概要でも申し上げましたが、新年度は特に健康寿命の延伸と地域包括ケアシステム構築が柱です。
一方で超高齢社会の中で従来型の高齢者福祉を全て維持することは不可能であり、就任以来、様々な高齢者施策を見直し・廃止し、その財源をより重要度の高い高齢者施策にスライドしてきました。
今回も敬老祝い金事業を見直し、その財源をスライドさせます。
敬老祝い金は77歳・88歳・99歳の節目年齢の方全てにそれぞれ1万円・3万円・5万円を支給するものです。当時は高齢者も少なく、かつ平均寿命もそれほど長くはなかったので成立した事業ですが、今は千葉市の75歳以上は10万人を超えている状況で、この敬老祝い金事業は年間2億円近い事業費にまで膨らんでいます。
敬老祝い金を楽しみにしている高齢者もいらっしゃることも事実であり、見直しは苦渋の選択ではありますが、限られた予算を何に優先的に使うべきかを考えた時、私たちは同じ高齢者施策であれば「配る福祉」より「支える福祉」なのだと考えています。
新年度予算案では、平成27年度に77歳の方への支給を廃止し、88歳の方は平成27年度は1万円に減額、平成28年度は廃止することで、平成27年度で1億4,000万円を削減することとしています。批判も多くあるかもしれませんが、見直しの背景を丁寧に説明しながら理解を求めていきたいと思います。
●地域包括ケアシステム構築の推進 約2,800万円
介護保険制度の改正や超高齢社会を見据えて、住み慣れた地域で安心して医療や介護が受けられる基盤を整備するため、
・地域に不足する生活支援サービスの創出や担い手育成等を行う生活支援コーディネーターの設置
・家族介護をされる方への支援として家族介護者支援センター・研修所の設置
・シニアリーダー講座として介護予防等の教室を開催する
・在宅医療を支える医師を育成するため、訪問診療の研修を実施
・医療職と介護職の職種間理解を促進するため在宅医療・介護連携研修を実施
・在宅医療や介護の正しい理解を進めるための市民向けシンポジウムの開始
など一連の施策を実施します。
●定期巡回・随時対応型サービス事業所等の整備費助成 約1億9,000万円
●上記の運営費助成 約2,000万円
地域包括ケアシステム構築に向けて重要な上記事業所を6ヶ所→9ヶ所に整備する等の助成を行います。
●高齢者福祉施設整備費助成 約9億5,000万円
特別養護老人ホームを5ヶ所整備します。
●成人用肺炎球菌ワクチン接種費用助成 約9,190万円
高齢者の死因の1位2位を争う肺炎を予防するワクチン接種が少しずつ普及し始めています。千葉市でも平成25年度より費用助成を行っています。高齢者の健康寿命の延伸、ひいては国民健康保険等の社会保障費の削減に向けて助成費用を拡充し、現在自己負担4,700円を3,000円まで引き下げます。
●特定健診の受診促進や医療費の適正化 約3,000万円
国民健康保険事業第2期アクションプランに基づき、特定健診の受診を促進するための電話勧奨や特定健診の複数年の健診結果の送付、ジェネリック医薬品の利用促進などを実施します。特定健診は生活習慣病を予防し、改善するために重要な健診であり、特に糖尿病予備軍の方が糖尿病になるかならないかで、被保険者である市の支出が何百万単位で変動します。
●認知症疾患医療センターの相談員増員 約1,100万円
●認知症初期集中支援チームの増員 約670万円
千葉市では以前より認知症対策に力を入れており、認知症相談コールセンターや認知症疾患医療センターの設置してきました。今後も急増する認知症の方々に対するサポート体制を充実するため、それぞれの人員を増員するものです。