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2010年12月24日

指定都市市長会:地域主権推進部会の議論

この日は指定都市市長会議のため東京へ。
午前中は千葉市が所属する地域主権推進部会、午後から本会議という流れです。

●一括交付金、実態は非常に危ういもの
地域主権推進部会ではまず国の一括交付金化について協議。
一括交付金という言葉が最近新聞でもよく目にするのでご存知の方も多いかと思いますが、各省庁が個別に地方に出している交付金を一括化し、より地方が自由に使えるものとすることでムダを無くし、かつ地域の実情にあった使途を実現するというものです。来年度から都道府県分が5,000億円ほど導入されると聞いていますが、都道府県と同様の事務を担っている政令市が含まれなかったことは残念です。
また、この一括交付金化の議論の中で、総額を減額するような話も出ており、地域主権改革がいつの間にか国の財政健全化の手段となることは許されることではありません。

●大都市が損をする制度では成長戦略上も問題
さらにはこの一括交付金制度を検討するにあたって「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を参考とするようですが、この交付金では都市よりも農村部が優遇される制度設計(人口の2割以上を占める政令市全体でわずか6.1%)となっており、このままでは大都市を中心に国からの交付金が大幅に削減される危険性があります。
地方交付税を含め国から地方へ配分されるお金の多くがこのような財政調整がなされており、大都市ほど不利になっています。国土の均衡ある発展という旧時代的な考え方の元で、日本全体の経済成長を担うべき大都市を不当に扱ってきたツケが今まさに経済停滞という形で現れていると思います。国に対して都市の実態を具体的に示して要請をしていくことを確認しました。

●出先機関改革は政令市に対する視点が不足
次に国の出先機関改革について協議。
12/16に地域主権戦略会議にてアクションプラン(案)が示されましたが、この内容を見ると移譲にあたっては地方が広域的なブロックを作ることを前提としているなどハードルが高いものとなっているほか、都市への分権という考えがあまり見られない点が問題です。例えば一級河川については政令市内で完結するものがあり、以前から要望しているにも関わらず盛り込まれていません。ほかにもハローワーク業務の移譲も大幅に後退しており、かつ雇用の中心を担う政令市を移譲先として位置づけていないという問題があります。
住民に最も身近な基礎自治体への分権が最終ゴールである以上、その基礎自治体の中で自立できる能力を持つ政令市を分権のモデルケースとしていく考えを是非国は持って頂きたいと思います。

●地方自治法制の抜本的見直しの必要性
次に地域主権型社会に相応しい地方自治法制の確立に向けた検討について協議。
現在の地方自治制度は「箸の上げ下げまで国が指図している」と言われるほど必要以上に細かい規定が書かれており、地方自治体が地域の実情にあった柔軟な対応をしたくともできないケースが多々あります。地域主権時代にそぐわない現行法制度を抜本的に見直すよう、具体的な内容について個別に検討を積み重ね提案を行うことで合意。

●中核市、特例市を巻き込んだ「自立した都市連合」の設立を
私がこの部会で発言したことは「政令市だけの主張では地域主権改革の議論の中で知事会と比べて発言力・影響力ともに乏しい。このままでは都道府県への分権ばかりが先行し、都道府県が焼け太りすることで、むしろ基礎自治体優先の原則から逆行する危険性すらある。もはや政令市という枠組みだけにこだわるのではなく、中核市や特例市など自立できる能力と気概を持つ都市と連携し、都市への分権を強力に主張する連合体を作るべき」ということです。
地方分権がなぜ必要なのか、それは住民に近い行政の方が住民ニーズの把握に優れており、より地域の実情にあった施策が展開できるということ、そして住民に近ければ近いほど住民の監視があり、ムダを省くことができる、という考えがあるはずです。にも関わらず昨今の地方分権の動きを見ていると知事会が地方側の意見の代表例として取り上げられることが多く、これでは国と同じ間接行政体である都道府県が焼け太るだけで真の地域主権改革にはなりえません。
ただ、市側にも問題があり、市長会では大都市から小さな都市まで全てが一つの団体に含まれており、小さな市の中には予算の殆どを地方交付税で賄っているなど、構造的に自立できない市が多く含まれています。そのため市長会の提言などで思い切った分権を主張することは難しい面もあり、結果的に知事会の主張が強くなる傾向があります。そうした私の危機意識から政令市独自の主張も大事ですが、まずは自立できる都市に対する分権を進めることを強力に主張することが必要と考え、提案をし、多くの市長の賛同を得て本会議で提案され、了承されました。

以上で部会は終了。
posted by 熊谷俊人 at 23:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大都市を不当に扱ってきたツケを解決するには、国会議員の一票の格差を是正しない限り無理だと思います
ニュースを見ていると、政党の対立のように見えるが、本当は、「都市選出議員VS地方選出議員」、「ベテラン議員VS若手議員」ではないかと思ってしまいます。
Posted by 田舎者 at 2010年12月25日 13:19
「本会議で提案され、了承」…お疲れ様でした。いつも感じる不安が網羅された日記で素晴らしいです。
特に赤で示して下さった部分に市長の危機感を感じておりますが、非常に鋭いご指摘と果敢な行動力が魅力的で、最高のクリスマスプレゼントですね。
市長が勇気にあふれて闘われている限り、絶対応援しています。でも、本当は私自身も同い年の海老根選手の様な顕著な功績を持ってお役に立てたら嬉しいのにと思っていますが、とりあえず定例記者会見での市長の沢山の笑顔を見られ、千葉市にとっての礎を感じました。
おやすみなさいませ。
Posted by じゅん at 2010年12月25日 22:42
フジTV新報道2001>地域主権の特集でした。
「大阪都構想」で話題を成している橋本知事のご意見に、熊谷市長は如何思われますか?
又、’田舎者’さんの、捉え方も興味深いと思いますが、如何でしょうか?
Posted by 稲毛区:草間 at 2010年12月26日 09:10
中核市、特例市を巻き込んだ「自立した都市連合」の設立。まさに地方自治への流れは、ここから始まりますね。そのためには都市市民が、自立して親方日の丸意識から抜けださないと。自分が変わらないとだめですね。
Posted by 親方日の丸サラリ-マン at 2010年12月27日 12:55
皆さま、ご意見ありがとうございます。

確かに一票の格差は大きいでしょう。
都市に光が当たらないのは農村部出身の議員とのパワーバランスによるところも大きいと思います。私が民主党政権に期待していたのは都市部市民の意見に今までよりは耳を傾けるのでは、という点にありました。
また、世代間の対立もおっしゃるとおりです。市政においても世代間による認識の差は大きいものがあります。

また、大阪都構想ですが、私は賛同できかねます。
確かに都道府県と政令市の二重行政の排除というのは大事ですが、それが政令市の解体という安易な発想につながってはいけません。地方分権とは住民に身近な自治体により権限を委譲することで住民ニーズにあった税金配分が可能になるという思想に基づいているはずです。
つまりは市町村という基礎自治体に権限を委譲することが最終ゴールであるにも関わらず、その権限を弱め、国と同じ間接行政体である都道府県の権限を強めることがあまり意味がないと考えます。
そもそも、都構想を実現するための具体的ステップを考えれば、この構想が実現不可能であることがすぐに分かるかと思います。市を解体し、区に再編するためには行政区割りの変更、職員の自治体間での転籍、府民全ての住所変更、各区議会の設立など、考えれば途方もない手順を踏まねばならず、これに要する府民一人ひとりの手間も凄まじいものがありますし、府のコスト、時間は莫大であり、これは全て税金、つまりは府民のお金が使われます。
本当にここまでしてまで都構想は魅力的でしょうか?ほかに方法はいくらでもあると思います。組織を変えることで変わる気になりますが、これは危険なアイデアです。
Posted by 熊谷俊人 at 2011年01月01日 11:20
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