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2011年11月29日

意思決定スピードと決裁の関係

意思決定スピードを早めるための決裁規定等の見直しについて紹介します。

私が議員になって市役所の決裁文書を見た時に驚いたのは今時ハンコを使っている(民間は普通サイン)ことと、そのハンコの数が非常に多いことです。
今手元に市長決裁文書がありますが、この文書は私のハンコも含めて合計32個も押印されています。

ハンコの問題点についてですが、まずハンコを押すのは事務が煩雑になるほか、各自が朱肉を持っており、大変不経済である点が問題です。
さらに、ハンコは本人が押印したかどうかの確認手段としては不十分な点があります。手彫りで無く、普通の文房具屋で売られているハンコであれば、誰でも入手可能です。また、多くの職員が机の引き出しにハンコを収納しており、代理押印も物理的には可能です。
「そこまで心配しなくても…」という意見もありますが、少なくともサイン(署名)という、一番本人性確認が確実な方法があるにも関わらずハンコにこだわる理由は低いと言えます。

ハンコについては今後サインでも可としますが、これは細かな話で本質的に問題なのはハンコの数です。
なぜここまでハンコの数が多いかと言うと、決裁ラインのハンコだけでも係長⇒課長補佐⇒課長⇒部長⇒局長⇒両副市長⇒市長と8個あり、さらに合議が必要な場合、総務局で担当⇒主査⇒課長補佐⇒課長⇒部長⇒局長などなど、担当者までもがハンコを押しているからです。

決裁規定上は課長・室長以上しか権限がなく、予算については課長以上しか権限はありません。
にも関わらず実際の決裁文書には権限が無い課長補佐や係長、さらには係員までもが押印している状況で、このことが決裁に時間のかかる要因の一つとなっています。ちなみに私が会社員だった頃(私の会社は千葉市役所とほぼ同じ社員数)は社長決裁と言えども決裁欄は10個を超えることは稀でした。
そのためなのか分かりませんが、千葉市役所では決裁文書は起案者が持って決裁を貰っていくスタイルではなく、例えば合議先に決裁を貰う場合は合議先に預けてしまっています。これでは自分の起案した決裁が今どこにあるのかも把握できません。

今では民間はもとより、自治体でも電子決裁の導入が進んでいますが、千葉市でも電子決裁が導入されています。しかし、このような決裁ルールをそのまま電子決裁に当てはめてしまった場合、32人が電子決裁システムを立ち上げボタンを押すことになり、むしろ非効率です。
決裁という意思決定を証拠として残すプロセスは規定以上に増やしてはいけません。

こうした話を市役所にしていた時によく言われたのは「規定は課長以上でも係長や係員がチェックする必要があります」という意見でした。
組織としての意思決定をする上で課長以上しかチェックしないというのはあり得ない話で、当然ラインを通って係員、係長、課長、部長と意思決定が進んでいくわけです。しかし、それと決裁文書のハンコとは本来別の話のはずです。少なくとも千葉市役所では文書のチェックと決裁のハンコがごちゃまぜになっていました。

重要案件では決裁の前に意思決定ラインに紙で説明が行われ、意思決定が事実上行われます。その意思決定を組織として形に残す行為が決裁文書です。
であるならば、残す行為としての決裁は組織で規定されている内容に合わせるべきですし、場合によっては一部簡略化することも可能です。もちろん決裁文書自体に間違いが無いよう注意は必要です。

世の中がとっくの昔にハンコ社会から変わってきているにも関わらず不思議に思わないこと、これだけのハンコの数と決裁の遅さを問題にしてこなかった役所の体質は改めていかなければなりません。また、日々ハンコに慣れ、市民向けの手続きにすらハンコを要求するようなことがあってはいけません。
少なくともこれを読んでいる市職員は自ら問題提起をする職員であって欲しいと思います。

市長選挙のマニフェストにもこの部分の改革を掲載していますし、人事課を中心に色々と検討を重ねてくれていて、既に今年度から合議先の見直しや下位職への権限移譲など改善をしていますが、さらに見直しを進めます。冒頭に紹介した32個のハンコも12個に減ります。

また、もう一つ決裁絡みで問題があります。
それは電子決裁率が30%程度にとどまっている点です。

電子決裁は文書のアーカイブ化が可能であり、検索容易性や流用性に優れているほか、ペーパーレス化にも寄与しますが、千葉市では添付文書があるものはパソコン画面内で閲覧が難しいなどの観点から電子決裁は一部に限定されています。
しかし、先ほど申し上げたように意思決定と決裁文書は分離して考えるべきであり、既に意思決定を紙で行っているものであれば仮に添付文書が膨大であったとしても電子決裁システム上で決裁が可能なはずです。ペーパーレス化のことを考えれば、逆に添付文書が多いものほど良いわけですから、この考え方では電子決裁を導入する意味がありません。

今後そうした観点から電子決裁の拡大について議論を進めていきます。
ただし、設計図のように紙ベースでしか資料が無く、電子ファイル化するために手間が必要なものについては分けて考える必要があります。

ちなみに市役所の出勤簿・旅行命令簿などは未だに毎日ハンコを押す形式です。タイムカードですらありません。
私は最初にそれを見た時「何十年前のオフィスに来たんだろう」と思いました。これを処理する庶務の稼動を考えると何ともったいないことかと思います。電子化と業務効率化という観点では民間と比べ10年以上、他の役所と比べても5年は遅れています。

ただ、市役所のフォローをしておくと、こうした電子化には最初にそれなりの費用が必要です。上層部が電子化に理解のある人間で無ければ下が企画しても通りません。千葉市は住民系システムも政令市で一番遅れていますので歴代トップの理解が無かったということに尽きると思います。
今、様々な分野で電子化を進めるよう指示していますし、業務改善の意識が高い部署は業務効率化のためシステム化を進めています。何でもシステム化すれば良いものではありませんが、業務改善によって数年でコストが回収できるものであればどんどんシステム化すべきです。
posted by 熊谷俊人 at 18:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 市役所改革、行政刷新 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
電子決済良いですね。

ハンコ稟議書だと、気に入らない書類を長時間放置したりする中間管理職が居ます。一定の時間が来たら機械的に次に回すこと、未決済滞留時間の記録を残して、決済の遅い管理職を明確にすることができます。
Posted by 村山和彦 at 2011年11月29日 21:32
もう一つ電子決済の長所は、稟議内容のマイルストーンのタイミングに、市長室から、稟議書の最初のサインをした当事者に、実行したかどうかのチェックを、忘れないですることができます。

指示命令は上から順に、確認はトップから直接末端にするのがビジネスの常道と心得ています。
Posted by 村山和彦 at 2011年11月29日 21:40
このコメントは公開していただく必要はありません。本来は「市長への手紙」に書くべき事項かもしれませんが、今回の内容を読んでこちらに書き込んでしまいました。
私は社会福祉協議会に雇用されて「子どもルーム」に勤務しています。
一般の会社勤務の経験がある者としては全ての事務処理が時代遅れと感じられています。
行事開催の申請書を出しても決済が中々降りません。きっといくつもの印鑑が必要なのでしょう。
他にも勤務シフトは全て手書きで印鑑を押し、月末にFAXで全員分(個票です)を送付します。その時はFAXが込み合いなかなか送れません。
タイムレコーダーを導入すれば手計算をする事無く、簡単に確実に勤務時間と給料計算が出来ます。
他にも首をかしげるような運営方法が見受けられます。
お忙しいでしょうが、市役所だけでなく、社会福祉協議会などの千葉市関連の団体にも
目を向けて改革・刷新をお願い致します。
Posted by 子どもルーム職員 at 2011年11月29日 22:33
幕張のIT技術を市が長年活用していなかった事実(特にタイムカード)に驚きました。電子化賛成ですが、データのバックアップ(災害時)を他自治体に委ねることになると思います。モバイル端末で出張中、休暇中に急ぎの稟議処理できるのは魅力的です。
今後中途採用枠(民間出身)を増やし、昇進試験(IT、外国語、ボランティア活動)を課すことも必要かと思います。年俸制導入は、職員のモチベーションを上げて事なかれ主義を改善できるでしょうか?



Posted by 市民 at 2011年11月30日 09:07
公文書法が4月から施行されています。この記事から文章管理がどうなっているか心配されます。山のような書類が文章箱に入って倉庫に埃まみれになって保管されていることが想像されます。法定期限が来ているものそうでないもの分別されていますか。有料倉庫になど放置されていませんか。廃棄は適切にされていますか。証跡は残っていますか?倉庫にいれると後は知らんぷりということは他の組織でも結構あることです。もし千葉市役所が被災しても個人情報は安全な離れた所に控えを保管しておく必要は東北震災から容易に考えられると思います。
Posted by 文書管理命 at 2011年12月01日 12:10
IT化技術の進歩とコストの下げ幅は凄いです。同時にデータの大量流出で日本よりIT化の進んでいる韓国で大問題になっています。またハッカーの攻撃で簡単にセキュリティーが突破され機密情報漏洩が新聞紙上を賑わしています。ISOとかいろいろありますが、市役所職員のモラルも大事です。現場に市長自ら足を運びミーティングなどでコミュニケーションをとる必要もあります。(既に実行されていると思いますが。)成果主義は足の引っ張り合いになり自分さえ良ければという風潮になりがちです。日本の和を大事にする良さを千葉市役所で具現化して下さい。
Posted by 以和尊し… at 2011年12月01日 12:46
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