テレビ朝日の
「朝まで生テレビ!」に出演しました。
テーマは「絶望の国の若者の幸福と夢」というテーマで、パネリストでもある古市憲寿氏の著作をもとにしたようです。
私以外の出席者は以下のとおりです。
東東浩紀(早稲田大学教授、40)
井戸実(エムグラントフードサービス代表、34)
猪子寿之(チームラボ代表取締役社長、34)
荻上チキ(評論家、「シノドスジャーナル」編集長、30)
宋文洲(経済評論家、ソフトブレーン創業者、48)
高橋麻帆(ピースボート災害ボランティアセンター、32)
千葉麗子(実業家、元女優、37)
夏野剛(慶応大学特別招聘教授<政策メディア研究>、46)
古市憲寿(東京大学大学院博士課程、27)
当選直後はテレビ局からいくつかお誘いは頂きましたが、公務優先の考え方から収録のために東京に行く時間はなかなか割けませんでした。
この朝生は深夜収録ですから、公務とバッティングしない点も大変ありがたかったです。
当初の議論展開イメージは、
・社会制度などによって高齢者が得をし、若者は損をするとはっきりデータで示されている
・若者は絶望しているのかと思いきや、若者は今の生活に7割が満足していると答えている
・これはどういうことなのか、若者の価値観はどのようなものなのか
というものだったと推測しますが、若者論を若者に議論させるのはやはり難しいな、と感じました。
若者をひとくくりにすることはできず、それぞれが多様な価値観を持っていますので、話が一つの方向に収斂せず、議論が色々な方向に飛び交った気がします。それはそれで私としては大変興味深かったのですが、見ていた方はどう感じたのでしょうか。
若者の幸福感については最初のほうに東さんが「自分で幸せと言っているんだから、それ以上他人がどうこう言ってもしょうがない」「今が幸福なのと将来幸福なこととはイコールではない。若者の将来は暗い、でも今は幸せ、これで議論は終了では」の指摘に尽きると思います。
若者個々に将来不安の理解度は違えど、ある程度は予測していると私は思っていて、でも今現在は増税されていませんし、そもそも若者は社会保障の世話にならない人が多いですから、社会保障制度が崩壊寸前であることに本当の意味で危機感や実感は湧きにくいでしょう。
少し議論が盛り上がったのは少子化の議論でした。
少子化がいかに日本社会そのものを脅かすか、今の若者はなぜ結婚しないのか、欧米における婚外子の割合の多さ、結婚制度にこだわることで日本そのものが崩壊することに対する見解などなど、若者らしい議論になったと思います。
私も発言しましたが、出生率1.3という数字にもっと日本は危機意識を持つべきです。
ヨーロッパのように労働力がある程度流動的で、さらに緩やかに少子化し、高齢化するのであれば北欧型の社会も不可能ではないかもしれません。しかし、今の日本のように移民を原則受け入れていない国家の中で、さらに出生率1.3という急激な少子化で社会制度が維持できるわけがありません。
行政を預かる立場とすれば、私は出生率が1.6か1.7あたりまで回復しないと危ないと思います。
そして、医者は育てるのに10年かかるとよく言われますが、子どもが生まれて社会を支える側に育てるまで少なくとも20年はかかることを考えると、今出生率が上がっても20年間は担い手不足が続くことになります。
そして、出生率はあくまで産むことができる世代から子どもが生まれる割合ですから、若者の数が減れば分母そのものが減りますので、出生率が2.0になったとしても人口は減り続けることも理解すべきです。
子ども手当ての時にも感じましたが、今の日本は本当にこうした少子化の問題について危機意識を持っているのか、疑問に思うことが多いです。
高齢者施策の中で必ずしも必須ではないものを削り、子育て施策へ重点配分していると、「市長は高齢者に厳しい」「今の日本を作ってきたお年よりをもっと大事に」と言われることがありますが、高齢者のためにこそ、少子化を食い止めなければいけないのです。自分の老後の世話を誰にしてもらうつもりなのだと言いたくなる時もあり、根本的に少子化に対する危機感がないことを感じます。
このままでは日本そのものが維持できなくなり、高齢者福祉も、文化伝統の保持すら不可能になりかねません。子どもを持っている世帯に全ての国家資産を投入し、国民一人ひとりが子育て世帯に何ができるのか、真剣に考えなければいけない状況にあります。
今まで日本社会が続いてきたのは様々な要因がありますが、何より人口が減らなかったことが一番です。人口が減れば、今まで当然のように行ってきた次世代へのバトンタッチは困難になるということをもっと国民は理解すべきです。
これから税も社会保障も全ての負担が増大しますが、これは以前から分かっていたことです。20年前から警鐘を鳴らしてきましたが、実際に負担増が行われなかったがために「高齢化でも何とかやっていけてるじゃない」と勘違いしている人が多すぎます。
政治家がもっと具体的イメージで国民に語るべきでしたが、それどころか負担増を先送りしてきたために、これから一気に負担増がやってくることになります。
千葉市も財政が厳しいのに様々な誤魔化しの手段を駆使して何とかやってきたことにより、「財政が厳しいと言っているけど、案外なんとかやってるじゃないか」と多くの人が思ってきました。
そんなに世の中甘くありません。痛みを先送りすれば、より強い痛みを短期間で克服しなければいけなくなるだけです。先送りしてきた人たちがその強い痛みを感じるのはある種自業自得ですが、世の中は不条理なもので、先送りしてきた人たちは逃げ得をし、何の決定権もなかった後ろの世代がその痛みを負うことになります。
子どものために美田を残すことが先人の、親としての次世代への責任のはずが、ツケを残すことに結果的になっていることに対してもっと責任を感じるべきだと、一人の若者としては憤りを感じる時があります。
文句を言っても何も行動しないでは意味がないので、私は民間企業を辞めて政治の世界に身を投じ、市長という税金の決定権を握る立場となり、今まさに予算の使い方を変えていっています。
ただ、高齢者側からすれば、いくら次世代のためとは言え、自分たちが我慢するというのはなかなか割り切れるものではありません。高齢者の方が多く、投票率も高い現状では、政治力学としてはどうしても高齢者に税金投入比率が高まり、悪循環のスパイラルは止まりません。
最近では18歳に投票権を引き下げたり、海外では18歳未満の子どもにも1票を渡し、親に代理で権利行使をしてもらうことで将来世代に配慮した政治決定が行われる仕組みづくりも提案されています。極論ではありますが、議論の余地はあると思います。
いずれにしても、生放送を体験することができ、大変勉強になりました。
番組スタッフの方、司会の田原さん、出演者の方々に改めて感謝します。