ソウル市議会において昨年末、給食無償化条例案が可決され、ソウル市内の小学校592校で学校給食が段階的に無償化されています。2012年からは、中学校でも無償化が始まり、最終的には高校まで無償になるようです。
この条例に対して呉世勲市長は「バラマキ、福祉ポピュリズムだ」として、代替案として所得下位50%の家庭の生徒を対象に2014年度までに段階的に学校給食の無料化を実施する案を提示し、住民投票で市民の判断を仰ぐことになりました。
この条例化を推進している民主党を中心とした勢力は住民投票を成立させないために投票ボイコットを市民に訴え、市長側は投票率が33.3%を超えなければ開票すらできないため投票を呼び掛ける中で、33.3%を下回ったら市長を辞職すると宣言し、結果33.3%を下回り住民投票は不成立、市長は宣言通り辞職表明に至ったということです。
ちなみにソウル市の小中高生約88万人の給食を全面無料化すると年間約4000億ウォン(約280億円)かかり、市には昨年の約11倍の負担となります。
これは実はソウル市だけの話ではなく、民主党が全国レベルで展開している看板施策で、韓国の各市で給食無料化施策がどんどん推進されているようです。
お隣韓国の首都で起きた福祉施策を巡る住民投票の結果は非常に考えさせられます。
日本でも市長選挙で学校給食無料化を訴えるケースはたまに見られます。最近では市川市長選挙において大久保市長が無料化を公約に掲げて当選しましたが、税金投入が10億円以上必要ということもあり、実現には至っていません。
無料は誰でも嬉しいものですから賛成の方が反対より多くなりがちです。
しかし、巨額の税金を要する施策は結局は誰かが負担することになり、今回のケースで言えば子どもを持たない世帯から増税をするか、他の施策をカットしない限り、将来へのツケ回しとなります。その辺りの議論が不十分なままで無料化施策がどんどん進んでいくことを私は危惧しています。
例えば子どもの医療費助成にしても、千葉市も含め多くの自治体が助成しており、自己負担額は300円などとなっています。しかし、東京23区を中心に財政に余裕のある自治体では自己負担額すら無料としているケースもあり、市民から「他市と同様に無料にすべき」というご意見を頂くことがあります。
しかし、自己負担額を無料にするだけで何億円もの追加費用が必要となることを考えれば、最低限の負担はして頂くべきですし、その費用を別の子育て支援に回す方がよほど効果的です。無料によって安易に医者にかかることがあれば、医療費支出が増大し、結果市民負担に転嫁されることにもなりかねません。
財政健全化を進めるためには「どこに予算を使い、どこに予算を使わないのか」を明確に定める必要がありますし、有権者も自分自身でしっかりと考えなければなりません。
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