美浜区一帯を案内したほか、被害の大きかった磯辺地区を紹介しました。
磯辺地区では液状化により宅地が傾斜したり、沈み込むなど大きな被害を受けました。現在道路については本復旧工事中ですが、道路と宅地の高さ問題が発生しています。
ある生活道路では地盤沈下した片側の宅地一帯とともに隣接部が大きく沈み込んでいます。本復旧するにあたって元の高さに戻すわけですが、そうなると沈み込んだ宅地と道路に大きな段差が生じ、宅地側で道路隣接部に手を入れないと車庫から車が出せないなどの問題が生じます。
この問題は震災直後から市内部では認識しており、建設局では色々な方法を検討しましたが、やはり元の高さに復旧するしかないとの結論に達しています。
「沈み込んだ宅地に合わせて道路自体を低くすればいいじゃない」という意見もありますが、そうすると逆に沈み込んでいない宅地が困ってしまうことになり、そのような対応は不可能です。また、その部分だけ低くしても周りの道路との不整合が発生しますから、やはり不可能です。
参議院議員からは「沈み込んだ側に傾斜させては?」「でこぼこにしては?」という話が出ましたが、道路は水平で無ければ危険道路になりますので、そもそも法的に不可能です。
私たちは道路の本復旧工事にあたっては隣接宅地全てに復旧後の高さについて説明をし、一部の方を除いて多くの方々にはご理解を頂いています。
ご理解頂けない方々のお気持ちも痛いほど分かりますので、心苦しい思いはありますが、私たちは上記のとおり元の高さで本復旧工事を進めています。
こうした問題を解決するには、国の3次補正予算で盛り込まれ、市で検討を進めている道路と宅地の一体的整備しかありません。
しかし、この制度では個人負担は軽くできるものの、ある程度は個人負担が生じるため全ての住民の合意を得ることが非常に困難です。参議院議員の方々には、もっと国の事業を使いやすくして欲しいということを訴えました。
今後も様々な機会を捉えて国に対して制度改善を訴えていきたいと思います。
私たちの住宅はこの戸建て地区に隣接している築30年以上の建物ですが、堅固に作られていたため幸いにも大きな被害は免れました。ただ、それはうわべだけの問題です。地下(下水管・雨水管)は、戸建て地区と同様にズタズタになっていると思われます。実際、汚水桝には汚物が浮いている箇所があります。歩道も車道も波打っている箇所があります。そういう状況にもかかわらず、特に埋設管をはじめ、集合住宅については何の支援もありません。
このような状況で集合住宅に住む人間のライフランは守られるのでしょうか。暖かくなれば、臭気や蚊の大量発生、ひいては感染症の発生など健康被害も懸念されます。
美浜区には多くの集合住宅が存在します。戸建てだけではなく、集合住宅に住む住民の生活に潜む危険に対しても、ぜひとも目を向けていただきたいと思います。