私たちは都市計画で市内のそれぞれの地域の用途を定めていて、例えば第一種or第二種低層住居専用地域では建物の高さが10mと制限されているので高層マンションは建てられないわけですが、それ以外の住居地域では建ぺい率や容積率、斜線規制などで、ある程度制限をかけているものの、敷地をうまく活用することで高層マンションを建てることは可能です。
また、隣接地が商業地域や工業地域の場合、高層マンションが建つこともあり、近年高層マンション建築を巡る周辺住民とのトラブルが全国的にも増えている傾向にあります。
こうしたトラブルを解決するため、「千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」という条例が以前から存在し、建設計画が出されると周辺の住民に建築主が説明し、開発内容について調整することになっています。この条例には市による「あっせん」、学識経験者による「調停」も規定されていますが、法律に基づいて建築されている以上、建築自体を禁止することはできません。
他にも地域住民が自ら「ここには高層マンションは建てられないようにしよう」と思えば、地区計画というものを策定して、都市計画の手続きを経て市が高さを制限することも可能です。
私たちも「やってみようよ まちづくり支援制度」というものを設けて、専門的知識を有する「まちづくりアドバイザー」を派遣することで地区計画作りを支援したりしていますが、地域の合意形成には時間と労力は必要です。
そこで、市全域に対してある程度の高さを制限する「最高高さ制限の導入」を検討してきました。
全国で既に約130都市(政令市では19市中11市)が制限しています。県内では平成21年に船橋市が制限しており、少しずつ増えてきている状況です。
他市の状況も参考にした上で住宅系の用途地域について国道14号と357号を境界線として、それより内陸側は20m以下、それより臨海側は31m以下とする制限の検討案を平成22年9月に公表しました。
市民意見は賛否両論あり、反対意見としては、
・これまで建てられた高さの建物が建てられなくなり、経済や景気に悪影響をもたらす
・マンションが老朽化しており建替えを検討しているのに床が作れなくなり収入が確保できず、建て替えができなくなる
・土地が安く評価されるようになり、財産権の侵害である
賛成意見としては、
・生活環境を守るため早期に制限すべきである
・より詳細な制限を行うべきである
というような内容でした。また、議会からも様々なご意見を頂いています。
これらの意見を踏まえて見直し案を作成し、再度市民意見を募集しているところです。
修正の内容は、
・既に制限高さを超えている建物は最初の建て替えに限り、敷地面積が小さくならない等の要件に合えば、現状の高さまでの建替えを認める
・分譲マンションの再生を支援するため、特例措置として、既存の分譲マンションを再生する場合は、敷地が5,000m2以上等の要件に合えば、最高高さの制限の対象としない
というものです。
私たちもマンション・団地再生というのは喫緊の課題と認識しており、再生にあたっての合意形成に必要な費用を補助する制度も平成22年度から設けました。高さ制限は再生を妨げることのないよう配慮した制度設計を考えています。
詳しい解説は幹部メッセージにある徳永副市長の12/1の記事「千葉市の建物の高さ (「最高高さ制限」と「マンション再生」)」が一番分かりやすいのでご覧ください。
自分たちの住む地域についてこの機会にお考え頂き、ご意見を頂ければ幸いですし、12/11には中央コミュニティセンターで説明会も開催しますのでお越し頂ければと思います。
私がこの間マンション紛争等を見てきて思うのは、自分の住む地域がどういう地区で、どういう建物が建てられる可能性があるのか、ということについて市民の方々はより関心を持った方が良いと感じます。
市民の皆さまからすれば「突如近くに高層マンションが建つのは困る」というケースがあるでしょうが、都市計画等を見れば本当はある程度予測はできます。また、ご自身は高層マンションに住んでいるのに隣に高層マンションが建つにあたって反対する方もいらっしゃいますが、自分は良くて周りはダメという理屈は通りません。
面倒なことではありますが、自分の住む場所ですから、できれば関心を払って頂く方がトラブルを未然に防ぐためにも必要なことだと思います。
地目の変更が、住民が9割の合意を得て可能なのであれば、住民に苦労を押し付けるのではなく、業者側が「空き地」から「必要な地目」へ変更することについて同意を求めるようにさせてもいいはずです。
そうすることで、「周囲の合意を保証します」という安心感の付加価値が出来ると考えていいし、この考えを広めてもいいと思うんですけどね。
追々、出しておきましょう。
現在千葉市が検討されている高度地区の見直しは、住環境維持のために
ぜひとも実施されるべき施策であり、市の担当部局におかれては、一部
の利権を代表した反対意見に屈することなく、早急に施行にこぎ付けて
いただきたいと思います。
私は、建築の専門家ではありませんが、1989年から1991年まで仕事で欧
州オーストリアに住み、欧州各国の町並みを見てまいりました。どの街
もそれぞれに個性的なスタイルですが、どこも一定のスタイルに統一さ
れており、そこに住む市民は一様にその様式に誇りを持っておりました。
Baupolizei(建物警察)という機関があり、商業施設はもちろんのこと、
一般の住宅も新築、建て替えには申請が必要です。Baupolizei は基準を
満足しない建築物に対して、設計変更や建て替えを命じることができま
す。建築基準は、高さ制限はもちろん、窓の位置、大きさ、屋根の色・
形など細かく決められています。当然、市民の生活に枠をはめるもので
あり、面倒な手続きも必要となりますが、それによって、美しい町並み
を維持できていることに満足し、制約を当然のこととして受け入れてい
ます。欧州には、街をひとつのアートとしてとらえ市民共有の財産と考
える伝統があります。
日本では、一般に住居を機能の側面からのみとらえ、そこに芸術的価値
を見出す文化が芽生えていないので、欧州ほど強い制約を掛けるのはむ
ずかしいかも知れません。しかし、成熟した先進社会としてそろそろ住
居にも最低限の制約を設けることを始めてもよいと思います。
その意味で、遅まきながら現在千葉市が検討されている高さ制限の導入
は画期的だと思います。この千葉市の動きはまさに住民の9割以上を占め
る低層階住宅の住民を代表するものであり、個別に尋ねれば当然賛成す
ること必定の見直し案です。当初案では、既存のマンションを建て替え
る際の制約となり、財産権の侵害の危険がありました。しかし、その後
の修正の結果、同じ高さの建て替えは可能となり、住環境が改善される
と認定された場合も特例として高さ制限を越えることができるようにな
りました。ここまで緩和されてもなお反対をしているのは、もはや既存
マンションの住民ではありえません。その衣を借りた何か別の団体とし
か考えられません。
それにしても、本件に関する自民党系市議会議員の動きは破廉恥極まり
ないものです。市が提示した特例による緩和措置をまったく評価せず、
あいかわらず財産権の侵害を理由に反対しているのは理解に苦しみます。
東日本大震災で高まった防災意識に付込み、津波対策に高層マンション
が有効だとの発言に至っては、もう暴言としか言いようがありません。
市は、これらごく一部の利益団体の意見に屈することなく、意思を強く
して高度地区の見直しに向かっていただきたい。逆に 20m、31m ではま
だ高すぎる、との意見もありますが、これまで中高層住居専用地域に
課せられていた制限の緩さを考えると、妥当な線といえるのかもしれま
せん。
パブリックコメントは、とかく反対する者が多くの意見を寄せるもの
ですが、意見を上げないその他大多数は賛成しているのだということ
を意識され、早急な計画見直しの実施をお願いいたします。
・私権訴訟は全くない
のだそうです。また、修繕すれば長く住める=京都に住み続けられる価値に気付いて、
・長期修繕計画を進める所も出てきた
その他に、金儲け業者が遠慮するようになり、
・良質な計画が残り、良いまちづくりが進められる
とのことです。もちろん、市の職員が百人規模で不動産を説得に当たったということも大きいとのことです。