こちらには元千葉市職員が大船渡市職員として勤務しているため、激励も兼ねて昼食を取りながら色々意見交換をしました。
・大船渡市は死亡者305人、行方不明者155名
・避難所は45ヶ所、避難者数は2295人
・2日前にも地震があり津波警報が出ていたため、市民が慣れてしまっていたのか防災無線への反応が遅れた面がある
・防災協定を結んでいる市の支援が本当に大きな力となっており、特に相模原市は政令市ということもあり、人的にも物的にも大きな支援をしてもらっている
・市長は復興の街づくりビジョンとして高台に住宅を移転させることを打ち出している
・ただ、地元に愛着のある人も多く、また移転の際の土地買い上げをどうするのかなど、大船渡市の独力では実現が難しい点も多い
・大船渡も大きな被害を受けたが、無事な地区も多く、時間はかかるが復旧復興は進めていける
・5月中には仮設住宅に目処がつき、6月には魚市場が復旧する見込み
・それに対して隣の陸前高田市は街が丸ごと無くなっており、復旧復興は容易ではない
・以前、大船渡市と陸前高田市、住田町は合併の話があったが、陸前高田市がまとまらず流れた経緯がある
・陸前高田市が役場機能を失った現状を考えれば合併も一つの選択肢ではないか
この後、5月6日から医療スタッフを派遣する陸前高田市のデイサービスセンターを訪問しましたが、陸前高田市のあまりの被害に言葉を失いました。
現地の方々の「何もない」「丸ごと流された」という言葉のとおり、文字通り殆ど何も残されておらず、この状況からどのように復旧復興が進むのか、正直イメージができない状況です。

被災各市を訪問して見えてくるのは被害状況の違いによる復旧状況の差です。
大船渡市のように市域の一部に被害が留まっている自治体は震災後約2ヶ月が経ち、復旧に向けて少しずつ動き出している様子が分かりますが、陸前高田市のように役場機能を失うなど市域の大部分が被害を受けた自治体はなかなか復旧が進んでいない状況です。
基礎自治体が役場機能を喪失した場合、業務が異なる県では支援に限界があることはもちろん、同じ基礎自治体が支援する場合でも単なる支援レベルでは役場機能を元に戻すことは困難です。
災害復旧の主体は都道府県ですが、市町村が機能して初めて都道府県の機能が成立することが今回明らかになったと思います。だからこそ市町村は基礎自治体と呼ばれているわけです。この基礎である自治体が機能しなければ都道府県も機能せず、都道府県が機能しなければ国も機能しない。だからこそ基礎自治体の機能回復は全ての復旧の大前提でなければなりません。
震災後、私は国会議員などに「被害が甚大な市は周辺自治体と臨時行政体を作らないと復旧復興は進まないのではないか」と提言してきましたが、現地の職員や支援している人たちからも同様の意見を伺いました。
合併して良い理由は以下のとおり。
1、ケセンは歴史的文化的にもともとひとつの地域
2、ケセンは経済的に現在でもひとつの地域
3、2から雇用、教育、生活あらゆる面でケセン3市町の人々は重複している
4、新市政以降のときに、大船渡が独立して単独市制を強行したことでケセンが分裂した。
5、高田の復興が遅れることで苦しむのは大船渡と住田
6、ケセン地方の足並みをそろえた復興が望ましい。
7、高田側に不満があるなら、合併後の主導権は高田側がもっと良い。大船渡は市の名前も役場の人員も高田側に譲って良い。市長も戸羽でかまわない。市議会は対等合併で良い。議長も高田側から出して良い。
住田、大船渡の人間にとって高田は隣の町ではない。
同じ町だ。
苦しみも喜びも分かち合うのが当然。
別々の市政をおこなっている今の状況のほうが異常な状態なのだ。
我々は、大船渡市民でもないし高田市民でもない。日本人ですらない。
ケセン人だ。