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2012年06月26日

社会保障と税の一体改革関連法案の採決について

この日は市議会の採決とほぼ同じ時刻に衆議院において社会保障と税の一体改革関連法案の採決が行われました。私も記者からコメントを求められましたので、このブログでも少し紹介します。

・地方自治体の財政運営にとっても影響の大きい消費増税について方向性が決まったことは重く受け止めたい
・今回の消費増税には様々な意見があるが、日本の財政を考えれば何らかの形で負担増は必要であり、国民に反発される増税法案を可決にまでリードした野田総理には敬意を表したい
・民主党内の造反については、政治家としての信念に基づき、白黒ハッキリつけたことは良いことではないか
・ただ、総理であり党の代表が政治生命を賭けるとまで言った重要法案に公然と反旗を翻したわけなので、今後こうしたメンバーが党内に留まるようなことがあれば政党としての信頼を失うこととなるし、国民にとっては理解できないのではないか
・執行部の造反者への対応を注視するが、仮に「一緒にやっていきます」的なことを言われたら私は二度と比例代表で民主党には投票しない
・私は千葉県の内山代議士や中後代議士が離党した際も「白黒つけるのは良いことだ」と申し上げた。小沢さんが離党し、新党を立ち上げることは大いに結構だと思う
・民主制は政党政治。大きな政策を同じくする人たちが集まって政党ができ、だからこそ有権者は政党に投票する。ここまで意見が違う人たちが今後も同居する政党には、どちらを支持する人たちにとっても投票に値しないのではないか

今回の法案は社会保障の部分が曖昧ですし、法案そのものの出来は決して良いとは言えないと思いますので、そうした観点から賛成できない方の気持ちは理解できます。しかし、棄権ならいざしらず、これだけの数の与党議員が反対票を投じることはやはり整理が必要だと言わざるを得ません。
どちらが本家なのか、という議論はあるでしょうが、少なくとも大きな政策の相違点は政党人として解消していって頂きたいと思います。

なお、財政収支均衡のための施策は増税もしくは社会保障の抑制になるわけですが、現実的には両方必要な状況です。増税の場合、所得税・法人税・消費税・相続税、様々な選択肢がある中で今回消費税が増税されることになりました。逆進性の問題など様々議論がありますが、はっきりと言えることは「若い世代にとっては消費増税が最も良い」ということです。
相続税では収支不足を埋める十分な税源が生まれないとすると、残るは所得税・法人税ですが、これらはいずれも現役世代が実質的に負担することになります。高齢者も含めて全世代が負担する消費税が最も現役世代にとっては負担が軽いことになります。

また、社会保障の抑制についても、仮に年金の支給年齢の引き上げ・金額のカットなどが行われたとしても高齢者に適用されることはありません。高齢者は既に権利を有している側になりますので、一番影響を受けるのは現役世代になります。

さらに申し上げると、殆どの世帯は納税額以上に行政サービスを受けている側になります。
この国は所得税の課税ベースがそれほど広くないので、一定以上の所得が無いと所得税を殆ど納めていない実態があります。今自分たちが受けている行政サービスであったり、社会保障は高所得者が納めた税金で多くを賄っている状況を理解したうえで、どのような負担増が納得感があるのかを議論する必要があります。
posted by 熊谷俊人 at 16:35| Comment(5) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月16日

九都県市首脳会議に出席

この日は東京で開催された九都県市首脳会議に出席。
東京・神奈川・埼玉・千葉の4知事と、横浜・川崎・千葉・さいたま・相模原の5政令市長が一同に会して首都圏の課題について協議をする場で、今年は千葉市が座長です。

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・地方分権改革の推進に向けた取り組みについては従来より主張していた内容を国に要請すると同時に、出先機関の事務・権限の移譲などは一向に進まないため首都圏において特区制度を活用するなど、具体的な進め方を研究する
・首都圏三環状道路を早期に整備し、首都圏の災害対応力を強化するよう働きかける
・石油コンビナートなど民間企業の減災対策について九都県市の枠組みで検討を進める
・原子力災害に対する防災対策の範囲を超えた災害時への備え、核燃料を扱う事業所や研究所のより一層の安全性を確保する検討を国に要請する
・首都圏の防災力向上と首都圏内における首都機能のバックアップ体制を検討するよう国に求めるとともに、九都県市においてもシミュレーション等研究を行う
・住民登録のない住民など、行政情報の無い要支援者の早期発見に向けた仕組みづくりを検討する
・予防接種制度について恒久的な組織を早期設置するとともに国が責任をもって財源を確保するよう要望する
・保育士不足の課題解決のため、処遇改善や人材育成に向けた制度の充実を国に求める
・各都県市が独自に実施している子育て支援事業をもとに九都県市が一体となった施策展開を検討する

震災から1年以上が経過し、首都圏における防災対策のあり方について具体的に検討が進んできています。日本の核である首都圏がその機能を失わないよう、九都県市の枠組みなどを活用しながら防災力の向上に努めていかなければなりません。
同時に、防災だけでなく首都圏ならではの課題も山積しており、国の事務権限の移譲も含めて具体的な検討を進めていきます。

今回は初座長でしたが、大過なく議論をまとめることができました。各首脳のご協力と事務方の努力に感謝します。次回は千葉市で秋に開催される予定です。
posted by 熊谷俊人 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月15日

指定都市市長会議@熊本市

14、15日と熊本市で行われた指定都市市長会議に出席。
熊本市は今年4月から政令指定都市となり、これで政令市は20市の大台に乗りました。

熊本市は何度も来たことがあるのですが、「さすが大大名の城下町は違う」と感じるほど、歴史的・文化的蓄積を感じる町並みです。
水源を全て地下水でまかなうという世界でも稀な水の都市であり、農業・漁業も盛んな街であることも今回知りました。今後九州の大きな核として新たなエネルギーを指定都市市長会にも注入して頂けるものと期待しています。

今回の議題は多岐に渡りますが、箇条書きにすると、
・地域自主戦略交付金(一括交付金)について総額、税源移譲などの課題解決を国に働きかける
・大阪都だけでなく多様な大都市制度の早期実現を国に働きかける
・生活保護制度についてスピード感ある改革、実効性のある就労支援、医療費の自己負担導入などを国に要望する
・医療、介護、健康関連産業の振興やハローワーク業務移管などについて研究を進める
・災害時に大都市が主体的に対応できるよう災害対応法制の見直しを国に求める
・国会議員、中核市などへの働きかけをさらに強める

などです。

民主党政権が鳴り物入りで導入した一括交付金は昨年度は都道府県に、今年度から政令市に導入されましたが、当初から懸念していたとおり地方が必要とする総額が確保されず、政府の歳出削減の一環に組み込まれてしまった感があります。
また、一括交付金はあくまで地方への税源移譲の過渡的措置でなければいけませんが、まだ具体的プロセスが国から示されていないため、早期に提示することを求めていく必要があります。

また、大都市制度については現在大阪を中心に国政を巻き込みながら議論が進んでいますが、大阪の事情と他の大都市の事情は決して同じではなく、それぞれの大都市毎に最適な枠組みを模索していかなければなりません。
大都市制度については様々な意見があり、簡単には進まないと私は感じていますが、少なくとも未完成の制度である政令指定都市制度は何らかの見直しが必要な時期に来ています。大都市の活力を高め、日本全体の活性化につなげていく戦略が必要です。

生活保護については政令市が最も生活保護者が集中しているため、以前より国に対して再三制度の抜本的見直しを求めてきました。国もようやく重い腰を挙げて現在見直しに向けた検討が進められており、就労・自立支援の強化、医療費の適正化などが実施されることとなっていますが、平成25年度から7ヵ年かけて取り組むとしており、我々からするとスピード感が少し足りないと感じています。
7年を3年程度にスピードアップすることや、年金制度との整合性、医療費の一部自己負担導入などについて国に要請を行うことを決定しました。

次回は7月に東京で開催となります。
今回は議会のため急遽欠席となった大阪の橋下市長も出席することになるかと思います。

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千葉市は経済・雇用部会に所属

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2012年04月10日

護国神社の春季例祭など

この日は千葉縣護国神社の春季例祭
例年であればこの時期にはだいぶ桜が散っているのですが、今年は開花が遅かったのでまさに満開でした。やはり桜が満開の中で行われる護国神社の例祭は万感迫るものがあります。

遺族会は高齢化が進んでいる上に、昨年の東日本大震災で日本遺族会が運営していた九段会館で天井落下事故が発生し、収入が大幅に減少しているとのこと。事業やコストの見直しが避けられません。

その後、陸上自衛隊高射学校の学校長(下志津駐屯地司令兼)の新任挨拶を受けました。
折りしも北朝鮮のミサイル発射が大きな国防上の課題となっていることから、自衛隊としての対応、自治体の対応のあり方などについて意見交換。九州・沖縄方面と言われていますが、いつ何時首都圏が対象となるか分かりません。私達もこの機会に有事の際の対応方針について確認しておきたいと思います。
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2012年03月26日

千葉明徳学園を避難所に指定、共通番号シンポジウム

この日は朝から政策協議、千葉明徳学園との「避難所施設利用に関する協定」の締結式

私達は公的施設を避難所として指定していますが、民間の大学・学校も十分に避難所としての役割を果たして頂けます。実際に東日本大震災では帰宅困難者を受け入れて頂いています。
以前から福中理事長より「我々は広域避難場所には指定されているが、避難所には指定されていない。今後災害時に周辺住民の方が避難されるケースも想定されるが、正式に避難所として指定を受けておらず、十分な対応ができない懸念がある。地域にも貢献したいので避難所の指定を受けられないか」というお話を頂いていました。この間、協議を重ね、今回めでたく協定を締結するに至りました。私立校では初めてとなります。

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その後、来客対応、会合出席などを行い、午後から東京に向かい、「自治体とともに『共通番号』の幅広い活用を考える」シンポジウムに出席。
このシンポジウムは「わたしたち生活者のための「共通番号」推進協議会」(代表:北川正恭)が主催したもので、政府側を代表してマイナンバー法案を担当している向井治紀 内閣官房社会保障改革担当室審議官、地方行政側を代表して森 民夫 全国市長会長(長岡市長)、山田啓二 全国知事会長(京都府知事)と私がメンバーでディスカッションを行いました。
なぜこのメンバーに私が入っているのかというと、両会長は団体を代表する立場で言いたいことが十分に言えないことも想定されるので、民間出身で共通番号に前向きな私に白羽の矢が立った次第です。

マイナンバーを実際に活用するのは地方自治体、特に基礎自治体であり、国の都合ではなく真に住民に利便性を提供できる共通番号にするためには地方自治体の意見を十分に取り入れ、また地方自治体側が十分に番号を活用した住民サービスを提供しなければなりません。
市長会長、知事会長からも「共通番号は必要であり、より幅広い分野に活用されるべき」という意見が出て、ディスカッションは非常に盛り上がりました。特に森会長は去年の大震災で被災者を受け入れた際の経験から、「共通番号があれば、1000人分の名前や住所、健康保険番号などが瞬時に分かり、受け入れはもっとスムーズにできた」と語り、災害時に共通番号がいかに役立つかを強調されていました。

政府が行う公聴会では共通番号に反対する立場の方が多く出席し、反対論を展開することが常だそうで、向井審議官も「後押しをされるのは珍しく、大変励みになります」とのことでした。
その後、北川さんとともに報道関係者と意見交換をしましたが、どの方も非常に勉強されていて鋭い質問をされていました。「メディアのDNAとして共通番号には消極的な立場を取らざるを得ない」、など率直な意見も飛び出しましたが、基本はどのように活用されるべきなのか、という意見交換となりました。
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2012年02月26日

テレビ朝日の「朝まで生テレビ!」に出演

テレビ朝日の「朝まで生テレビ!」に出演しました。
テーマは「絶望の国の若者の幸福と夢」というテーマで、パネリストでもある古市憲寿氏の著作をもとにしたようです。

私以外の出席者は以下のとおりです。

東東浩紀(早稲田大学教授、40)
井戸実(エムグラントフードサービス代表、34)
猪子寿之(チームラボ代表取締役社長、34)
荻上チキ(評論家、「シノドスジャーナル」編集長、30)
宋文洲(経済評論家、ソフトブレーン創業者、48)
高橋麻帆(ピースボート災害ボランティアセンター、32)
千葉麗子(実業家、元女優、37)
夏野剛(慶応大学特別招聘教授<政策メディア研究>、46)
古市憲寿(東京大学大学院博士課程、27)

当選直後はテレビ局からいくつかお誘いは頂きましたが、公務優先の考え方から収録のために東京に行く時間はなかなか割けませんでした。
この朝生は深夜収録ですから、公務とバッティングしない点も大変ありがたかったです。

当初の議論展開イメージは、

・社会制度などによって高齢者が得をし、若者は損をするとはっきりデータで示されている
・若者は絶望しているのかと思いきや、若者は今の生活に7割が満足していると答えている
・これはどういうことなのか、若者の価値観はどのようなものなのか

というものだったと推測しますが、若者論を若者に議論させるのはやはり難しいな、と感じました。
若者をひとくくりにすることはできず、それぞれが多様な価値観を持っていますので、話が一つの方向に収斂せず、議論が色々な方向に飛び交った気がします。それはそれで私としては大変興味深かったのですが、見ていた方はどう感じたのでしょうか。

若者の幸福感については最初のほうに東さんが「自分で幸せと言っているんだから、それ以上他人がどうこう言ってもしょうがない」「今が幸福なのと将来幸福なこととはイコールではない。若者の将来は暗い、でも今は幸せ、これで議論は終了では」の指摘に尽きると思います。
若者個々に将来不安の理解度は違えど、ある程度は予測していると私は思っていて、でも今現在は増税されていませんし、そもそも若者は社会保障の世話にならない人が多いですから、社会保障制度が崩壊寸前であることに本当の意味で危機感や実感は湧きにくいでしょう。

少し議論が盛り上がったのは少子化の議論でした。
少子化がいかに日本社会そのものを脅かすか、今の若者はなぜ結婚しないのか、欧米における婚外子の割合の多さ、結婚制度にこだわることで日本そのものが崩壊することに対する見解などなど、若者らしい議論になったと思います。

私も発言しましたが、出生率1.3という数字にもっと日本は危機意識を持つべきです。
ヨーロッパのように労働力がある程度流動的で、さらに緩やかに少子化し、高齢化するのであれば北欧型の社会も不可能ではないかもしれません。しかし、今の日本のように移民を原則受け入れていない国家の中で、さらに出生率1.3という急激な少子化で社会制度が維持できるわけがありません。

行政を預かる立場とすれば、私は出生率が1.6か1.7あたりまで回復しないと危ないと思います。
そして、医者は育てるのに10年かかるとよく言われますが、子どもが生まれて社会を支える側に育てるまで少なくとも20年はかかることを考えると、今出生率が上がっても20年間は担い手不足が続くことになります。
そして、出生率はあくまで産むことができる世代から子どもが生まれる割合ですから、若者の数が減れば分母そのものが減りますので、出生率が2.0になったとしても人口は減り続けることも理解すべきです。

子ども手当ての時にも感じましたが、今の日本は本当にこうした少子化の問題について危機意識を持っているのか、疑問に思うことが多いです。
高齢者施策の中で必ずしも必須ではないものを削り、子育て施策へ重点配分していると、「市長は高齢者に厳しい」「今の日本を作ってきたお年よりをもっと大事に」と言われることがありますが、高齢者のためにこそ、少子化を食い止めなければいけないのです。自分の老後の世話を誰にしてもらうつもりなのだと言いたくなる時もあり、根本的に少子化に対する危機感がないことを感じます。

このままでは日本そのものが維持できなくなり、高齢者福祉も、文化伝統の保持すら不可能になりかねません。子どもを持っている世帯に全ての国家資産を投入し、国民一人ひとりが子育て世帯に何ができるのか、真剣に考えなければいけない状況にあります。
今まで日本社会が続いてきたのは様々な要因がありますが、何より人口が減らなかったことが一番です。人口が減れば、今まで当然のように行ってきた次世代へのバトンタッチは困難になるということをもっと国民は理解すべきです。

これから税も社会保障も全ての負担が増大しますが、これは以前から分かっていたことです。20年前から警鐘を鳴らしてきましたが、実際に負担増が行われなかったがために「高齢化でも何とかやっていけてるじゃない」と勘違いしている人が多すぎます。
政治家がもっと具体的イメージで国民に語るべきでしたが、それどころか負担増を先送りしてきたために、これから一気に負担増がやってくることになります。

千葉市も財政が厳しいのに様々な誤魔化しの手段を駆使して何とかやってきたことにより、「財政が厳しいと言っているけど、案外なんとかやってるじゃないか」と多くの人が思ってきました。
そんなに世の中甘くありません。痛みを先送りすれば、より強い痛みを短期間で克服しなければいけなくなるだけです。先送りしてきた人たちがその強い痛みを感じるのはある種自業自得ですが、世の中は不条理なもので、先送りしてきた人たちは逃げ得をし、何の決定権もなかった後ろの世代がその痛みを負うことになります。

子どものために美田を残すことが先人の、親としての次世代への責任のはずが、ツケを残すことに結果的になっていることに対してもっと責任を感じるべきだと、一人の若者としては憤りを感じる時があります。
文句を言っても何も行動しないでは意味がないので、私は民間企業を辞めて政治の世界に身を投じ、市長という税金の決定権を握る立場となり、今まさに予算の使い方を変えていっています。

ただ、高齢者側からすれば、いくら次世代のためとは言え、自分たちが我慢するというのはなかなか割り切れるものではありません。高齢者の方が多く、投票率も高い現状では、政治力学としてはどうしても高齢者に税金投入比率が高まり、悪循環のスパイラルは止まりません。
最近では18歳に投票権を引き下げたり、海外では18歳未満の子どもにも1票を渡し、親に代理で権利行使をしてもらうことで将来世代に配慮した政治決定が行われる仕組みづくりも提案されています。極論ではありますが、議論の余地はあると思います。

いずれにしても、生放送を体験することができ、大変勉強になりました。
番組スタッフの方、司会の田原さん、出演者の方々に改めて感謝します。
posted by 熊谷俊人 at 06:29| Comment(10) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月08日

千葉県市町村職員共済組合の最近の動き

先日、千葉県市町村職員共済組合・互助会の理事会がありました。
私は公務が重なり、残念ながら出席できませんでしたが、事前に事務局から説明を受け、そして私の意見も伝えています。そして、昨年私が指摘した事項について前進がありましたのでご報告します。

昨年、私は理事会に出席した際に、福利厚生事業として共済組合自身がホテル・保養所を所有している点を問題視し、赤字を組合員の掛け金で穴埋めしている状況を早急に改善することを強く求めました。
今まで理事会においてここまで厳しい意見を言った理事は居なかったようで、職員組合側の理事からは「今までどおり運営すべき」という意見が出るなど、その場では結論は出ませんでした。

2011年02月08日の日記

しかし、その後、千葉県が共済組合の監査を実施し、私が理事会で申し上げた内容や方向性とほぼ同じ指摘事項が出たことで、共済組合側も本気になって見直しの結論を出そうと動き始めました。
ちなみに県の指摘事項は以下の通りです。

・宿泊事業の経理状況や将来見通しを明らかにした上で職員議員協議会、地区別説明会、アンケートなどにより、直接組合員や構成団体の意向を把握すること
・独立採算へ転換することが可能かどうか専門的な機関に委託して実施するなど、経営見通しの検討を行うこと
・上記を踏まえ、理事会や組合会、場合によっては新たに検討組織を設けるなどして一定の結論を得ること
・温浴施設については費用対効果のバランスが著しく悪いことから早期に事業存廃について判断すること

これをご覧の県内市町村の職員がいらっしゃれば、自分の共済組合の掛け金がこうした宿泊事業に使われている実態を是非知って頂き、本当にこのような使い方が福利厚生上良いのか、考えてもらいたいと思います。
職員代表ということになっている職員組合の一部の理事は未だにこうした宿泊事業を存続させようとしています。首長側の理事は出席率は極めて低く、こうした実態にメスが入れられてきませんでした。

私は共済組合に公金を支出する首長側から選ばれた理事として、こうした実態を放置することはできないと考えていますし、また千葉市職員の福利厚生を向上させる観点からも、職員の掛け金が少しでも有効な福利厚生事業に使われるために早期の見直しを求めていきたいと思います。
posted by 熊谷俊人 at 10:37| Comment(1) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月01日

第5回番号制度に関する研究会に出席

この日は朝から東京で行われた番号制度に関する研究会に出席。
いよいよ個人番号(共通番号、番号制度)も実現に向けて進みつつあり、この研究会でも提言書をまとめる段階に入りました。

ただ、ここで懸念は、1月16日に行われた社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会(第14回)では番号カードが全国民に交付ではなく、申請に基づきカードを発行することとなっている点です。
これでは住基カードの時と同様、国民にとっても使い勝手の悪いものとなりますし、行政としても番号カード前提の行政サービスを行うことは困難となります。

研究会の出席者からも失望の声が出ており、研究会として明確に全国民への発行を提言することとなりました。
全国民へ番号カードを付与するのは莫大なコストが必要で反対論があるのは理解しますが、それをしなければ個人番号制度をスタートさせる意義が半減します。これでは行政が効率的に事務を行うことは一定程度果たせるものの、国民の利便性向上や新たな電子行政サービスを実現するという目的は果たせません。

政治のリーダーシップに期待します。

午後からは千葉に戻り、政策協議、観光協会のちばシティガイドとの意見交換会
千葉市の様々な施設などをボランティアでガイドして頂く「ちばシティガイド」は今年度で3期生まで育成が完了することになります。今後、こうした人的資源を活用し、千葉市の観光推進をどのように進めるべきか、様々な意見交換を行うことができました。

夜は新年会にいくつか出席。
posted by 熊谷俊人 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月29日

橋下市長の区長公募について

12/22の定例記者会見の資料と質疑応答を公開しました。
特に質疑応答については橋下大阪市長の区長公募などについて記者から質問があり、私の見解を示していますので、ご関心のある方はご覧下さい。

市長定例記者会見のページ

ちなみに私は区長を公募することに賛成の立場です。
ただし、その考えの前提が橋下市長とは少し異なります。
橋下市長は区の予算編成権を大幅に拡大し、局長以上、ある種市長に近い立場の区長を作り、公募という考え方のようですが、政令市の区役所は東京23区と違って市役所の出張所の強化版という位置づけですから、現実的には予算編成権の拡大には限界があります。

私自身マニフェストで区長・区役所への分権を訴えていますので、就任以来様々な取り組みを進めていますので、この分野については行政の論理と民間の論理、両方について理解し、2年半取り組んできたつもりです。
その立場から申し上げると、予算編成権というのは企画・立案し、実施する部署が存在し、初めて有するものですが、区役所は全区で共通の事務(戸籍・印鑑証明・年金・子育て)を取り扱うことが基本であり、その部分について独自の企画・立案をすることには限界があります。

仮に独自の企画・立案ができるとすれば、各区で全く別の制度が展開されることになり、もはや一つの基礎自治体ではなくなりますから、分割して独立市になるという話になります。そうなれば本庁の各部署が6つの区役所に分散することになりますから、相当非効率になりますし、膨張した人件費を市民の税金で賄うことになります。
政令市以降に伴って税部隊を6区に分散配置し、賦課徴収機能が弱まった反省から、昨年2つの税務事務所に統合した私たちからすれば、機能分散によるデメリットは相当なものがあると理解した上で区役所の権限拡大は議論しなければなりません。

私が進めている区への分権は区独自の取り組みがあっても良い分野、例えば地域の諸団体(自治会、民生委員、社会福祉協議会、NPOなど)の育成やコーディネート、地域の安全・安心を守るための取り組み、警察や大学など外部機関との連携による新たな取り組みなどについて、区に自主的に企画・行動できる権限と財源を付与していくものです。
今後は商店街などの地域商業の活性化についても区の業務とすることが考えられますし、まだまだ区役所が自主的に行動できる分野はあります。

というわけで、私は橋下市長の区役所分権とは少し異なる立場です。
ただ、橋下市長はそういうことも承知の上で確信犯的に主張しているような気がしています。ある種、国民の政令市の区に対する誤解を利用し、大阪都構想のステップにしようと目論んでいると好意的に解釈しています。

で、公募についてですが、予算編成権が基礎自治体並みになった区役所の区長としての公募は現実的にはありえないとしても、区長の公募そのものには意味があると思います。
先ほど申し上げたように区長に求められる分野は地域団体・関係機関との連携・支援であったり、区内への情報発信や広聴、本庁で定めたルールに則りながらも、現場で生じる矛盾や縦割りを現場サイドから問題提起して全体の改善につなげるといったものであり、こうした仕事は行政職員でなければ不可能というものではありません。

私が市役所の中に入って2年半経ちますが、民間からもっと人材を取り入れることは可能だと感じます。もちろん、行政職員の方が強い・優れている分野はたくさんありますが、民間に限りなく近い業務もありますので、そういう分野は民間出身者と行政職員による相乗効果が期待できます。
その中でも区長というのは比較的民間出身者でも適応可能な分野ですから、私自身も密かな構想として持っていましたし、千葉市でも区長を公募することはありえない話ではないと思います(もう少し先が望ましいとは思いますが)。

橋下市長は非常に注目されていますので全国から優秀な方が区長公募に応募されるはずです。対外的に主張している分野で成功するかは微妙ですが、区長公募そのものはある程度の成功が期待できると思います。

ただし、注意すべきはその公募に応募して区長になった方が将来大阪都構想の議論が進んでいく中で、市内・府内の市長選挙等に維新の会から立候補することがあってはならないということです(維新の会公認・推薦として立候補が望ましくないということであって立候補そのものは当然自由です)。
もし、そのような事態が発生すれば、市役所の職員の稼動で候補者を集め、市民の税金で立候補予備軍を区長として養うことになります。この点に関しては大阪市民や市議はしっかりと釘を刺しておく必要があると考えます。
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2011年11月11日

首都圏県都市長懇話会に参加

この日は首都圏県都市長懇話会に出席するため水戸市へ。
これは横浜市・さいたま市・水戸市・宇都宮市・前橋市・甲府市と千葉市の7市が集まり、首都圏の県都としての共通課題などについて協議・共同研究する場です。

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前回のテーマが社会資本の維持管理と活用、いわゆるストックマネジメントでした。
千葉市でも今年度から資産経営部を新設して取り組んでいますが、1年かけて各市の状況を調査し、その報告がありました。やはり前回提案市でもある横浜市の取り組みが先行しており、色々と参考になります。

その後、座長である水戸市長から今回のテーマとして防災が提案されました。
各市の震災後の対応や課題などについて意見交換。特に水戸市が最も被害が大きく、さらに水戸市の場合は市庁舎まで被害を受け、今でも15ヶ所に職員が分散して業務を行っており、市民の利便性・業務効率性の両面から非常に課題があるとのこと。ひとまずはプレハブの庁舎で急場をしのぐようですが、庁舎のあり方について市民やメディアも含めて議論されているそうです。
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2011年11月09日

韓国機張郡のオ・ギュソク郡守が来訪

この日は各種政策協議、歯科医師会から新年度予算に対する要望書の提出、午後からは韓国機張(キジャン)郡のオ・ギュソク郡守が千葉市役所にお越しになりました。
オ・ギュソク郡守とは8月に韓国で行われた日中韓地方政府交流会議で会談をしています(当時のブログはこちら)。

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グリーン科学担当部署のほか、機張郡がある釜山市の科学産業課、原子力医学院、釜山大学、科学技術協議会(科学教育やインフラ整備を協議するために、釜山市長、教育長、市内大学総長、新聞社の社長などで構成されている協議会)、記者団による訪問団で、千葉市の放射線医学総合研究所のほか、原子力関連施設も視察されるとのこと。機張郡は原子力発電所が立地しているほか、重粒子加速器の整備も進めています。オ・ギュソク郡守からは、

・初めての海外視察で千葉市との交流を積極的に進めていきたい
・例年4月にカタクチイワシ祭という郡にとって大きなイベントがあるが、今年は東日本大震災があったので自粛した。来年は盛大に行うので是非来て欲しい
・世界各国の放射線技術を活用した都市作りと加速器分野の発展を議論する「世界放射線技術大都市会議」を開催する予定であり、千葉市からも是非参加して欲しい

とのお話を頂きました。
今後も様々な分野で交流を深めていければと思います。
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2011年11月08日

九都県市首脳会議:子ども向け手当の地方負担など

この日は川崎市で開かれる九都県市首脳会議に出席。
石原都知事、上田埼玉県知事、森田千葉県知事、黒岩神奈川県知事、阿部川崎市長、清水さいたま市長、林横浜市長、加山相模原市長と私の9人で首都圏について議論する会議です。

会議前の控え室で議論になったのは「子ども手当」改め「子ども向け手当(もしくは子どものための現金給付制度)」の地方負担の問題です。以前から子ども手当の地方負担に反対し、当初の約束どおり全額国庫負担で行うことを求め続けてきたわけですが、報道等で厚労省が来年度の手当について地方負担を倍額とすることを求めることが分かりました。
まだ詳細を把握していない首長もいらっしゃったので記事を回覧したところ、どの首長も「一体何を考えているんだ」「到底受け入れられる話ではない」ということになり、九都県市で緊急アピールを行うことに。

子ども手当を巡っては制度が急に導入され、さらに国の都合で制度がコロコロ変わり、私たち市町村はその度にシステム改修・制度設計・市民への説明など多大な労力をかけています。今まさに現場では新たな制度変更に伴う再申請の処理や問い合わせで大変な状況にあるというのに国がこのような提案をしているようでは国と地方の信頼関係が保てなくなります。

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今回の会議での主な議論は以下の通りです。

【国への要請】
・権限や財源の移譲、地方自治法の抜本改正、税源移譲など地方分権改革の推進
・定期借地権を利用した未利用国有地の貸付制度を社会福祉分野に限定せず、教育や文化など公共性の高い分野に適用範囲を拡大すること
・放射性物質対策について、国が責任をもって具体的方針を定め、実現性のある手法を早急に示すこと
・社会保障と税の一体改革において、社会保障の一翼を担ってきた地方単独事業の財源確保に努めること
・官民連携インフラファンドの創設など首都圏のエネルギー対策に取り組むこと
・基準病床について都県が地域医療の実情を踏まえて認定できるよう、全国一律の算定方式を見直すこと

【九都県市による取り組み】
・自転車安全利用対策
・知的情報資源としての図書館活用の共同研究

放射性物質関連で話に出たのは、

・被災地の1日も早い復興のためには膨大な瓦礫の撤去が不可欠
・東京のように瓦礫処理を助けようとしている自治体に対して放射性物質を心配する国民から苦情が殺到している状況
・国策で進めてきた原発の事故による問題を処理する以上、本来は国がリーダーシップを取って基準を定め、自治体に要請し、国民に説明すべきであるにも関わらず、野田首相も含め全く説明責任を果たしていない

といった内容です。
午後からは九都県市のきらりと光る産業技術表彰。千葉市からは脳梗塞リスク判定のアミンファーマが選ばれ、猪瀬東京都副知事・上田埼玉県知事からも関心を寄せて頂きました。
その後、経済界代表も参加しての首都圏連合フォーラム。東日本大震災を踏まえた首都圏の産業振興と災害対策について議論しました。

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森田知事・上田知事に説明
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2011年11月07日

千葉市上空の航空機騒音の改善を国交副大臣に要請

この日は午前中は庁議、午後から東京で行われた第4回番号制度に関する研究会に出席。
前日に民主党の検討チームが番号制度導入にあたって「全国民に付与するICカード費用が莫大であり、ICカードを発行しない・紙や磁気カードにする」という内容の見直しを検討している、というニュースが出ていました。
まず紙や磁気カードというのは機能的にもセキュリティ的にもありえないので、先進国日本の与党の検討チームの案にこのような文章が存在すること自体が驚きです。カード自体を発行しないというのは発想として否定するものではなく、携帯などにカード情報を埋め込むパターンや指紋と顔認証で本人確認を行うという手法もあります。ただ、どちらも課題があり、現時点では現実的な解とまでは言えないでしょう。

その後、国土交通省に行き、松原仁:国土交通副大臣に千葉市上空の航空機騒音の改善に係る申し入れ書を提出しました。
このブログでも何度も紹介しているとおり、羽田空港の再拡張に伴い、飛行ルート直下の住民からの苦情が相次いでいます。本来はある程度分散して飛行することになっていたはずですが、実際はほぼ同一ルートを数珠繋ぎに通過している状況で、そのルート直下の騒音が重いものとなっています。
松原副大臣には、当初の約束どおりルートを分散化させること、ルート自体を極力住民に影響のないルートにずらすこと、管制技術を向上させて飛行高度を上昇させること、騒音が低い中型機の採用を航空会社に働きかけることなどを要請しました。副大臣からは「可及的速やかに解決できるよう取り組む」という回答があり、早い段階で何らかの改善案が示されることを期待します。

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今回の問題については県選出国会議員に国土交通委員会で質問して頂いたほか、様々な国会議員の方にご協力頂きました。改めて感謝します。
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2011年10月31日

指定都市市長会議に出席

午後からは東京で行われた指定都市市長会議に出席。
以前は12月下旬に開催されていましたが、その時期では国の予算編成等がほぼ終了しており、指定都市として国に何か要請しても単なるアピールに過ぎなくなることから、国の予算編成に影響を与えられ、かつ市長会の日程ともリンクする時期に行うべきではないかと私や他の市長が提案し、この時期の開催となりました。

会議の中身をまず簡単にまとめると、

・会長選挙では矢田:神戸市長が再選
・更なる地域主権改革の推進に向けた要請として、基礎自治体への権限と財源の移譲、義務付け・枠付けの原則廃止を前提として更なる見直し、出先機関改革の具体的な工程の明示、地域自主戦略交付金(いわゆる一括交付金)は税源移譲までの経過措置であることの明示、に加え「新たな大都市制度の一つとして特別自治市を創設すること」という内容を入れることに
・生活保護制度について年内には国と地方による会議を開き、地方の意見に対する国の見解を明らかにすることを要請することに
・広域大規模災害時において指定都市が対口支援を行うスキームについて確認
・私が提案した、「道府県と指定都市の間の課題(例えば県の子ども医療費助成が他市と比べて政令市は少ない等)に向け、指定都市市長会議で共同要請を行う」ことについては7市が賛同したものの、市毎に事情が違うことから実施しないことに
・首長や地方議員が国会議員を兼職する制度の研究についてはフランスなどの研究結果が報告された

といった内容です。
以前から議論している特別自治市については政令市の中でも少しスタンスが違うのですが、今回の会議で改めて意識合わせが行われました。

横浜・名古屋・大阪といった旧5大市は道府県からの独立志向が強く、特別自治市を創設して道府県の事務を一括に扱うことを目指しているわけですが、政令市は19市あり、道府県との連携が必要な都市もあります。
最近政令市になった市を中心に「特別自治市はあくまで大都市制度の一つであり、多様な大都市制度が必要」という意見が多く出され、政令市だけではなく中核市等も含めて基礎自治体への分権を進めていくなど、自治構造を見直す中で特別自治市のような大都市制度を創設していく、ということが確認されました。

こうした議論は以前から会議で何度も出ており、ようやく今回ある一定の共通理解が図られたと思います。あとは会長市と事務局がどこまで今回に至る議論を理解して今後進めていくかがポイントになります。
制度論(特別自治市の具体的制度内容を詰めていく)から進めるか、運動論(中核市も巻き込むなど実現可能性を高める方向から検討する)から進めるか、で考えが分かれているとも言えますが、私は少なくとも実現可能性が低いものはいくら議論しても無駄という考えなので、何十年と主張してきて未だに実現していないどころか、国民的理解も得られていない今までの活動の総括を行った上で、もう少し意味のある運動をする方向に指定都市市長会議の方向を変えていくよう求めていきたいと思っています。

会議でも発言しましたが、大阪都構想が出てきて、ある程度支持を集めている背景に、政令指定都市制度のメリットを国民に十分に説明してこれなかったことがあると考えます。
政令指定都市になる時には市民に「政令指定都市になればこんなにメリットがあります」と言っている割にはその後「政令指定都市になってどのようなメリットがあったのか」については分かりやすく市民に説明してきた都市は少ないのではないでしょうか。ここを丁寧に説明していれば政令指定都市を分割するべし、といった話にはならないと思いますし、指定都市に更に権限を移譲することでさらに住民にメリットがあると思ってもらえると思います。

千葉市は来年で政令指定都市以降20周年を迎えますので、何らかの総括をするべく準備をしています。
これは他市長も同様の考えのようで、会議終了後「どんな内容なのか、後で教えて」と何人かの市長に言われました。
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2011年10月24日

中国へ行ってきます

今日早朝から成田空港に行き、中国へ出発します。
今まで多くの方々が積み重ねてこられた友好親善の伝統を受け継ぐとともに、経済面も含めてさらに輪を広げていけるよう努めていきます。
posted by 熊谷俊人 at 04:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月22日

航空機騒音問題で飛行ルート直下のお宅を訪問

羽田空港再拡張に伴って千葉市において航空機騒音問題が発生している件で、問題解決に向けて県と関係市町村で構成される協議会などを通して国と粘り強く折衝を続けてきています。

20日夜には飛行ルート直下のお宅にお邪魔して、生活への影響など生の声を伺いました。
近いうちに私自身が国に要望に行くことを検討しており、その際には今回伺った市民の声も伝えていきたいと思います。

抜本的な解決に時間がかかる問題ではありますが、国も前向きに応じていますので、一つひとつ改善していけるよう取り組んでいきます。
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2011年10月09日

大阪都構想について

記者会見の時に大阪都構想について聞かれたのですが、私は橋下知事が大阪府と大阪市の二重行政の解消に向けて積極的に取り組もうとしていることは評価しています。
また、自治体の役割分担や権限移譲といった、非常に重要な課題であるにも関わらず、自治体関係者や政治家以外、殆どの国民が関心を持っていなかったことについて国民的議論の的に持っていったことも大変感謝しています。

ただ、何度か申し上げているように市の権限を奪って都道府県に移すというのは地方分権の流れに逆行するものであると言わざるを得ません。
実際、政令市は都道府県が行う業務の大半を行っています。二重行政を解消するのであれば大半を行っている政令市の方に残りの業務を移した方が効率的であるはずです。

また、橋下知事は「経済や産業政策は大きい母体で行う方が戦略的・効率的にできる」と主張されているようですが、他の政令市と違い、大阪市は人口267万人と大阪府の人口の3割、産業では過半という、圧倒的な規模を持っており、大阪府程度の大きさの自治体に移してもあまり効果はありません。
都道府県合併や道州制などによって、もう少し大きな広域自治体が存在するようになれば別ですが、現在の大阪市と大阪府の実力を考えれば大阪府に移すことによるデメリットの方が大きくなるでしょう。

もう一つ大阪都構想の主張として「大阪市は基礎自治体として大き過ぎる。30万程度の区を作り、区長を公選制にした方がより市民に近い行政ができる」というものがあります。これは一見聞こえが良い主張に思えますが、私には疑問です。

何のために市議会議員がいるのでしょうか。政令市は一般市と違って区毎に市議会議員を選出しますので、市議会議員を通して区民の意見を市政に反映させるシステムは既に存在します。
「いや、市議会議員は機能していない」と言う方もいらっしゃるかもしれません。確かに十分に機能していないかもしれません。議会改革を行うなどの不断の取り組みが必要でしょう。しかし、それは大阪都構想の区長・区議会も同じことが言えるのではないでしょうか。なぜこちらは機能することが前提なのでしょうか。

私からすれば長い歴史を誇る大阪市の市議会議員が機能していないと仮定するならば、区長・区議会議員も同様に機能せず、今よりも無駄な政治家と公職と何よりそれを選出するための莫大な選挙コストを増やすだけの結果に終わるのではないでしょうか。そんなことをするよりは区選出の議員と区民を交えた委員会を作るなど、今の制度の改善を行う方がよほど合理的です。

さらに申し上げると、大阪府の全ての市町村を再編成し、30万人程度の区にした場合に何が起こるか、基礎自治体を預かる立場からは容易に想像できます。それは地域コミュニティの分断です。
地域には自治会・社会福祉協議会・市民団体など様々な地域団体が存在し、長い歴史の中で一定の地域毎に連合体が存在します。基礎自治体の再編はそうした地域の繋がりを分断してしまう危険性があります。特に大阪市の区割りは千葉市などと異なり歴史的経緯に基づくものが多く、安易に再編成していいものではありません。
もちろん、そうした点に配慮しながら再編成するのでしょうが、合併はまだしも再編成には相当のリスクが存在することを考慮に入れた構想とは思えないのです。

いずれにしても大阪都構想はリスクがあまりに大きすぎる割にはそこまでメリットの無い、非常に非効率な手法に思えます。
冒頭に申し上げたとおり、大阪府と大阪市という特殊な二重行政の問題を解消しようとする着想は大変素晴らしいと思いますので、敵だ味方だというような話をするのではなく、十分に議論を深めていくべき話と考えています。
posted by 熊谷俊人 at 14:18| Comment(11) | TrackBack(1) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月05日

指定都市市長会のシンポジウムに出席

西口再開発ビル起工式の後、東京に移動して指定都市市長会シンポジウム「ニッポン再生のカギを握る『地域力』の向上〜指定都市の
ポテンシャルを引き出す「特別自治市」の創設」
に出席。
知事会に比べ発信力が弱い指定都市長会の主張をもっと広め、政令市への権限・財源移譲について国民の理解を得る取り組みの一環として開催されました。

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コーディネーターに元三重県知事の北川正恭氏を迎え、政令市側からは会長でもある神戸市の矢田市長、仙台市の奥山市長、広島市の松井市長と私の4名、ゲストとして民主党の逢坂誠二前総務大臣政務官、自民党の菅義偉元総務大臣、元横浜市副市長で甲南大学の前田教授でパネルディスカッションを行いました。

まず前段で奥山市長から「東日本大震災で実感した地域主権改革の必要性」と題した講演があり、仙台市の被災状況・復旧復興に向けた取り組みに加えて、

・普段から廃棄物を自分たちで処分しているため、がれきの処理については国や県に頼らず、神戸市の阪神大震災を教訓とした処理マニュアルをもとに自分たちで処理したため、仙台市だけが迅速に処理が進んでいる(9/22現在、72%にあたる98万トンの撤去が完了)
・震災の復旧には土木や医療など専門職員をどれだけ確保できるかが重要。政令市は幅広く専門性に優れた人員を数多く抱えており、政令市からの人的支援は早期復旧に役立った
・一方、仮設住宅については市に権限がないことが課題となった。仮設住宅は建設費や面積などの枠組みは国が決め、建設主体は都道府県となっているが、住民ニーズを受けるのは市町村。ここで建設の遅れやミスマッチが生まれた
・用地確保にあたって地権者と交渉することに慣れ、地域の実情も把握している我々が実施できればという思いがする。仙台市は他市よりも早く仮設住宅のニーズ把握などを行ったが、他市町村との公平性などの観点から建設着工が遅れた面がある
・国や県といえども普段行っていない業務を震災時に迅速・的確に行うことは困難
・住民に最も近い所にいて、平時から現場で対応している基礎自治体の職員が災害時の対応も担うことが望ましい
・権限を基礎自治体に移譲し、通常時における基礎自治体の役割を拡充しておくことが災害対応にも資することになる

と、災害対応から見えてきた分権改革の必要性について非常に説得力のある講演でした。
その後のパネルディスカッションでは民主党の逢坂議員、自民党の菅議員ともに「分権改革は与野党を超えて進めていかなければならない」という意見が出たほか、災害時に共通番号が果たす役割、災害時の政令市同士の応援体制など、様々な話が出ました。

私からは

・分権改革は国民には馴染みがない。分権の必要性も行政サイドからの説明が多い
・それは政令市のように他市よりも分権が進んだ市が結局市民にどのような恩恵を与えられたかを明確に説明するところから始めていかなければならない
・千葉市も液状化の復旧にあたっては県内他市よりも遥かに早いスピードで行っているが、これも政令市として専門職員を抱えているからこそ
・まず政令市だからこそ実現したことを説明し、その上で、より良い市民サービスを提供するためにはさらなる分権が必要という順序を取るべき

といった意見とともに国・都道府県からの分権が進めばどのようなことが可能になるのか、警察・幼稚園・ハローワークといった例を挙げて説明しました。
後日、指定都市市長会のホームページに議事録がアップされますので、その際にまたお知らせします。

その後、パラグアイ大使館に寄り、トヨトシ大使と懇談。
10/16には千葉市民会館にてパラグアイ建国200周年アルパコンサートが行われます。

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2011年08月31日

ソウル市九老区役所を訪問

韓国地域情報開発院の次はソウル市九老区役所を訪問。

九老区は韓国の自治体の中でも電子化に力を入れており、また自治体で最初にベンチャー企業大賞を受賞するなどIT産業の振興でも注目されています。
九老区は以前は工場がたくさん立地しており、大気汚染問題などで工場が郊外に移転し、その跡地活用を検討する中でIT企業の誘致に積極的に取り組んだとのことです。

区長とも意見交換をさせて頂き、様々な施策について説明を受けました。
一つひとつ非常に考えさせられるものばかりで、今後の市政運営にあたっても大いに参考にしていきたいと思います。

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李星(イ・ソン)区長。意欲的な方でした

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窓口を視察。民間のように効率的でした。左のカメラを持っている方は市民記者とのこと

その後、仁川空港に直接行き、夜に成田空港に到着。
窮屈なスケジュールではありましたが、電子自治体を含め大いに勉強になりました。
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