北総中央用水土地改良事業とは、千葉県北部に広がる県下有数の農業地帯である北総台地にあって、千葉市、成田市、佐倉市、東金市、八街市、富里市、山武市の7市にまたがる3,267haの農地を対象に、利根川河口堰及び霞ヶ浦開発を水源に地区内に導・配水する事業です。
詳しくは国の関東農政局のページをご覧ください。
3,267haのうち、千葉市も200haが対象となっているわけですが、工事着工から20年以上が経過しており、当初想定していたほどの利用ニーズが無く、地域に利用を促すため所管が説明して回っているような状況です。
こういう事例は全国的に散見されるわけですが、市も4億円を負担しており、さらに国営事業完了後はその水源を利用しようとしまいと自動的に200ha分1000万円を毎年払うこととなっているため、このままでは市民に顔向けができません。
計画区域における利用があまり見込めない一方、平川地区の水田地域で、この用水を使いたいという意向があることが分かりました(現在は地下水を使用)。水田は畑よりも何倍も水を多く使うため、行き場のない水の活用先としては大いに意味があります。
2年前に報告を受けた時に「なら使えばいいじゃない」と言ったところ、「当初の区域ではないので難しいです」という所管の答えでした。国営受益地への編入は法手続きが必要とのことで、そこで検討が止まっていた次第です。
水は余っているにも関わらず、水を必要とする場所に給水できないというのはあまりに硬直的であり、いくらなんでもおかしいのではないかと、どうにも納得できませんでした。
そこで、面識のある農水政務官にこの件について要望してみたところ、「そのケースであれば水田に活用できるのではないか」との回答をもらい、国・県と具体的な協議を進めることになりました。
その後、所管が所定の手続きを一つずつ踏み、晴れて先月、法手続き上の計画変更をせずに受益地に編入できるとの趣旨の文書が国から正式に示され、これから具体的な計画を策定し、利用者の同意確認などを行うことができるようになりました。
この地区に水を引くために市も10%負担をすることになりますが、使わないの水にお金を払い続けるよりはよほどマシな結論だと思います。
市長就任後、市水道局の霞ヶ浦導水事業など、当初の見込みと実態がずれ、市の負担金が結果的に無駄になりかねないケースが散見されています。
社会経済情勢の変化などの要因もあり、過去の市の判断が間違っていたと断じるつもりはありませんが、市民の税金を無駄にしないよう、あらゆる手段を検討する必要があります。
私たちは現場の行政を預かっている以上、国や県と比べても一番現実に即した行政処理を追及できる立場にあります。国や県が絡む話でも諦めずにアタックすることが大事です。もちろん、アタックしたからといって何でも解決できるわけではありませんが。