地方自治体側が求めてきた地方分権改革によって、地方自治体側がどのように自主性を発揮していくのか、今回の一括法への対応はまさにそこが焦点です。
特別養護老人ホームや公園など様々な施設の基準などについて、今までは国が基準を定め、地方自治体側には裁量の余地がありませんでした。そこで、「全国一律はおかしい。地域ごとの特性や事情に応じて地方側が柔軟に基準等を定めることができるようにするべきだ」という声が上がり、地域主権一括法によって一部地方自治体側が独自に基準を定めることができるようになりました。
しかし、当初、各所管から出てきた案は一部を除いて殆どが従来から国が法律で定めていた基準と同じ内容でした。「これでは地域主権一括法の意味がないし、本当に実態と合っているのか」という議論となり、他自治体の状況も参考にしながら、一つひとつ独自基準の必要性を検証しました。
その結果、いくつか国基準と違う内容を盛り込むことになりましたので、一部ご紹介します。
・福祉関係の施設全般に、災害時に備え物資の確保をするよう努力基準を追加
・福祉関係の事業や施設の申請法人の役員に暴力団員が含まれる場合は指定をしない
・介護関係の施設の廊下の広さを少し緩和、看護職員室と介護職員室を同一の場所でも可とする(支障が無い場合に限る)
・特別養護老人ホームと地域密着型サービス事業の居室定員を国基準1人⇒4人以下に
・保育所の乳児室の面積を乳児・2歳未満児1人につき国基準1.65uを3.3uと引き上げるなど、質の向上を図る基準を
・市営住宅の入居資格を国基準の小学校就学前から小学校卒業までの児童がいる世代まで拡大
・公園に建てる施設の建ぺい率を国基準2%以下から、大規模公園など一部は5%以下まで緩和
施設の実態を見て緩和しても支障が無いものは緩和、逆に保育所のように国基準を上回る基準を設定しているものもあります。なお、保育所は現在もこの基準で運用しています。
また、公園については今まで一律2%以下しか施設が作れませんでしたが、大規模公園や中央公園などは集客が見込める施設などを作ることによって賑わいを作ったり、公園の利用者を増やす効果が期待できることから基準を緩和することとしています。
今後も他市の先進事例なども研究しながら、現場に合った基準にしていきたいと思います。
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4月入所の保育園申込みが開始され、先日きぼーるで面接をしてきました。その面接の際、担当の方に「千葉市長は、待機児童ゼロを目指してます。ですので希望保育園を3ヶ所以上記入してもらうようにお話ししています。」
この言葉には、少し驚きました。
良くとらえれば、「希望の保育園に入れる可能性は低いので、他に希望の保育園があるならば追記した方がいいですよ。」と。悪くとらえれば、「市長が待機児童ゼロを目指してるので、もっと多く希望保育園を書いて下さい。待機児童ゼロにしないと、うちの部署がまずいんで…。」
私にはその担当者の言葉は、悪いとらえ方に聞こえました。
待機児童ゼロを目指すならば、待機児童が多い保育園を拡張・増設しなければ目標達成はできないと思います。
保育園は、毎日子供を預けに行く場所となるので、利用する親にとって無理がない場所である事が求められると思います。担当部署の方々と本来あるべき姿を考えて頂けると幸いです。
まさにご指摘のとおりで保護者の方に誤解を与える対応であると思います。大変申し訳ありませんでした。
待機児童ゼロというのはあくまで結果であって、私たちが目的とすることは無理の無い範囲で保育所に入所できて、保護者が安心して働き続けられるようにすることです。
特定の保育所に人気が集中する傾向を踏まえて、特に1ヶ所しか希望保育所を記載しない方に対しては、少しでも多くの希望保育所を追記して頂くようお願いしていますが、誤解のないよう説明するよう、改めて各区に指示をしました。
貴重なご意見を頂きありがとうございます。