「国家公務員の人件費削減に合わせて地方公務員の給与も合わせて下げるべきだ」との理屈から、その分の地方交付税を安倍内閣が削減しようとしている件について。
結論から申し上げると、反対です。
というよりも、「こんなことが許されていいのか」という思いです。
断っておきますが、私は公務員の給与を削減することそのものを反対しているわけではありません。
実際に千葉市では9~3%のカットを実施していますし、政令市で唯一退職金のカットまで行ってきた自治体です。人件費については毎年相当な削減をしてきています。
消費増税を前にして、国の人件費の削減への取り組みは大事だと思いますし、国家公務員の給与水準についてしっかりとした整理が行われ、地方との真摯な話し合いの上で削減する分には理解できます。
問題は「復興財源捻出のために一時的に削減している国家公務員の給与に、なぜ地方公務員が合わせる必要があるのか?」ということです。
比較対象になっている国家公務員の給与水準は、民主党政権時に「復興財源が足りないから国家公務員も協力すべきだ」という不思議な論理で特例的に2年間限定で7.8%カットしている水準のことを言います。なぜ特例的なカットと比較して、地方公務員の給与水準が高いと主張するのか理解できません。この特例的なカットが無ければ、地方公務員の給与の方が国よりも低いのですから。
大規模災害からの復興は国の仕事です。
仮に今回この考え方で地方公務員の給与をカットすれば、復興のために地方財政に痛みを押し付けることになり、さらには地方公務員は国の仕事である復興のために身を切らされることになり、こんな無茶な話はありません。
私は元々、復興財源捻出のために短期的に国家公務員が給与カットされることには反対です。
これだけ大規模な災害からの復旧復興の費用は長い年月をかけて払うべきであり、当然国債発行が妥当です。私は千葉市でも財政健全化を進めていますし、国の借金も早く返すべきとの立場ですが、国債というのは本来こうした短期的に対応することができない不足の事態に対応するためにあるはずです。
それを野田内閣が財務省から提案されたのか分かりませんが、現役世代でその財源を賄おうとし、それもかなり短い期間で捻出するという不思議な対応を取り、その結果、国民に対する所得税を始めとする増税、さらには現役の国家公務員に無理やり協力させるという特例的な給与カットを行いました。国家公務員の特例カットについては最終的には国が国の責任で決めたことですから、とやかく言うつもりはありませんが、市民に影響が出る住民税などの増税は今でも不本意です。
こんな筋の悪い特例的な給与カット後の水準と比較されて、「地方の給与は自分たちと比べて高いから交付税を削減する」というのはいくらなんでも無理筋です。
少なくとも2年間の限定ではなく恒久的なカットに変えて、目的も復興財源の捻出ではなく、国家公務員の給与水準そのものの削減ということにしない限り、地方公務員との給与比較をすることは妥当ではありません。
今回の地方交付税の削減は360度どこから見ても理屈の立たない話ですが、安倍内閣の関係閣僚の言動などを見ると、地方を押し切るようです。
地方交付税を一方的に削減することによって地方を事実上コントロールするような今回の行動を見る限り、今後口が裂けても「地方分権」という言葉を安倍内閣には使わないで頂きたいと思います。それぞれの職員の給与に対して口を出す時点で地方分権という言葉が泣きます。
今、側聞している話では、人件費カットという理屈で地方交付税を削減する代わりに、地方が行っている防災関連事業に充当するための交付税を上増しすることで落とし所を探ろうとしているようです。
結局、政権の公務員の人件費削減アピールに使うだけで、国の財政再建にもあまり効果は出ず、国と地方の信頼関係は損なわれ、かつ悪い先例が残る、という結果になりそうです。
なんだかなあ、という気分です。
独自カットをしていない首長が言うと説得力が無いかもしれないので、率先してカットしてきた立場から、今回の国の理屈がおかしいことを申し上げました。
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大学卒業後、30数年勤めた民間会社を退職し、子会社に再就職した60代のお祖父さんとお祖母さんの家族と、この家族のお陰でノンビリと学生生活を過ごし、中小企業に就職し、幼稚園児を持つ30代の父と母の家族。
お祖父さん家族は、家の耐震リフォームが必要だし、体力も弱ってきたので子会社を退職した。これを機会に、自分達の小遣いを減らすと共に、子供家族への援助を100万円/年から50万円/年への減額を申し出たところ、今まで通りに援助するように要求された。勿論、多数決でも3対2で負けますが、そこは親子の話合いで分かって貰えた。 <如何でしょうか?>
千葉市において、職員報酬削減に努力していることは認めますが、野放図に給料増、手当ての追加等を行い、人件費が大きく膨らんでいることも事実だと思います。議員についても、報酬以外に(本来の仕事である)議会に出席すれば(交通費とは別の)日当が出たりしています。職員についても、仕事として出張するのに、何故に日当が給料以外に出るのでしょうか?仕事の種類に貴賤があるのでしょうか? これは以前に問題となった"窓口手当て"と同じではないでしょうか?
職員の報酬下げを行う前に、法案・条例を制定している議員の報酬に手を着けるべきでしょうが、外堀を埋めるためにもここは職員の方々と充分話し合って、協力を仰ぐべきだと思います。
また各労働法に抵触することはないのでしょうか。
と言わざるを得ない事情は分からないでもないですけどね・・・。
復興対策は国の仕事だから・・・。と言うのなら地方交付税も国の仕事ですから
国の裁量で増減を決めるのも至極当然の話でしょう。
国家公務員が身を削っているのだから国の援助で給料を得ている
地方公務員に同様な処置を求めるのが何も非合理な話だとは思えません。
そもそも国家公務員より地方公務員の方が給料が高いという事態が異常だとは
思わないのですか。国家公務員、特にキャリア官僚の激務は有名ですが、
ノンキャリアでも忙しさは相当な物でしょう。地方公務員はどうですか?
繁忙期や特に忙しい部署もあるでしょうが、定時で帰宅する部署も多いでしょう。
公務員試験の難易度にしても国家公務員の方が地方公務員より全般に高い筈です。
なのになぜ地方公務員の方が国家公務員より給与が高いのですか?
これこそ異常事態ですよ。要するに地方公務員の方が国家公務員より圧倒的に
数が多い。数は力。つまり地方公務員労組の政治力の強さがその給与削減を
阻んでいる。こういう事です。
安倍政権が官公労が支持する民主党に打撃を与えるという不純な目的で
地方公務員給与削減を目論んでいるとしても、その政策自体は間違いであるとは
思えません。国地方を含めた日本国全体の国家収支を見渡せばもはや大きく削れる
所は地方公務員給与ぐらいしか残っていませんからね。国家が破綻するかしかないか
という瀬戸際まで来ている日本で地方公務員の給与だけを聖域化させるなど
ありえない話です。
熊谷市長の日頃のご主張は大半は正しいと思いますが、自分の所の予算を
減らされるのは反対と言われるのでは旧来の守旧派の主張と同じになってしまいます。
たまに間違った事を言うだけでもその人の発言全体の信憑性が疑われる事態に
なりかねませんので発言は慎重にした方がいいでしょう。信頼を築くのには
気の遠くなるような時間が必要ですが、それを失うのは一瞬です。
地方交付税を「国から地方への仕送り」と考えている人が多いので、この問題の本質がご理解頂けないのだと思います。
地方交付税というのは地方の財政を助けるために国が補助をするというものではなく、地方自治体間の財源の偏在を調整するための地方独自の財源であることをご理解下さい。
例えば本社が集中する東京や空港からの収入が大きい成田市など、財源的に恵まれている自治体と、過疎地域などの自治体の間では税収に格差が生じ、全国一律で国民が受けられるはずの公的サービスが行えないことを回避するため、地方自治体の財源を出し合い、それを財源に乏しい自治体に振り分ける制度です。
各自治体間で調整するのは大変なので、便宜的にその分を国が徴収し、そして分配することになっているわけです。
ですから市民の方が書いていらっしゃるような例え話にはなりません。
あえて例え話にすると、複数の兄弟家族と両親が同居している家の生活費をそれぞれが出し合うことになっているケースを想定します。
毎月兄弟家族は事前に取り決めた額を両親に渡すわけですが、兄弟間で収入に差があるので、生活費で余った分をその月の収入が少なかった兄弟家族に両親が渡すというルールになっています。
しかし、最近両親の家計も厳しく、その余った分から勝手に一部を自分たちの家計に入れてしまいました。倹約のため2ヶ月限定で食事を一食抜くことにしたらしく「食事代が自分たちは一食分少ないから一部貰ってもいいんだ。お前たちも一食抜けばとんとんじゃないか」と言いだしました。
実は両親はその前は自分たちの方が良い食事をしていたのですが、ここへ来て突然言い始めたのです。
本来そうした食事と生活費のバランスはみんなで話し合って決めることになっているのですが、今回は話し合いをする前に両親が決めてしまったので、どの兄弟家族もルール違反だと怒っているのです。
さて、どっちが理不尽なんでしょうね。
それが貴方の長所であると同時に短所でもあると思います。
つまり市長のおっしゃる論理の根底はすべて法律にある。
地方交付税法を読めばこれは国の援助ではないと分かる。
国の役目は地方独自の財源である地方交付税の
分配業務だけだと書いてあるじゃないか!
と。貴方が裁判官や弁護士ならそれでいいんです。
彼らには法律に書いてある通りに物事を進める
だけの権限しかそもそもありませんしね。
しかし政治家となれば話は変わります。政治家がまず相手にしなければならないのは
裁判官ではなく法律などほとんど読んだ事も無い大衆です。その大衆の支持を
集めなければ政治は一歩も前に進みません。
法律に何とかいてあろうと地方交付税は国から地方への補助金であると
大多数の大衆はそう考えています。実態としてもそうでしょう。
市長は地方交付税を削減して国が地方から金を収奪したというような事を
仰っているが、実態はまったく逆で、国が地方に野放図に金をばら撒いた事こそが、
今の借金地獄日本を作り出した根本原因のひとつでもある訳です。
だから財政赤字の水準は財源のない地方よりも国の方が遥かに悪化しているのです。
ようするに国は地方に金をばら撒きすぎている。地方交付税のような財源調整制度は
他の先進各国にもありますが、日本のように財源調整の結果、1人あたりの財源が
税収の少ない田舎ほど多くなってしまうような国はほとんどありません。
だから地方交付税は削減が必要なのです。
公務員給与削減にしてもただ削減しろでは抵抗が強くて上手く行かないので
反対し辛い災害復興への協力という理由を取って付けただけの事。
そんな事は大した問題ではない。
市長のような真面目で頭の良い方は法律論とかそういった細かい問題に
拘る人が多い。受験勉強ではそれが一番大事な問題だったからでしょう。
しかし現実社会でそれをやってしまうと往々にして木を見て森を見ずとか、
枝葉末節にこだわるとか、そういう話になってしまうのです。
それが受験エリートが実社会では必ずしも成功者になれない理由の一つでもあります。
政治で重要なのは法律論としてどうなっているかではなく、大衆にどう思われるか。
それだけでは大衆迎合の衆愚政治になりかねませんから、実態としてはどうなのか。
どうすべきなのか。そこを考えた上で大衆を正しい方向にどう導くかです。
法律の定義なんて言ってしまえばどうでもいい事。そんな不真面目な態度は
許せないというのでは、貴方は政治に向いていない。そういう事になるだけですので、
理不尽だろうと何だろうと現実を受け入れて頂くしか貴方が成功する道はない。
と私は思いますがね。
まあ安倍政権のやっている事は民主党利権の自治労から予算を取り上げ、
自民党利権の土建屋ばら撒きに金を回すというだけの話ですから、
貴方より安倍政権の方が正しいなんて言うつもりも毛頭ありませんが。
少し論点がズレるかもしれませんが、疑問があります。
ここでの議論は、よく聞くラスパイレス指数という数字の高い・低いだと認識しています。ネットで調べました。地方公務員と国家公務員の同等の職種・経歴の基本給で、加重平均した・・・・云々・・・・とありました。が、正直よくわかりません。
疑問1:そもそも地方公務員と国家公務員の求められる能力や仕事の内容は、いくら同じ職種を比べたからといって違うはずです。また、同一労働・同一賃金が徹底されている訳ではないはずで、同じくらいだから、大きく差がなければいいでしょ?といっても誤魔化しのような気がするのは、私だけでしょうか?
疑問2:基本給での比較とありますが、各種手当てや残業代は考慮されていないのであれば、
Aの平均給与 基本給 500万 各種手当て 100万 残業代 100万
Bの平均給与 基本給 480万 各種手当て 150万 残業代 120万
AはBに比べて人件費が高い。削減すべき!は間違った議論になりますよね?
疑問3:2に関連しますが、各種手当ての見直しはどうなっているんでしょか?大阪で闇手当てが支給されていたと大騒ぎしたことは記憶に新しいところですし、給食センターで調理するはあたりまえなのに、”調理手当て”などと手当てをつけているを誰もおかしいと思わななかったという話もありました。いろいろ理由はあるようですが終戦直後の焼け野原の中、普通に出勤するのもままならない中、国家公務員に国鉄の定期券を現物支給を始めたのが、通勤手当のはじまりと聞いたことがあります。まずは住居がなければ仕事が手につかないので、宿舎を用意したのが、おそらく公務員宿舎の始まりで、住宅手当などに拡大されていったのではないかと推察できます。
そもそもどこに住むかは個人の自由で、現在の派遣社員には通勤費などは支給されません。結婚している、子どもがいることは、仕事の能力とは関係なく、扶養手当という考え方は諸外国にはあまりないようです。もちろん何でも外国の真似をするのがいいと言うつもりはありませんが、社会情勢なども大きく変わっていて、60年以上経過した制度を早急に見直さないといけないということではないでしょうか?
乱文、長くなったことすみません。最後までお読みいただいた方ありがとうございます。
いつもしつこいのですが、意見には個人差があります。
自説の無誤謬性を信じて疑わないのなら
ここで愚痴らず財務省や総務省へ行って抗議すればいいのでは?
彼らは素人とは違い交付税の話も地方自治の話も知り尽くしているので
あなたの主張が国益に適っているなら支持されるはずですが。
それと人件費カットの推進も自身は政治資金収支報告書も
まともに提出できなかった方が強調するとそれこそ
自身の選挙に向けた政治的成果のアピールにしか見えませんので。
民主党出身の方には多いですが自らの発言が
ブーメランになって帰って来ないように発言には気を付けてくださいね。
市長が言う正論は、無知な大衆にはわからないでしょうが、大衆に受けの悪い発言をあえてする姿勢に、ただ若いだけではないと感心しました。
1000年に一度の大災害の復興財源を国債財源で賄う、ごくあたり前の話がタブーかのように扱われていることが異常です。
日本の財政状況をギリシャと同一視するような、程度の低い議論から公務員がとりあえず身を切ればいいと、拙速な理屈を、生真面目な方々が新聞を読んで共感する・・
本質を理解している若き市長に期待します。
子供といまは三人ですが本当に家計は苦しいです。もう一人子供は欲しいですが経済的不安がどうしても大きいです。
とてもアベノミクスを感じる生活はまったくありません。