私が市長に就任し、市役所の勤務実態を知るにつけ、これは早く建て替えないといけないと痛感しました。
市役所の本庁舎は1970年に建設したもので既に40年以上が経過し、老朽化が目立っています。ただし、事務所ビルとしての耐震性は有していますので、今回の地震でもモルタルが一部剥がれるなどはあったものの、基本的には無事でした。
一番の問題は96万都市の市役所の規模ではない点です。
1970年の千葉市の人口は50万人に満たず、市庁舎もその規模で作られているように感じます。市役所の本庁の職員を吸収しきれず、隣のコミュニティセンター、教育委員会はポートサイドタワーなど、各所に分散しています。また、慢性的なスペース不足のため収納や打ち合わせスペースも十分に無く、事務機能にも問題がありました。
別々に賃料を支払っているコスト、そして打ち合わせなどでこの事務所間を行き来するコストとロス、そして日々の事務機能の低下を考えると、市役所機能を集約する市庁舎を作る必要を感じます。
危機管理上も耐震補強よりは最初から大規模地震を想定した建築物の方が好ましいですし、大規模災害で通信が途絶した場合、事務所機能が分散しているよりは集約化している方が望ましいです。
震災発生時に私たち市が迅速・効率的に災害対応に取り組むためにも、市庁舎の建て替えは必要です。
実は市庁舎の建て替えに向けてシミュレーションをしておくように以前から指示をしており、本格的ではありませんが他市の事例なども参考にしながら検討をしていました。
その検討では、建て替えによって分散している事務所の賃料が無くなるほか、前述したコストやロスが無くなることから、むしろ早期に建て替えた方が財政上もメリットがあることが見えてきていました。建て替えはどれだけ早く動いても4年はかかりますので、議会とも相談しながら出来る限り早期に建て替えの検討に入る必要があります。
ただ、例え事務上も財政上も建て替えが望ましい選択肢だとしても、財政再建中に市庁舎の建て替えを表に出せば市民から反発を招きかねないと考え、財政再建にある程度の目処が見えてきた段階で検討を開始する旨を外に出していこうというのが私の考えでした。
今回の震災によって東北地方で市役所の庁舎が崩れたことで復旧活動に大きな支障が出ていることも報道され、この段階であれば客観的データに基づいて市民に判断を仰げるのではないかと考えた次第です。
もちろん、だからといってコスト無視で過剰な施設を作ってはならないことは大前提です。
求められる機能をよりコストを押さえた形で設計すること、そして市民に十分な情報公開と説明を行いながら、出来る限り早期に建て替えを実現したいと思います。