削減できません。現実には即廃止とはいかない事業も多いため予算に反映させられる金額はこれよりも少なくなることは確実です。
●事業仕分け以上のカットが必要
収支不足額は270億円ですから、こんなレベルではとても予算は組むことができません。極端なことを言うとこの10倍以上の金額をカットしなければこの千葉市は早期健全化団体に転落するということです。
事業仕分けの対象となった事業を見て「廃止するのはけしからん!」と請願が議会にも出ていますが、仕分けの対象となった44事業はまだマシな方です。来年度予算案にはもっとショックを受けるような事業見直しが並んでいるはずです。また、市民や議会に見える形で議論している分でもマシだと言えます。
●貯まりに貯まったツケを払うことに
本来、一般会計3000億円余りの自治体で270億円も収支不足が発生すれば普通は予算を組めません。こういう経済危機にも対応するために自治体は基金などの貯金を持っているのですが、先ほど述べたようにこの千葉市は貯金をするどころか貯金からも借金をするという禁じ手を取ってきたために、こういう非常事態が起きても収入の中で予算を組まざるをえません。しかもこの数年、経費を一律カットしてきたために単純な経費カットも限界に来ている状況です。
無計画な財政運営の積み重ねによって来年度からしばらくの間、千葉市はのたうち回ることになったのです。
●「脱・財政危機宣言」は遅すぎた宣言
市長選挙において他候補が高齢者のバス・モノレール無料化などの景気の良い公約を掲げる中、私がマニフェストにおいて新たな予算を必要とする事業を殆ど挙げなかったのは、もはや新規事業などと言っているレベルではないことを想定していたからです。
脱・財政危機宣言についても本来であれば4年ほど前に出しておくべきでした。私は議員時代から宣言を出すべきだと訴え続けてきましたが、正直遅きに逸した宣言です。一部には「市長のパフォーマンスだ」とも言われていますが、前任者が出さなければならなかったものを私が遅まきながら出しただけです。4年前に出していればもっと計画的に事業の見直しを行うことができ、市民生活へのショックも幾分軽減化することができたでしょう。
●議会にも苦しい選択を迫ることに
来年度予算は各会派とも苦しい選択を迫られるはずです。
市民生活がある程度犠牲になるため、平時であればとても賛成できる予算ではないでしょう。しかし、この予算を認めない=この廃止・縮小は納得できない、となると借金をして早期健全化団体に転落することを良しとするか、他に見直す事業を探さなければいけません。ただ、先ほど述べたようにこちらから出す予算案はムダどころか本来ムダとは言い切れないものも含めてカットした予算ですから、代わりに削減すべき事業はおそらく見つけることは難しいはずです。
議会もこの財政危機に対して議員報酬も含めた議会経費の縮減に向けた検討に入るようです。ご理解に感謝したいと思います。
●早期健全化団体への転落をどう捉えるか
議会で議論されるべきは「そもそも、そこまで酷い予算にしてまで早期健全化団体への転落を避けるべきなのか」という点ではないかと思っています。
私は早期健全化団体に転落した場合、予算編成がさらに縛られてしまうことや千葉市のイメージが全国的に悪化し、千葉市に新規に住む人が激減するなど、長期的な損失を考えて、やはりそれでも早期健全化団体への転落を防ぐべきだと苦渋の判断をしました。この点は十分に議論されてしかるべきだと思います。
●事業費カット以外の削減手法も工夫
今はとにかく市民生活への影響を極力避けるため、URの土地の買い取りをしばらく遅らせることをお願いして億単位で浮かせたり、外郭団体の金融機関からの借り入れをより利率の低い市債に置き換えるべく国の関係機関に働きかけを行ったり、とにかくあらゆる手法と政治力を使って工夫を重ねています。
●将来の種まきは忘れずに
もちろん、カットカットでは千葉市の活力が削がれます。
徴収率を高めて市税収入を増やすために税務事務所を統合させ、さらに保険料や下水道料金などの一元徴収も実施することにしています。また、中小企業への金融支援のメニューを工夫したり、科学の都構想のもとで産業・観光振興も検討しています。他にも数多く施策を打っていますが、これらの施策が花開くには5年10年という期間が必要です。
●行政は良くも悪くもすぐには変化しない
行政というのは民間と違って、すぐに悪化することがない代わりにすぐに良化することもありません。非常に長いスパンで変化していくものです。
だからこそ非常事態になる前に正しい予測と認識のもとで行政運営がなされるべきで、それを欠いてきた千葉市はそのツケをしばらく払い続けることになります。私はこの厳しい局面で少しでも無駄を省き市民生活への影響を軽減すること、危機を先送りせず将来の希望を優先すること、少ない予算の割り振りをより市民目線の事業に振り分けること、市の組織と体質を改善して風通しを良くすること、などに任期中に取り組むことになります。
●異常な予算を通すことのリスク
今は私は支持率が高いと思いますが、来年度予算が通れば相当批判を受けることになります。それでも誰かがやらなければいけません。功成り名を遂げた人よりは私のような無名の若者の方がその汚れ役には相応しいかもしれません。
何期務めさせて頂けるか分かりませんが、市の財政にある程度目途が立った時点で市民や職員に対して私としてけじめを付けて辞任せざるをえなくなるでしょう。バトンを引き継ぐ次の方に良い環境を残してあげられるように種をたくさん蒔いておきたいと思っています。
個々の案件についての説明だけでなく、全体を見据えた「哲学」が語られる必要があると思います。
それこそが「政治」ではないのでしょうか。
頑張ってください。応援してますから。
けっして己の名声のためではなく、身を賭して困難に立ち向かおうとする市長の姿を子どもたちにしっかり見ていてほしいと思います。彼らが育ちゆく未来には、たくさんの実を結ぶようにと、種をたくさん蒔こうと奮闘する熊谷市長の姿を、子どもたちはしっかり見ていてほしい。
そして、未来を切り開く若い世代が、良き一市民として育ってくれることを願います。
熊谷市長のようなすばらしいリーダーを支えて続ける市民がいる限り、千葉市の未来は明るい、と信じています。
そして、熊谷市長が誕生してから当ブログを見ていて、「やっぱりか」と思いを強くしていました。 また、一月ほど前に、某市議の市政報告会でも「市の財政危機」報告があり、感性の乏しい議員が居ることも聞いていました。
議員であれば、時代の流れを、景気の動向を、市財政の状況を、しっかりと見極めるべきでしょう。
我々でも、借金返済もための借金を重ねれば、行き着く先は【自己破産】しか残されていないことは自明でしょう。
「来年度予算編成がいかに厳しいか」項で"まだ財政危機がピンと来ていない"議員は、具体的氏名は言えませんが、どのようなグループ(会派)に属しているか想像がつきます。
「危機から目を背けてきた代償は」項の、"このことによってどれだけの市民と職員が犠牲になるか"については、非常に興味深く、裏の裏まで読んでしまいました。
各種の情報公開が民主化への王道です。 全市民とは言いませんが、半分以上の市民がついています。へこたれずに勇気を持って!!
市長を信じて難局を乗り切るしかありません。
千葉市の将来に目処を付けるだけでなく、軌道に乗せ立派に一本立ちするまで導くこともけじめの一つと思います。
熱意と行動力を兼ね備えた指導者が千葉市には必要です。
千葉市が活性化すれば、必ずや東京にも良い刺激を与え、更には日本全体の活性化にも繋がるに違いありません。
水やりを未来を担う子ども達に引き継ぐことが,我々大人の役割だと考えています。
私は,子ども達に市長の気概ある姿勢を伝えていきます!
今日も元気に御仕事なさってください。
同時に、これは若い市長一人の肩にあずけて外から声援を送っているだけではすまない問題のように思います。市長が刀折れ矢尽きて早すぎるけじめ・辞任となってしまったら、解決しきれていない問題の結果を背負うのは結局市民です。
「市民が千葉市のために何ができるか」というタウンミーティングのコメントが以下にありましたが、今がまさにその時のようです。財政的に人を増やせない市役所を補い、市長の仕事を少しでも継続的に手助けする市民参加のあり方などは出来ないものでしょうか。市民ワークショップなどで取り上げてほしいと思います。
方々はどういう考えだったんでしょうか。
与党の議員さんに質問してみたいですが与党の
議員さんってブログで意見交換できる人は
いなそうでした。なんででしょうかね。
残念ですね。。。
また、公開回答すると、またとかやく言われるきらいもあるようです。「話に尾ひれを付けられて転載されかねない」。
ここは、メールで丁寧に質問されるのも良いかと思います。若い議員は、丁寧に返事を頂きました。
誤解のないようにするには、会いに来ていただきたい、とのことです。これは同感です。
その上で、次回の選挙は誰に入れるかを再認識することにもなるでしょう。
私も一人で戦っているのではなく変革を願う多くの市民・職員と一緒に戦っていると思っています。今度、市民の皆さまにお願いできることをまとめますのでよろしくお願いいたします。