総選挙がスタートしました。
地方政治に携わる立場として、私たち地方側にとっても重要な法案の多くが処理されず、国会の機能が著しく低下していたここ数年の状況が選挙を経て改善されることを切望します。
また、一人の国民として、足の引っ張り合いばかりで子どもに見せたくない、夢を与えられない政治から脱却し、立場を超えて建設的な議論ができる国会となることを切望します。
今回の選挙自体に不満な点が2つあります。
1つは
一票の格差が是正されないまま選挙に至ってしまっているということ。
司法から違憲状態とされるのは異常な事態であり、かつ長期間放置してきたことは国会の責任です。私たちは選挙事務を執行するため莫大な労力を費やし、地域の方々にも立ち会い等でご協力頂きます。その選挙に正統性が無いというのは、執行する側にとっては甚だ不本意です。
野田首相は最後の党首討論でこの問題を取り上げ、解散となりましたが、与野党が立場を超えて合意できるところから始めていれば、と思わずにはいられません。
2つは
公職選挙法の改善が行われなかったことです。
橋下市長も問題視していますが、2012年にもなって未だにネットを使った選挙ができないこの国は一体どんな国なのでしょうか。これで情報化社会に耐えられる政治と行政が作れるのか、作れるわけがありません。
選挙カーと拡声機で一方的に主張する古い選挙から、多くの人が見える中で双方向にやり取りが行える選挙に変えて、多くの情報を得た上で投票できるようにすることは政治の第一の責務です。お金のかからない選挙にするという点でも重要です。
候補者のホームページ、ツイッター、facebookに限定して認めるだけであれば従来の法律の趣旨に反するものではなく、こんなことすら改善できないのかと、政治家の一人として悔しく感じます。
市民一人ひとりと実際に会って政策を説明することも、今の選挙法では戸別訪問が禁止されていますので限定されてしまいます。一人ひとりと向き合わず、一方的に発信することを強いる法律となっていることは、民主主義を本当の意味で確立する上で大きな支障となっています。
また、日本だけが選挙に立候補するにあたって高額な供託金を義務付けていることも問題です。
衆議院選挙の小選挙区に立候補するには300万円もの供託金を預けなければならず、これでは選挙に立候補できる人は限定されてしまいます。憲法では誰もが選挙に出る権利を保障されているにも関わらず、です。
世界中を見渡しても供託金自体がない国が多いですし、あっても少額です。この供託金の部分はもっとメディアも取り上げ、議論されるべきです。
もう一つ日本の選挙でおかしいのは、選挙期間が実態に合わないほど短いということです。
今日選挙が始まりましたが、本当にそうでしょうか?国会が解散された時から、いや先の党首討論が終わった時から事実上選挙は始まっていたのではないでしょうか?メディアも連日選挙情勢を取り上げていたにも関わらず、選挙ではないことになっている、こんな矛盾を放置していていいのでしょうか。
選挙期間中は様々な決まりがあり、費用の上限も定められていますが、選挙期間前の「政治活動」期間は縛りがなく、野放図に費用を投じて事実上の選挙活動を行うことができます。「立候補します」といった選挙に必要な言葉を使うことができず、新人にとっては知名度を上げるのはかなり困難です。
このように、日本の選挙は現職が有利になるようにできており、新人が出にくい選挙です。
日本の政治がおかしいのは構成する政治家がおかしいのであり、根本はその政治家を選ぶ選挙法というルールがおかしいからです。
以前から指摘し続けていますが、この選挙を経て、反省の上であるべき選挙制度に見直しをして欲しいと思います。