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2011年08月31日

韓国の現金領収書システム

視察の前に昼食を取った時に面白いものをカウンターで見ました。

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これは国税庁の現金領収書システムというもので、お店で現金で支払った際にこのシステムに共通番号か携帯電話番号を入力して手続きを行うことで国税庁にそのデータが行き、年末調整時に消費に関しての還付を受けられるというものです(共通番号ではなく携帯電話番号を入力した場合は携帯電話会社のサーバで携帯電話番号と契約時に確認している共通番号を自動的に変換して国税庁に送信されます。)。

なぜこのようなシステムが存在するのかというと、一言で言うと脱税防止のためです。
日本でもそうですが、中小事業者の所得の捕捉というのは難しく、税務署が相当な人員を割いてチェックをしています。韓国では所得を補足するための仕組み作りに力を入れており、消費者側から全てのお金の流れを申告してもらうことで事業者側の所得の捕捉をするという狙いがあります。そのため、年末調整で消費に関して還付をつけることで消費者側のインセンティブを設けて申告を促しています。

この仕組みをさらに向上させるために、韓国政府はクレジットカードの使用も推奨しているようです(履歴が完全に残るため)。さらに補足しづらい現金の流通を把握するために現金領収書システムが設けられています。
利用者からすれば都度データが国税に送られるため、年末にレシートを整理して年末調整をする必要が無く、政府から見ても消費者・店舗両方の所得の流れが把握できるほか、最初からデータとして送信され、システムで自動処理されるため人件費の大幅な削減につながります。

なお、利用する事業者には税額を優遇する措置が設けられているそうですが、設置しているにも関わらず消費者の利用を拒否する事業者があった場合は消費者から告発が可能で報奨金も出るとのこと。
韓国は様々な分野で告発制度が発達しており、駐車違反も市民から告発できるそうです。市民を活用して行政の効率化を図る取り組みということでしょう。

実際に韓国ではこのシステムの導入によってGDPの増加率以上に税収が増加したようです。

参考:国民への浸透・定着からインフラ整備まで 世界1位の韓国に学ぶ電子政府 成功の勘所
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韓国地域情報開発院を視察

この日は朝ホテルを出てソウル市へ。
先日、千葉市でも職員向けに電子自治体の講義をして頂いた廉宗淳(ヨムジョンスン)氏と待ち合わせし、韓国地域情報開発院を視察。

韓国地域情報開発院は日本が地方公共団体の情報化の推進を図るために設立した(財)地方自治情報センター(LASDEC)を学んで作った組織で、地方自治体が使うシステムを研究して作り、そのシステムを無償で配っています。日本は各自治体がバラバラにシステム構築をしていて多額のシステム投資をしていますが、韓国はこの点非常に効率的な体制になっていると言えます。
さらに、システムに対するサイバー攻撃に対応するセンターも運営しており、全国の自治体のシステムを支援しています。これも日本では各自治体が個々に管理していますが、一括で管理することで効率的であることはもちろん、より高度な知識を有する職員が対応することでセキュリティレベルの向上にも寄与します。各自治体のネットワーク構成はもちろん、サーバルームの異常まで監視しているのには驚きました。まさに集中管理です。

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奥の部屋がサイバー攻撃を常時監視しているセンターです

この韓国地域情報開発院の誕生で面白い話があり、韓国の方々が日本のLASDECを視察した際に「日本では各自治体のシステムをLASDECが作っている」というような受け止め方をしたそうで、「それは凄い。日本でできるのであれば韓国でもできるはずだ」ということで国を挙げてシステム共通化に取り組み、日本では実現できなかったことを成し遂げているというものです。

日本では地方分権が進んでいるため、全国一律でシステムを構築して管理することは厳しいかもしれません。スケールメリットが活かされる反面、個々の自治体にしてみれば自由度が損なわれるからです。私も通信会社勤務時代に社内システム統合を見てきましたが、全体最適化施策といえども抵抗感を感じる個々の組織を納得させることの難しさを感じました。民間企業内ですらこうですから、それぞれが独立した行政体をまとめるのは並大抵ではありません。
結果、日本では県単位で県下の自治体用のシステムを一部共通化する動きで止まっています。

今後何に力を入れていくべきかとの質問をしたところ、やはりモバイル・スマートフォン・クラウドへの対応でした。日本の自治体はクラウドはともかくモバイル・スマートフォンについてはまだまだ積極的に対応しているとは言い難いところがあります。しかし、この分野は今後行政として非常に重要な分野になるでしょう。
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2011年08月30日

日中韓地方政府交流会議、千葉市の事例発表

この日は朝から日中韓地方政府交流会議の事例発表。
開催地である全羅北道の金知事ほか3ヶ国の代表による東北アジアの地方政府交流の意義についてプレゼンがあり、その後コーヒーブレイクを挟み、交流を通じた発展事例・施策の発表。ここで日本を代表して千葉市のプレゼンを行いました。
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千葉市の発表はまず千葉市の紹介・観光PRをした後、そしてヒューストン市・天津市・呉江市と進めている国際経済協力について説明。
私が33歳と中国や韓国では異例の若さで現地メディアでも何度か紹介されていること、韓国にとって千葉市は20年前に世界卓球選手権大会が行われ、韓国と北朝鮮が初めて統一チームを結成し優勝した南北融和の象徴的な場所であることなどから非常に注目をして頂き、また反響も大変大きなものがありました。プレゼン後、多くの地方自治体の方々から声をかけて頂き、今後の交流に向け意義があったものと思います。資料を作成してくれた職員にも感謝です。

特に世界卓球選手権を覚えている韓国の方は相当多く、20年を記念して今まさに韓国でこの出来事を映画化した「コリア」が作成されているということもあり、千葉市が参加するには最高のタイミングでした。
また、幕張メッセで行われた国際会議・見本市関係で千葉市に訪れたことがある地方政府の方々も多く、こうした地理的特徴を生かしてより海外の魅力を千葉市に取り込む施策の可能性を感じます。

その後、地方政府代表者による昼食会、低炭素グリーン成長の事例・施策の発表の合間に、韓国の昌原(チャンウォン)市長、機張(キチャン)郡守と会談

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昌原市長と会談

昌原市は3つの自治体が合併してできた市で人口108万人の大都市です。韓国初の計画都市として開発が進められ、現在自転車を活用した街づくりを本格的に進めており、5,000台以上の自転車と300ヶ所以上の拠点でレンタルサイクル事業を展開しています。
韓国では自転車に乗る習慣が殆ど無く、街中でも自転車を見ることはあまりありませんでした。韓国ではクリーンな社会を実現するために国家レベルで自転車普及に乗り出しており、昌原市はモデル都市として徹底的に自転車を活用した都市づくりを進めているようです。今後、是非千葉市と交流をしていきたいとのこと。

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機張郡守と会談

機張郡は釜山広域市の郡ですが、原子力医学・科学特化団地構想のもと、重粒子加速器事業・輸出向け新型研究炉事業などが進められている自治体で以前から放射線医学総合研究所との交流などを絡めて千葉市にラブコールを送って頂いていました。
今回の大震災にあたっても放射能に効くと言われているワカメを大量に(聞くところによると1,000万円相当)送ってくれたほか、郡守の1ヶ月の給料を東日本大震災義援金に寄附したほか、郡を挙げて寄附活動を行って頂き、500万円以上の寄附をされたようです。放医研を抱える千葉市としてもお互い切磋琢磨する自治体です。

その後、地方政府交流会議では宮城県の村井知事・仙台市の伊藤副市長を交えて自治体としての防災機能の向上についてパネルディスカッション。
村井知事・伊藤副市長から被害の状況・復旧復興状況の説明があったほか、観光客が激減していることを訴え「東日本に多くの人が訪れてくれることこそが復興への支援」と観光PRも行っていました。

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夕方は閉会式とレセプション。
終了後、伊藤副市長と懇談を行い、仙台市の状況などについて意見交換しました。
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2011年08月29日

韓国出張:始興市視察、日中韓地方政府交流会議開会式

この日は朝からソウル市を出発し、始興市(人口40万人強)へ。
始興市では市長と会談したほか、電子自治体サービスの状況について説明を受けました。

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韓国では地方自治体の各種システムを統合化し、全国一律のサービスを受けられるようになっています。国民一人ひとりが持つ共通番号とカードによって個人認証が行われ、全国どの自治体の窓口でも住民票などが受け取れることはもちろん、24時間稼動している自動交付機のほか、日本よりも遥かに多くの手続きがオンライン上で処理できます。オンラインの場合は定められた仕様のプリンターで自宅で印刷ができ、手数料が無料です。
行政側にとっても一つの統合システム上で様々な業務が処理でき、ワンストップで住民サービスを提供できます。

日本では共通番号が無いためにAさんという住民と向かい合った時、住民票・戸籍・健康保険など個別サービス毎に情報を持っているため、一元的にその住民の情報が分からず、個々の端末で確認・処理をする必要があります。また、住基カードですら規格が別のため他自治体では使用できないほか、引っ越した場合はもう一度カードを作り直す必要があります。
また、各自治体が別々にシステムを構築するため、国の制度が変わる度に同じ変更にも関わらず各自治体が個別にシステム改修を行い、日本全体で見れば莫大なシステム改修費を払っている状況です。そのため、自動交付機も共通化できず、各自治体が個々に自動交付機を設置し、他自治体の住民は利用することができません。

これは韓国が少し前までは中央集権国家であり、国の下に地方自治体が存在していたため一気にシステム統合できたということ側面もあるかと思いますが、いずれにせよ統合効果は大きく、行政コスト・住民サービスともに韓国は世界的に見ても先進的な国となっています。

なお、共通番号のカードも見せて頂きましたが、生年月日6桁(yy/mm/dd)+7桁(最後がCD)の組み合わせとなっており、カードで年齢が分かるようになっています。裏面には住所記入欄(運転免許証の裏面と同様)と拇印。自動交付機などは指紋認証でした。
番号自体は出生時に付与されていて、カードは18歳になった時に発行されます。韓国ではお酒やタバコは18歳からで、このカードを提示して購入することになります。アダルト系のものを買う時もカードの提示が必要で、ネット上でも同様に番号を入力するそうです。選挙の投票時もこのカードで本人確認を行います。カードを紛失しても全国どの自治体でも発行が可能で、発行手数料は5,000ウォン。

このカードが韓国の国民にとっては身分証明書となるため、運転免許証は日本と比べるとシンプルな作りでした。住所は共通番号によってしっかり管理されているため、住所変更しても警察署に届け出る必要もありません。
また、全国の病院がネットワーク化されているため、例えば旅行先で病院に行っても自分の名前と住所を言ってネットワークへのアクセスを許可すれば、自分の医療情報を病院側が確認して診察することができるそうです。

共通番号を何でも本人確認に使用するため、民間からの情報流出事件が最近相次いでおり、韓国の国民の中にも抵抗を感じる人も出始めているようです。9月末から個人情報保護法も施行されるようで、少し歯止めがかかるのかもしれません。
ちなみに韓国は日本のシステムを真似ていますのでハンコ文化もあるのですが、今ではすっかり使う機会が減ったそうで、銀行なども基本はサイン(署名)でハンコを使うのは銀行の口座を作る時くらいだそうです。韓国大使の方は「日本に外交官として赴任すると外国人登録が完了するまで時間がかかる上、登録作業が完了するまでは銀行口座も携帯も持てず大変不便で不評」と言っていました。

私は始興市では統合システム化によって地方自治体のBPR(業務改善)がどのように行われたのかを質問したかったのですが、そもそもシステム導入とそれに伴うBPRが全国的なレベルで議論・導入されたため、個々の自治体ではそれほどノウハウがあるわけではなさそうでした。
後ほど説明しますが、システムが統合化されているため各自治体が持つサーバ自体も少なく、情報システム担当職員は日本の地方自治体と比べると少ないように感じました。その分、情報政策を考える部隊に集約化されている気がします。

視察終了後、副市長以下と昼食。韓国の伝統料理屋で、ハスを使った各種料理のほか、ホンオフェというエイを発酵させたものや納豆スープなど、独特の匂いと味がする料理も食べることができました。特にホンオフェは話には聞いていましたが、アンモニア臭がきつく、現地料理を何でも食べてきた私でも二つ目に箸が進みませんでした。
副市長は道から派遣されてきた職員で、韓国では副知事や副市長などは議会の承認事項ではないとのこと。また、知事や市長が任命するというよりはそれぞれ上位の行政府から派遣をされるケースが多いようで、微妙な緊張関係を生み出しているようです。

昼食後、高速道路を3時間ほど走り、日中韓地方政府交流会議の会場である全羅北道の扶安郡のホテルに到着。ここが国際会場の開催場所なのかと疑問に思うほど大自然の真っ只中でした。
この日は各国政府代表の顔合わせと開会式、レセプション。私も国際会議は初めての経験でしたので一つひとつが非常に勉強になり、参考になりました。

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2011年08月25日

ソウル市で給食無料化を巡る住民投票の結末

韓国ソウル市で大きな住民投票が8月24日に行われ、投票率は25.7%で、住民投票の成立要件である33.3%に届かず、結果、呉世勲市長が辞職する事態にまで発展しています。

ソウル市議会において昨年末、給食無償化条例案が可決され、ソウル市内の小学校592校で学校給食が段階的に無償化されています。2012年からは、中学校でも無償化が始まり、最終的には高校まで無償になるようです。
この条例に対して呉世勲市長は「バラマキ、福祉ポピュリズムだ」として、代替案として所得下位50%の家庭の生徒を対象に2014年度までに段階的に学校給食の無料化を実施する案を提示し、住民投票で市民の判断を仰ぐことになりました。

この条例化を推進している民主党を中心とした勢力は住民投票を成立させないために投票ボイコットを市民に訴え、市長側は投票率が33.3%を超えなければ開票すらできないため投票を呼び掛ける中で、33.3%を下回ったら市長を辞職すると宣言し、結果33.3%を下回り住民投票は不成立、市長は宣言通り辞職表明に至ったということです。

ちなみにソウル市の小中高生約88万人の給食を全面無料化すると年間約4000億ウォン(約280億円)かかり、市には昨年の約11倍の負担となります。
これは実はソウル市だけの話ではなく、民主党が全国レベルで展開している看板施策で、韓国の各市で給食無料化施策がどんどん推進されているようです。

お隣韓国の首都で起きた福祉施策を巡る住民投票の結果は非常に考えさせられます。
日本でも市長選挙で学校給食無料化を訴えるケースはたまに見られます。最近では市川市長選挙において大久保市長が無料化を公約に掲げて当選しましたが、税金投入が10億円以上必要ということもあり、実現には至っていません。

無料は誰でも嬉しいものですから賛成の方が反対より多くなりがちです。
しかし、巨額の税金を要する施策は結局は誰かが負担することになり、今回のケースで言えば子どもを持たない世帯から増税をするか、他の施策をカットしない限り、将来へのツケ回しとなります。その辺りの議論が不十分なままで無料化施策がどんどん進んでいくことを私は危惧しています。

例えば子どもの医療費助成にしても、千葉市も含め多くの自治体が助成しており、自己負担額は300円などとなっています。しかし、東京23区を中心に財政に余裕のある自治体では自己負担額すら無料としているケースもあり、市民から「他市と同様に無料にすべき」というご意見を頂くことがあります。
しかし、自己負担額を無料にするだけで何億円もの追加費用が必要となることを考えれば、最低限の負担はして頂くべきですし、その費用を別の子育て支援に回す方がよほど効果的です。無料によって安易に医者にかかることがあれば、医療費支出が増大し、結果市民負担に転嫁されることにもなりかねません。

財政健全化を進めるためには「どこに予算を使い、どこに予算を使わないのか」を明確に定める必要がありますし、有権者も自分自身でしっかりと考えなければなりません。
posted by 熊谷俊人 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月22日

指定都市市長会議:大規模災害時の支援体制について

この日は朝から東京で指定都市市長会議
今回は特別開催で、大規模災害時の支援について協議しました。

7月27日に行われた指定都市市長会議において私も含めて複数の市長より「今回の震災でも指定都市は職員派遣や物資支援などで大きな役割を果たした。もっと指定都市が連携して迅速に支援する仕組みを構築すべき」という意見が出たため、その仕組みを議論するため今回の特別開催となりました。

今回の震災では基礎自治体の機能が崩壊したことが復旧復興が進まない一番の要因であり、都道府県では業務が違うため直接的な支援は不可能です。そして、全国市長会では取りまとめなどに時間がかかることを考えれば、基礎自治体でありながら十分な人員と体制を持つ政令市こそが時間との勝負である応急期においてはより重要な役割を果たさなければなりません。

今回、各市から提案や主張があり、以下のような議論と結論となりました。

・大規模災害が発生した場合、速やかに先遣隊を派遣し、現地対策本部を立ち上げる
・先遣隊は即日派遣の緊急消防援助隊と同じスピード感で派遣する
・先遣隊の派遣都市は事前に地域ブロックなどにより割り振りを行う
・現地対策本部は被害状況の把握、現地のニーズを迅速に把握し、各政令市に支援を要請する
・各指定都市間の調整や国、知事会、市長会などとの対応を行うため中央本部を設置する
・大規模災害の定義などをある程度定める
・支援能力を高めるため、大規模災害を経験した都市(神戸、新潟など)をノウハウをもとに研修会や共同訓練などを実施する
・仕組みを作っても機能しなければ意味がないため、東北の被災地支援で復旧復興期のケースとして実際に機能させることを検討
・復旧復興にあたっては被災地が主導的にプランを作成することが望ましく、その点を念頭に入れた支援を行う

各政令市は今回の震災にあたり、相当の人員を被災地に派遣しています。
都道府県は災害の初期対応は行いますが、復旧工事の設計・発注、罹災証明の発行、復興計画の策定など、復旧復興の殆どの仕事は基礎自治体が行います。長期に人員を派遣することが被災地支援には必要であり、それは被災地以外の基礎自治体が担うしかありません。
普段、政令市がより自由度をもって市政運営できるよう権限の移譲を国や都道府県に訴えている以上、いざという時に一番動けるのは政令市であることも証明しなければなりません。

ここ数年、指定都市市長会議がより機動的に動けるようになりつつありますが、今回の議論は政令市がさらに全国的な使命を果たすという意味で意義のある会議であったと思います。


午後からは市役所に戻り、9月補正予算の協議、各種政策協議。
この日は久しぶりに夜の予定が無く、妻と娘と過ごすことができました。毎日娘をお風呂に入れてはいますが、やはりゆっくり過ごすと心が癒されます。
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2011年08月05日

子ども手当制度の見直しについて

子ども手当制度の見直しについて民主党・自民党・公明党による3党合意がなされました。
その結果、平成24年度からは所得制限を盛り込んだ制度に移行するということで、本当にやるせない気持ちになります。

一義的には民主党が国会での議論を十分に尽くさず、性急に日本全体に大きな影響を与える社会保障制度を導入したことが原因ですが、国民も地方自治体もこの制度には振り回されっぱなしです。
所得制限の金額で色々議論があったようですが、支給を担当する市町村からすれば基準がどこになろうと所得制限が導入される時点で業務プロセス・システムは全く別物となりますので非常に大きな影響が出ます。さらに申し上げると所得制限の話ばかりが先行し、私たちが訴えてきた地方負担の問題、保育料滞納者などへの支給を是正するための相殺制度の導入などについてはまだ白紙の状態です。

政党には政党の主張がありますし、理想と理想のぶつかり合いの中で様々な結論に至ることは十分理解できますが、少なくとも地方自治体にとってみれば非常に厳しいスケジュールの中で制度スタートに向けてシステム改修を行い、対象者への周知や窓口対応を行ったにも関わらず、わずか2年で再度システム改修や対象者への周知・窓口対応を行わなければならなくなります。システム改修費などの経費は国で見ることになっていますが、それは国民が納めた税金ですし、そうした措置があったとしても職員の稼働全てが補償されるわけではありません。
国の制度が行ったり来たりすることによって現場でどれだけのコストがムダとなり、貴重な職員の時間が奪われたかを考えると、教訓というには重すぎる結末です。

社会保障制度というのは国民の人生設計や生活設計に大きな影響を与える以上、政権交代などによって簡単に左右されて良いものではありません。
国では税と社会保障の一体改革も議論されていますし、国民健康保険制度・後期高齢者医療制度・生活保護制度など、様々な社会保障制度の見直しを今後行う必要がありますし、子ども・子育て新システムという子育て現場に大きな影響を与えうる制度導入も予定されています。
子ども手当の一連の問題を踏まえて、今後は国政において与野党を超えて社会保障制度や子育て施策を議論して頂き、地方自治体や国民に責任のもてる形で開始して頂くことを切に願います。
posted by 熊谷俊人 at 18:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月31日

指定都市市長会議の議論の内容

指定都市市長会の全体会議の主な内容を紹介します。

1.国庫補助負担金の改革について
民主党政権で国の補助金を一括化して地方に使いやすいものにしようという「一括交付金化」という話が何度も新聞などでも出てきた記憶があるかと思いますが、今年度都道府県に導入され、来年度政令市も含めた市町村に導入ということになっています。
ただ、都道府県への導入状況を見ると国庫補助負担金のうち一部にとどまっており、地方に裁量の余地が無いものが多い状況です。また、そもそも自由度の高い交付金だったとしても国から地方にお金を分配する構図に変わりはなく、本当に地方の自主性を高めるためには地方への税源移譲を進める必要があり、その移譲への道筋を示すよう国に求めていましたが、未だに示されていません。その辺りを国に再度強く求めていくことで一致しました。

地方制度に詳しくない方の中には、私たちが税源移譲を求めていることを「お金の分捕りあい」だと思う人がいますが、そうではありません。
既に地方自治体は国と比べて多くの仕事をしているにも関わらず、それに見合う財源を与えられておらず、国から配分を受けている状況です(業務は国4:地方6なのに財源は国6:地方4)。この地方への配分こそが国の権限の源泉であり、地方は国へ依存する体質を生み出しています。もちろん、過疎地域など貧しい地方に対する再配分機能は必要ですが、現状はあまりに国に財源が集中しています。そこを変えなければ現場のニーズにあった無駄の無い行政への変革は進みません。

私は正直今の都道府県に導入されている程度の一括交付金制度であれば導入してもしなくてもそれほど大きく変わらないと思います。


2.国の出先機関改革について
民主党政権になって華々しくぶち上げられた出先機関改革ですが、あまり議論が前に進んでいません。
例えば私たちはハローワークの移管を求めています。大都市は雇用の中心地であり、多くの失業者を抱えています。そして私たちは雇用確保の観点からも様々な経済施策を展開していますし、市民の雇用を守る施策も各種実施していますが、雇用斡旋の重要な機関であるハローワークの運営が移管されればより厚みのある雇用施策を展開できます。
また、今や雇用は福祉施策とも密接な関係を持っており、私たちは働けるにも関わらず生活保護を受けている人たちに対して就労支援を実施していますが、本来これはハローワークが行うべき業務です。この国のセーフティネットの仕組みは改善が必要で、本来は失業者と生活保護の間にもっと積極的な就労支援があってしかるべきですが、私たち現場は雇用斡旋の機能を持たず、ハローワーク側は生活保護に直接タッチしていないためにセーフティネットの一環としての就労支援が十分に果たせていない状況です。

ハローワークの移管に反対であれば国は生活保護行政も地方自治体に丸投げせず自分達で実施すべきですし、それが嫌であればハローワークの運営を移管すべきです。
国は「職業安定の業務を地方に移管することはILO条約第88号に反する」という不思議な論理で反対をしていますが、それは例えばハローワークのシステム全体に国が責任を持つ話であって各地のハローワークの運営を地方に移管する話とは別問題です。こんなレベルの反論を聞くのは本当に悲しくなります。

他にも経済産業省の出先機関である経済産業局が行っている中小企業支援やベンチャー支援、企業立地促進などの地域経済活性化は地方に移管できる業務です。
以前私が国の出先機関の仕分けに指定都市代表として出席した際に経済産業省の政務三役から経済産業局の実績として商店街活性化を紹介されてビックリしたことがあります。商店街の活性化は経済施策というよりも地域活性化・地域福祉施策で、地域の実態を知らない国が地方の頭越しに商店街に補助金を突っ込んで活性化させたことをもって出先機関の実績と言うのは無理があります。であれば全ての商店街に責任を持ってもらわなければなりませんが、そんなことは不可能ですし、天下の国家公務員にそんな仕事をして欲しくありません。
再度出先機関の移譲を具体例を挙げながら求めていくことで一致しました。


3.地域主権型社会にふさわしい地方自治法制の確立に向けた提案
地方自治体が何か独自のことをしようとした時に必ずぶつかるのは地方自治法の制約です。
この国の地方自治法は「なぜここまで詳細に規定する必要があるのか」と疑問に思うほど、膨大な条項を持ち、箸の上げ下げまで指定しているため地方の自主性・自立性が阻害されています。
例えば「地方議員は必ず常任委員会に一つは所属しないといけない」「監査委員は指定都市は4人、うち議員からは2人か1人選ぶこと」など細かいレベルまで制約があります。

中央集権時代に作られた法律がその後度重なる地方分権が行われても条文がそのままのため、様々な場面で実態と合わず制度疲労が生じていますので、早く自治法そのものを改正する必要があります。
規律密度の緩和、条例制定権の拡大、基礎自治体優先の考え方の明示など骨子をまとめて国に提案することで一致しました。


4.新たな大都市制度の創設に関する提案
政令市は既に19市まで増えていますが、そもそもこの政令市制度というのは暫定的な制度というか、妥協の産物として生まれた制度です。戦後、本来は大阪市などの大都市が都道府県から独立する特別市構想があったのですが、様々な反発から一部独立するに留まる政令市制度が誕生しました。今大阪都構想など大都市制度のあり方が議論されていますが、それは政令市制度が妥協の産物で生まれたところに問題の根源があるとも言えます。

多くの業務を都道府県に成り代わって実施しているにも関わらず財源の流れは相変わらず国⇒都道府県⇒政令市となっていて中間コストが生じていることを考えれば、警察や幼稚園行政なども含め大都市に移管し、どうしても広域行政体で行わなければならないものは大都市から広域行政体に業務を委託するような整理の方が良いのではないかという考えです。
千葉市くらいの規模の都市の場合は千葉県から独立した方が良いのかは議論が分かれるところですが、少なくとも横浜市・名古屋市・大阪市のような真の大都市は国際的な都市間競争に勝つためにも都道府県から独立すべきと私は思います。


5.生活保護制度の改革について
生活保護は毎年凄まじいペースで増加しており、特に失業者が集中する大都市の財政を脅かしています。このままでは大都市が生活保護のために殆どの財源を取られ、新たな投資ができなくなるほか、国の財政そのものが破綻してしまいます。
私たち地方は10年以上前から生活保護制度を抜本的に変える必要があると国に訴えてきており、ここ数年大阪市を中心に強力に国に対して要請を行ってきています。その結果、いよいよ国と地方の協議が5月30日からスタートしており、今一番重要な局面を迎えていると言えます。


(後日追記します)
posted by 熊谷俊人 at 13:08| Comment(3) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月30日

北川正恭氏と共通番号について意見交換

7/27に指定都市市長会が東京で開催されました。
午前中は各部会に分かれて協議が行われ、千葉市は地域主権推進部会に所属していますので、そちらで地域自主戦略交付金(一括交付金化と言われていたものです)などについて議論。

部会と全体会議の間に時間があったので元三重県知事で現在早稲田大学大学院教授の北川正恭氏と共通番号について意見交換。北川さんは「わたしたち生活者のための共通番号推進協議会」の代表を務めています。主な意見交換の内容は以下のとおり。

・共通番号が導入されようとしているが、政府は住基ネットの時に数多く訴えられた苦い思い出があるためか、共通番号の幅広い利用について消極的に見える(ちなみに裁判は全て国が勝訴し、最高裁で確定)。
・民間利用への道が今の案では断たれており、特に医療情報との連携ができないことは大きなマイナス
・共通番号の利用を広げることは医療機関など様々な機関に対応を迫ることになるため、各種団体が消極的になりがち
・本来、共通番号とは国民のためのものでなければならず、国民にとって利便性を感じられるものでなければならない
・引越しの際の手続きの簡略化や医療情報と連携して様々なサービスを受けられるなど、民間利用によって国民の利益を拡大することができる
・民間利用が無ければ、税の捕捉が用意になる、行政の事務が簡略化されるなど、官にのみメリットがある制度となる
・そうなると住基ネットと同様、利用が進まなくなる可能性もあり、税金を何千億円もかけて整備する価値がないものになりかねない
・生活者の視点からあるべき共通番号の機能について国民的議論を行わなければならない
・その際にはより生活者に近い行政体である市町村からの意見が非常に重要になってくる
・この国をどういう社会にしていくのか、そのビジョンが共通番号導入にあたって問われている

セキュリティについては私も企業でセキュリティ対策部門に所属していましたので大いに関心がありますが、個人情報というのは本人の意思によってコントロールすることが原則であり、民間利用など利便性が高い利用を望む人には本人の同意を得て拡大し、利便性を犠牲にしてもリスクを避けたい人は利用を閉じる選択をすればいいのです。

私は行政を預かっていて、住民の皆さんの手間をもっと軽減できるにも関わらず、情報流通を自ら止めているため住民に度重なる申請を強いている状況を何度も見ています。
例えば転入届の際に「あなたの転居情報を水道事業者・ガス事業者・電力事業者に伝えて手続きを自動化しても良いか」「貴方の年齢やお子さんの年齢などにより受けることができる福祉施策の案内をするために貴方の情報を活用させて頂いても良いか」「あなたの税情報が分かることで料金を減免できる行政サービスがある場合、活用させて頂いても良いか」などを事前に尋ねておくことによってお互いの手続きが相当簡略化されます。
他にも障害者の方は様々な支援制度を受ける際に障害者手帳を提示しなければなりませんが、仮に手帳を持参していなくとも本人の同意を得て端末にアクセスすることで対象者か判別することもできます。

他にも大きなところで言えば生活保護の審査にあたっては所得・資産・車の所持・居住実態などを調べて可否を決定しますが、これらの多くは本人申告に基づくしかなく、あとは職員が現場に行って実態調査をするしかなく、不正請求の防止も含めて相当な稼動がかかっています。
仮に生活保護を申請する際にこれらの調査に同意することを必須とし、共通番号によって税情報・金融機関の資産情報・車両の登録情報・水道などの使用実態などを端末から調査することができれば、不正受給を相当減らすことができますし、何より職員の事務作業が相当軽減されます。
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2011年07月05日

番号制度研究会に出席

この日は午前中は東京で行われた番号制度研究会に出席。
番号制度とは共通番号と呼ばれているもので、先日名称がマイナンバーになると報道されていました。(番号制度の詳細は国の番号制度専用ページにある「社会保障・税番号大綱」の概要などをご覧下さい)

日本は共通番号を導入していない珍しい国で、そのため行政の現場では様々なロスが生じています。
例えば別の市に引っ越した場合、転入届以外にも国民健康保険など様々な社会保障の手続き、保育所など自治体独自の福祉施策の手続き、水道などのライフラインの手続きなどが発生します。共通番号が導入され、その情報を自治体間でやり取りすることができればこうした手続きは全て一括で行うことができます。
ユーザIDで管理せず、個別のサービス毎にIDを振って別々に管理している企業を考えて頂ければ、いかにムダかお分かり頂けるかと思います。

前回の研究会で私からは「手続きの簡略化のほかに、共通番号をマーケティング的に活用することで、より戦略的な都市経営が可能となり、住民に恩恵をもたらすことができる。具体的にはデータ分析に活用できるようにすること。例えば生活保護が今急増しているが、税情報や失業保険、各種健康保険などのデータをクロス分析することで生活保護に陥りやすいパターンを把握することができ、生活保護になる前に未然にそうした方々に相談・支援などのアクションを起こすことができる。」というような話を申し上げ、番号制度の大きな研究テーマの一つとなりました。

今回、私からは
・番号制度により必要な情報を自動的に引き継ぐことが可能になるほか、その住民が必要とするサービスの情報をこちらから提供することが可能になり、住民の利便性が向上する
・各自治体は独自に様々な医療費助成を行っているが、医療保険との併給調整が非常に煩雑になっている。番号制度によって併給調整や重複支給のチェックが可能になる
・医療機関と情報共有することで医療費負担の現物給付化が可能となり、利便性も向上する
・自治体が行っている様々な福祉施策には所得要件のある給付や低所得者への支援があり、所得に関する情報が不可欠であるが、現状では引っ越した場合は引越し先でその制度の所管部署に所得の申告を本人にして頂く必要がある
・番号制度によって税情報の引継ぎが可能となり、住民も引越しの度に所得を証明する書類の添付が不要になる
・番号制度で様々な社会保障サービスが紐付けられることにより、行政サービスの恩恵をどの程度受けていて、一方でどの程度の税や保険料などの負担をしているのか、給付と負担のバランスを検証することが可能になる
・また、制度レベルでも集計をマクロで行うことで検証が可能となり、より良い制度を考える一助となる
・これら番号制度のメリットを活かすためには自治体の職権を整備してもらう必要がある
・具体的には国民皆保険である以上、例えば会社を辞めれば国民健康保険に加入する必要があるが、本人申請のため加入していない方も多い。他にも本来であればどこかの制度に入るべきにも関わらず本人申請主義のため我々では適正化できない、もしくは把握もできないケースが多い
・番号制度によって得られた情報をもとに職権によって資格の得喪を可能とする法整備が必要
・住民側に立っても、今は社会保障制度や福祉制度がきめ細かくなり、自分が受けられる制度を十分に理解することは難しいが、自治体側からその住民が受けられる制度についてプッシュ型で情報提供することが可能となるよう制度化が必要
・こうした自治体への権限付与は大きな利便性があるとともに、個人情報の利用について懸念を抱く人も一部出てくる。その懸念に対して一定の拒否権を付与する必要がある。
・ただし、大事なことは一部の人の懸念によって多くの国民に利便性が提供できる仕組み自体が見送られることのないようにしなければならない。国民にとって義務に近いものは100%自治体側に権限を付与し、それ以外の項目については住民に選択肢を渡すなどの手法を活用すべき
・社会保障を最適化することは効率的な行政、ひいては国民の税金がムダに使われない社会を作るためには不可欠であり、個人の情報であるとともに社会の情報でもあるという大前提について国民理解を高める取り組みが必要

というようなことを申し上げました。
現場に根ざした現在の制度的課題や番号制度導入にあたって考えるべきポイントを出し、議論は大いに盛り上がり、千葉市として貢献できたと思います。
その後、スウェーデンの社会保障制度の状況が示され、国民が社会保障を最適化することに理解があり、様々な形で番号制度によって得られる情報を活用していることが報告されました。

国民にとって最適な社会保障サービスを制度化するためにも番号制度は必要ですし、住民の利便性向上や税金のロスのない効率的な運用をするために番号制度の活用は不可欠です。
大事なことは今までどれだけのロスをこの社会が行ってきてしまっているのか、国民にはっきりと分かる形で示し、民間も含めサービス提供者にとって当然の固有IDによる管理を行うことが全ての制度議論の前に必要であるという認識を深める必要があります。
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2011年06月10日

航空機騒音:飛行ルートの高度引き上げ

報告が遅くなりましたが、羽田空港再拡張に伴う騒音問題の続報です。

羽田空港再拡張に伴う飛行ルートの見直しで千葉市上空を飛ぶ航空機の数が急増し、飛行ルート下の住民からは騒音被害を訴える声が多数寄せられています。
この状況を改善すべく、県とも連携しながら国に改善を訴え続け、昨年11月には国交副大臣に私が直接要請活動を行いました(2011年11月7日の日記)。

その後、国からは飛行ルートを少し変更し、交差部を住宅の少ない地域にずらすという提案が示されました。
私たちは一歩前進ではあるものの、これは緊急避難的対応に過ぎず、高度の引き上げ・飛行ルートの分散化・騒音被害の少ない航空機へのシフト、さらには首都圏全体での騒音共有など抜本的対策を早急に実施するよう国に求めました。

国交省はその後検討を重ね、まず飛行ルートの分散化については現状の管制技術の中で極力飛行ルートを散らす努力はしています。高度の引き上げについては、今月4日に県と関係25市町でつくる連絡協議会が開催され、飛行ルートの高度引き上げを早期に実施できるよう検討を進めていることが明らかになりました。
窓を開ける機会が増える夏が近づくにつれ、騒音に悩まされる住民も増加することが予想されます。私たちは住民の声を国に届け、この高度引き上げが1日も早く実現するよう、引き続き国に強く求めていきます。

また、高度の引き上げそのものは前進ですが、千葉市内を通る全ての飛行ルートが引き上げられるわけではないと聞いており、全ての飛行ルートの高度引き上げを求めていく必要があります。
そして、抜本的な騒音被害の軽減のためには千葉県以外の首都圏上空の活用を国に要求していかなければなりません。横田空域の問題のほかに、横田空域に制約されない東京都心の上空で現在活用されていないエリアが存在します。
今後は県選出国会議員とも連携を深めながら、首都圏全体での飛行ルートの分散化について国会・メディア等で議論がなされるよう働きかけていきたいと思います。
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2011年05月09日

番号制度研究会に出席

この日は東京で行われた番号制度研究会に出席。
これは田中直毅氏が理事長を務める国際公共政策研究センター主催の番号制度(共通番号)に関する研究会で、ITベンダーの有識者や大田弘子元経済財政担当相などがメンバーとなっています。私は自治体代表の一人として出席し、現場からの意見を申し上げました。

この番号制度は非常に重要な制度であり、私はこの国の一番重要な政策は何かと聞かれればこの番号制度を第一に挙げるかもしれません。
この国は先進国の中で共通番号を持たない稀な国であり、民間で言えばプロダクトIDのみで管理し、お客様IDが存在しない中で経営しているという状況です。どこかで体系立てて番号制度の意義について説明したいと思います。

その後、市役所に戻り、各種政策協議。
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2011年02月26日

TPPによる市内農業などへの影響に対する考え

全会派の代表質疑が終わりました。
その中で国のTPP(環太平洋連携協定)参加による市内農業への影響について答弁し、一部新聞に掲載されましたのでご紹介します。

農水省の算出法により2006年度の農業算出額で試算するとコメや落花生など7品目の農業生産額が23億6100万円減少することになり、市内農業の総産出額109億円の21.7%を占めることになります。

ただし、あくまで「農水省の算出法に基づく試算によると」ということです。
例えばこの試算ではコメは90%も生産量が減少することになっています。その試算の考え方は「新潟産コシヒカリ、有機米などこだわり米を除いて外国産米に置き換わる」ということだそうです。

本当にそうでしょうか?
日本人にとって米は値段だけで判断するものではなく、味も含めた信頼性の中で購入されるものです。確かに業務用での利用や安価なもので良いと考える人の利用も想定できますが、少なくとも90%も置き換わるという想定は日本人の米に対する気持ちからかけ離れた条件設定のような気がします。
他にも例えば牛乳・乳製品では56%の減少率となっていますが、千葉市の場合は牛乳が殆どを占めており、こちらは業務用牛乳で幾分入れ替わるにしてもここまでの影響を受けることは想定できません。

コメと乳製品の比率を半分にするだけで千葉市の影響額は半分以下となります。
正直、この試算は精微な分析を行った上での試算とは言いがたいところがありますが、この数字を農水省も大々的に公表し、マスコミも詳しい解説や分析が不十分なまま報道し、そして農業団体は当然この数字もよりどころにTPPに対する反対活動を行い、国民もこの数字をもとにTPPに対するメリットデメリットを考えてしまっている現状に私は危惧を覚えています。

もちろん、日本にとって農業は決して軽視して良いものではなく、TPP参加にあたっては農業関係者の所得を確保するための対策を取ることも大事ですし、農業団体が慎重な対応を求めることも当然です。千葉市でも後継者育成や新規就農支援など、あらゆる対策を取っているつもりです。
しかし、同時に我が国がここまでの豊かさを享受できているのは農業というよりは工業を中心とした輸出産業によるところが大きいことは誰一人否定できないはずです。そして、人口減少に突入した日本の状況や、新興国を初めとした諸外国の経済成長によってその地位は脅かされ、このままでは我が国の基幹産業が崩壊し始めるところまで来ているわけです。

10年20年前の幸せな状況はもはや過ぎ去りつつあり、急速に変化する世界情勢の中で我が国がどのように国益を維持していくべきなのか、正しいデータと現状分析の元でTPPに対して議論をすべきです。
FTAを始め、こうした諸外国との貿易関係の戦略について、輸出に活路を求めざるを得ない日本が真剣に国民的議論をしてこなかったことについて、私自身も含め大いに反省をしなければなりません。
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2011年02月09日

アクアラインの社会実験延長について

この日は午前中は政策協議、午後から正副議長・代表者会議。新年度予算案の説明のほか、15日から始まる第1回定例会に提案する議案の内容について説明をしました。
その後は雑誌取材対応など。

●アクアラインの社会実験延長における課題
アクアラインの通行料金を引き下げる社会実験を3年間延長することで国と千葉県が合意し、県は毎年15億円を負担するというニュースが入りました。
合意が無ければ4月1日をもって料金が元に戻るというギリギリの状況でしたので合意そのものには一定の理解をいたしますが、決して望ましい形だとは思いません。

県民の税金を毎年15億円も投入するのですから大変重い判断です。
県の発表によるとアクアラインの値下げによって

・交通量は、実験前に比べ、全日で1.5倍に増加、特に大型車は倍増
・ナンバープレート調査結果によれば、アクアラインを利用した車の割合は、千葉県が約3割、神奈川県が約3割、東京都が約2.5割、埼玉県やそのほかの地域が約1.5割
・経済波及効果に関しては、観光客の増加や物流事業者による新たな設備投資などの結果、首都圏全体で年間約358億円と試算

と、首都圏全体に効果が波及しているとのことです。
であるならば、なぜ千葉県だけが負担して神奈川や東京の負担は一切無いのでしょうか。瀬戸大橋などの本州四国連絡橋は関係自治体が共同で出資しています。(今後の負担については拒否する方針で今国と対峙しているようです)
森田知事の公約に基づき、早期に800円化を実現するために東京や神奈川に負担を求めずスタートしたため、本来は整理されていなければならない、これら課題の調整が難しい状況にあることは事実です。

今後、恒久的値下げを実現するにあたって、3年間の社会実験の間にゴールに向けた道筋・条件・データなどについて国・関係自治体と意識を共有しておく必要があります。

・国の高速道路全体の料金体系の中での適正な料金設定はいくらか
・その上で、その金額以上に値下げをする経済的価値がどの程度存在するのか
・経済的価値が存在する場合、どの程度までの値下げが最も効果的かつ税金投入が抑えられるのか
・税金投入にあたって周辺自治体が得られる経済的価値はそれぞれどの程度なのか
・その価値に基づいて負担を行うことについての各自治体の見解

これらの点についてハードな交渉も必要になりますし、国の体制変化や圏央道の開通など諸条件の変化も十分想定されますが、将来にわたって適切な施策となるよう、県には頑張ってもらいたいと思いますし、9都県市首脳会議など様々な場面で県をバックアップしていきたいと思います。
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2011年02月07日

愛知県知事選挙・名古屋市長選挙結果を受けて

名古屋市長選挙・愛知県知事選挙の投開票が昨日ありました。
結果は河村さんと大村さんの圧勝。予想されていたとは言え、やはり凄いと言わざるを得ません。当選されたお二方にはお祝いを申し上げたいと思います。

しかし、今回の選挙は不思議なことが多い選挙でした。

1.中京都構想とは一体何なのか?
大阪都構想に続き、中京都構想が華々しくぶち上げられたのですが、中身を理解して支持をした方がどの程度いらっしゃるのでしょうか?
私も選挙前に両候補者のマニフェストを見て中身を確認したのですが、殆ど具体的内容が記載されていないので、この中京都構想が何を意味しているのか、今でも分からないままです。

●具体的内容は殆ど示されず
実は昨年12月24日に行われた指定都市長会議でも河村市長に私も含め各政令市長が「あれは具体的に何なの?」「大阪都構想と同様に名古屋市を解体するの?」と聞いてみました。すると河村市長からは「名古屋市は解体しない。もっと元気になる」「要は庶民が主役の街づくりをするということ」というような、要領を得ない回答ばかりで、まだ具体的なことは何も詰まっていないということが分かりました。
私は橋下知事の大阪都構想にも基本的には反対ですが、まだ橋下知事の構想の方がほんの少し具体性がある分マシに思えます。

●県と政令市がタッグを組むのはいいが…
もちろん、県と政令指定都市が連携を密にすることは大事ですし、共通目標を持って臨むことも大変良いことです。私も千葉市長に当選して真っ先に行ったことの一つは県との関係修復でした。県と政令市は微妙な関係になることが多く、そこから二重行政などが発生しかねないため、意思疎通は非常に重要です。現在では副知事・副市長を窓口とした県市間懸案事項を協議する場が存在します。
そういう意味では県知事選挙と政令市長選挙が同時に行われ、タッグを組んだ二人が共有のマニフェストを出すこと自体はむしろ良いことだと思っています。ただ、詳しい中身も無く、「一緒にやればうまくいくんだ」というような気合レベルの構想を選挙の目玉にするというのは有権者に失礼ではないかと私は思います。


2.減税の中身を有権者は本当に理解しているのか
河村市長の政策の第一は「減税」であり、大村さんも愛知において減税をするということを主張されています。
減税の是非はさておき、まず減税の実態について理解をした上で有権者が判断をしたのかが少し不思議に思っています。

●一律減税は高所得者にメリットがある施策
名古屋において実施された減税は市民税の一律10%減税(均等割:3,000円⇒2,700円、所得割:6%⇒5.4%)です。
皆さんもご存じのとおり、市民税は所得の高い人の方が納税額は増えます。ということは減税によって最も得をする人は所得の高い人、ということになります。「いや、私は所得は高くないけど少しでも税が安くなることは良いことだ」という人もいらっしゃるかもしれませんが、ここで考えてほしいのは納税額と市民サービスは比例の関係には無い、ということです。

●低所得への福祉サービスは高所得が納める税金で成り立っている
行政が民間と違うところは、納税額が多い人ほど高い行政サービスを受けられるかというとそうではなく、むしろ納税額が少ない低所得者ほど福祉を中心に手厚い行政サービスを受けているところにあります。つまり、高所得の人が納めている税金によって低所得の人は行政サービスを受けているということになります。
例えば千葉市の場合、所得が410万円以下の人数は26万人以上、構成割合にして60%近くにも上りますが、この方々の税額は全体の20%ちょっとです。対して所得が1,062万円以上の方は全体の4.5%に過ぎませんが、税額は全体の24%を占めています。

●減税によって損をするのは低所得者では
一律減税によって所得の高い人の納税額が減れば何が起きるかと言うと、低所得者のための行政サービスを行うための財源が無くなります。
河村市長は「減税分は行革で捻出できる」とおっしゃっていますが、さすがに減税分全てを職員の給与削減で賄うことはできません。行革をいくら頑張ってもある程度の福祉サービスのカットは避けられないでしょう。

●政策そのものは荒唐無稽というわけではない
ここで申し上げておきたいことは、私は減税によって福祉サービスがカットされることをもって減税はダメだと言っているわけではありません。
カットされた市民サービス以上に減税の恩恵を得る高所得者層は確実に存在するわけで、低福祉低負担、小さな政府路線として一つの方向性であることは間違いありません。アメリカで言えば共和党寄りの政策と言えるかもしれません。
また、「高所得者が名古屋市に住むことで税収が増える」という河村市長の主張も(おそらく減税額を越えるほどの増収は難しいと思いますが)全く間違っているとは言えません。

●低所得者はこれでいいのか
問題は、この明確に高所得者向けの政策がなぜか低所得者にも良いことのように受け取られている点です。
何度も申し上げてきたとおり、一律減税によって恩恵を被るのは高所得者であって、低所得者は自らの減税額以上に市民サービスの低下が起きるリスクがあるにも関わらず、「庶民革命」の美名のもとで高所得者向けの施策に喝采を送るという、この特異な状況をどう考えれば良いのでしょうか。
もし、庶民向けの減税ということであれば、均等割・所得割ともに10%減税するのではなく、所得割はそのままで均等割を3,000円から一気に半額以下にまで引き下げれば良いと思いますし、実際に名古屋市議会ではそのような議論が行われたようです。その時の河村市長の反論が「そこまで安くすると低所得者は徴収コストの方が高くなり、税を取る意味が無くなる」という内容でしたから、やはり河村市長の減税はどちらかというと高所得者向けの減税が目的ということだと思います。

●県単位での住民税の減税はナンセンス
ちなみに県レベルで減税することは全くナンセンスだと思います。
愛知県が10%県民税が安い程度で静岡県や岐阜県の人が越境して居住するでしょうか? 名古屋市のように「隣に住むくらいなら少し安いから名古屋にしよう」ということは何とかありえるとしても、県を越えるのはあまり考えられません。ましてや首都圏や関西圏から移住することなどまずありえません。少なくとも700万人以上の既存の県民に対する減税額を上回る流入効果を得ることはまず不可能です。
意味の無い減税をする財源があるのであればその金額分を毎年企業誘致に使った方が何百倍も県民のためになるでしょう。大変残念な政策です。

●将来的には大きなツケを払うことも
さらに申し上げれば、今後少子超高齢化社会の進展により社会保障費が爆発的に増え、税収は伸び悩むことが予想されます。今でも予算繰りが厳しいのですから、10年後20年後はもっと厳しくなるでしょう。そんな中で減税すれば名古屋市の借金は確実に増大し、それが将来へのツケとなることが十分に予想されます。
子ども手当てによって借金が膨らむことをもって「子ども達の将来にツケを残して子ども手当てはおかしい」と言っている有権者が将来にツケを残す減税に賛成する現象は本当に不思議です。

●簡単に財源など生まれない
「いや、行政改革で減税分の財源は捻出できるはずだ」という主張がありますが、本当にそうでしょうか? 私も政令市の市長として行革を急ピッチで進めていますが、さすがに10%減税分ほど財源を捻出することは不可能です。
そもそも「民主党は予算組み替えで財源が捻出できると言っていたのにウソじゃないか」と批判している有権者が河村市長の「行革で財源は生み出せる」という主張は信じることが不思議でなりません。名古屋市の平成22年度予算を見ても基金を取り崩し、市債も大量に発行することで成り立っており、このままでは危険な方向に進むことは誰が見ても明らかです。


私は河村市長の政策を全て否定しているわけではありません。
先ほど申し上げたように減税というのは市レベルであれば政策上全くナンセンスというわけではありませんし、地域委員会を始めとした市民自治の取り組みも非常に意欲的な取り組みです(少し拙速感は否めませんが)。
ただ、中京都構想といい、減税といい、本当に中身を理解した上で有権者が判断したのか疑問を感じざるを得ない選挙だったのであえて申し上げました。それだけ河村市長のパフォーマンスが凄かったということでしょう。

最終的には民主的な選挙によって有権者が選んだ以上、その住民の選択が正しいことを信じるしかありません。
もし、深く考えずに「人柄」や「勢いがある」で投票したのだとすれば、その選択によるリスク・被害は河村さんや大村さんではなく、他の誰でもない有権者自身が負うことになるでしょう。
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2011年02月02日

国の高齢者医療制度改革に対して要請活動

この日は朝から東京に向かい、矢田神戸市長とともに指定都市市長会を代表しての要請活動
昨年12月24日に行われた指定都市市長会において私から「国の高齢者医療制度改革に対して地方・指定都市として声を挙げるべき」と提案し、全会一致で承認をされたことを受けての活動です。

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民主党の梅村参議院議員に要請

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厚労省の大塚副大臣に要請

●国の高齢者医療制度改革でムダ、ロスが発生しかねない
民主党は後期高齢者医療制度廃止をマニフェストで訴え、政権交代後、廃止を前提に新たな高齢者医療制度を構築するため検討を重ね、昨年12月に最終とりまとめを行いました。
その案を見ると、いくつかの点で制度逆行の恐れがあり、このままでは後期高齢者医療制度の導入にあたって各自治体が莫大な経費をかけて整備したシステムがムダとなるなど、様々なロスが発生することが懸念されます。

●後期高齢者医療制度導入で地方は多額の経費をかけました
老人保険制度から後期高齢者医療制度に移行するにあたり、今まで市町村が実施していた保険料の賦課・給付を都道府県毎に設置された広域連合が担うこととなりました。それに伴って広域連合に標準システムを、市町村に後期高齢者システムを構築したわけですが、千葉市だけでもシステム経費が7億円もかかり、国からの補助はほんの一部しか出ませんでした。
社会保障制度の変更は各自治体に驚くほどのシステム経費を発生させます。後期高齢者医療制度は制度導入にあたり、世論の強い反発などを受け、制度が導入直後からも微修正が入りました。そのことによっても莫大なシステム改修コストが発生しています。

●そのシステムや仕組みが無駄になります
今回の改革案を見ると、保険料の決定や財政調整などを都道府県が担うことになっていますが、保険料の賦課・給付が市町村に戻ってくるような絵になっています。これでは後期高齢者医療制度の導入に伴い広域連合・市町村で構築したシステムがムダになり、さらに市町村はまた新たにシステムを構築しなければならなくなります。こんなムダなことが全国で行われることは絶対に避けなければなりません。
もちろん、システムだけでなく、人員・体制など様々な面で今まで積み上げてきたものがムダとなりかねません。

●既存の仕組みを活用する発想で
そのため、私たちとしては可能な限り既存の仕組みを活用する制度変更を行うことを求めました。
制度変更第2弾において計画されている、国民健康保険と高齢者医療制度を一元化するという議論や、それらを含めて市町村ではなく都道府県を運営主体とする、という方向性そのものは決して間違っているとは思いません。第一弾のステップがずれているのではという指摘です。

●大都市を想定したシステム議論を
さらにシステム出身者として付け加えたことは、国でシステム要件を検討する際に大都市を想定した議論が不足しているために、結局それぞれの政令市がシステムをカスタマイズする必要が生じ、無用のコスト増を招いている過去の反省から、国はシステム要件を議論する際には必ず大都市も対応したシステムとするよう要請しました。大は小を兼ねますが、小は大を兼ねません。

●今回の要請活動は効果あり
民主党の要請対応窓口である梅村参議院議員、厚生労働省は大塚副大臣に対応して頂きました。
梅村議員は民主党の高齢者医療制度改革ワーキングチームの事務局長をされていることもあり、この点について十分認識をして頂きました。特に大都市を想定したシステム議論が不足していることについては「こういうご意見を頂くことは今まで無かったのでありがたい」ということでした。
大塚副大臣はシステムに造詣が深い方で、「こういうシステムサイドから制度議論をすることはこれから非常に大事。民間はこの発想でやっている。事務方と十分この点について検討をしていきたい」とのことでした。システム改革と業務の標準化などBPRの重要性について少し脱線しながら盛り上がりました。

●システムの大事さを理解する政治に
大事なことは早い段階で地方からトップレベルで意見を言うことだと思います。
また、大塚副大臣とも意見が一致しましたが、今の制度議論においてもシステム側の発想が政治には不足しています。今、世の中のサービスは全てシステムによって動いており、このシステムがいかに優れているかが企業の競争力そのものにつながるため、企業はシステム改善に常に最大の投資を続けています。一時期、ANAとJALのホームページ・予約サイトのレベルの差は歴然としていました(もちろんANAが圧倒的に優れていました)。企業のレベルはシステムを見れば分かります。
今ようやく税や社会保障について共通番号を付与する議論が始まっていますが、これは10年前に導入していなければならないもので、先進国の殆どが既に導入済みです。このことによる行政と国民の損失は兆単位です。この国は現代において最も重要なシステムが相当遅れていて、そのことを政治が問題視してこなかった国だということも是非知って頂きたいと思います。

●マスコミは中身を報道して欲しい…
その後、ぶら下がり取材を受けたのですが、こういう専門的なことはなかなか記者も理解しにくいのか、記事にしにくいのか、結局記事になったのは「民主党のマニフェストのためになぜ地方がシステム費用を負担しなければならないのか」という地方の反発といった点だけでした。
もちろん反発をしているわけですが、私とすれば早い段階で地方の建設的な提案をしたつもりだったので、こういう議論が詳しく新聞で取り上げられるようにならないと、国民の皆さんはいつも政局や政治的対立ばかりしていると思ってしまうのではないでしょうか。取り上げてもらうこと自体はありがたいのですが…、うーん。
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2011年01月25日

子ども手当の地方負担を拒否します

以前からこのブログにおいて、子ども手当の地方負担継続について地域主権に反するということを申し上げてきましたが、千葉市は来年度の予算案に地方負担を計上せず全額国費計上することを正式に表明しました。

昨年から9都県市首脳会議・指定都市長会議において、地方負担が継続された場合は負担拒否も辞さないことを決議し、その旨を国に伝えて見直しを求めてきましたが、残念ながら地方負担は継続されるどころか、国の扶養控除の廃止などに伴って発生する地方増収分についても子ども手当増額分の財源として活用する話まで出てきました。
住民税という地方固有の財源を勝手に自分達の政策財源に活用するという話は到底許される話ではなく、プロセス・制度内容ともに地域主権を謳う政権としては大変残念な対応と言わざるを得ません。

一番残念なことはこのような事が地方との話し合い無く、国から一方的に発信をされたことです。
新政権は地域主権改革を訴え、国と地方の協議の場を正式に設けるべく法案を国会に提出しているにも関わらず、今回の件では協議の場どころか情報提供すら無いまま地方を二度までも押し切ろうとしています。
新政権では今後も社会保障制度を始め様々な制度改革が進められることが見込まれますが、新政権にとってシンボル的な政策である子ども手当において「最後は地方は従うだろう」という姿勢のまま突き進めば、地方と国の信頼関係は根本から崩れ、今後の様々な制度改革において協議が成り立たないことが危惧されます。それは政権にとっても国民にとっても不幸なことです。

9都県市首脳会議の構成市である横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市は揃って新年度予算案において地方負担計上を拒否します。
千葉市においては昨日、市議会の自民党・公明党・新政ちばの3会派からも、子ども手当は全額国費とするよう国に強く求めるよう、申し入れを頂きました。なお、市議会においては前回の定例会にて民主党も含め全会派が地方負担継続に反対する意見書を国に提出しています。

今日は午後からアパホテル幕張において千葉県市長会が開催され、その席上にて上記方針を表明しましたが、以前から負担拒否を表明していた浦安市も改めて負担拒否を明言されました。
また、千葉市と浦安市から提案した、地方負担継続に対して強く抗議する声明を千葉県市長会として出すことも全会一致で決まりました。

このような異例の事態になってしまったことは私自身大変残念に思います。
私は新政権の地域主権改革に期待をしていますし、削減され続けてきた地方交付税を増額するなど地方の実情に配慮した施策も様々実現しており、現時点でも一定の評価はできると考えています。だからこそ、こんなことで国と地方の信頼関係を崩すようなことはして欲しくはありません。

地方がここまでの対応を取るに至った事態を重く受け止め、解決に向けて真摯な対応を取ることを切に求めます。
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2011年01月13日

会派意見交換会、記者会見、民主党大会に出席

この日は朝から政策協議、会派意見交換会
これは新年度予算編成の状況を各会派に説明し、最終確定の前に意見交換を行うものです。各会派の代表と1時間半ほど質疑を行いました。

●今年初めの記者会見
午後からは定例記者会見
今年初めての会見のため、発表事項は無く、記者との自由な意見交換を行いました。私からは今年の抱負について申し上げましたが、内容的には前日に行われた庁議と同様の内容ですので、12日の日記をご覧頂ければと思います。付け加えると、外郭団体の見直しと、4月から市立病院が地方公営企業法の全部適用に移行するので病院経営の独立性を高めるなど改革をサポートしていきたい旨を申し上げました。

質問の中では統一地方選挙の見通しや病院改革の考え方、タイガーマスク現象への見解、幕張新都心豊砂地区にイオンが進出する件への期待、アクアラインの地方負担に対する見解などについて質問を頂きました。
記者会見の模様は市の定例記者会見のページにて動画・文字起こしを見ることができますので、ご興味のある方はご覧ください。


●民主党定期大会に地元首長として出席
報道で見ると民主党内も色々大変なようですが、そんな最中、民主党の定期大会が千葉市幕張メッセで行われました。県警はメッセ周辺地区の警備を強化しており、大変物々しい雰囲気でした。
私は地元首長として、国民新党の亀井代表、社民党の福島党首、経団連の米倉会長、連合の古賀会長に続いて挨拶。

・私も政権交代に先駆けて千葉市の市政を預かることとなったが、借金の山と先送りされてきた課題と向き合い、時には苦しい決断をしている
・国政においても最も厳しい時期に政権運営をしているので様々な苦労があると推察する
・しかし、民主党に期待して投票してくれた国民の期待に応えるため、決してひるむことなく、将来世代に希望の持てる社会を引き継ぐために、決断すべきことを一つひとつ決断して欲しい
・新政権に申し上げたいことはたくさんあるが、この場では地方を代表して地域主権改革の推進について話をしたい
・地域主権改革はこの国の大きな枠組みを変える非常に重要な取り組み
・地域主権改革を進めるにあたっては基礎自治体(市町村)への分権こそが分権のゴールであるということを忘れないで頂きたい
・基礎自治体は住民に最も近い自治体として常に住民の監視、チェックにさらされている分、緊張感のある自治体である。また、住民ニーズを肌で実感しやすい自治体でもある
・都道府県への分権も重要だが、都道府県も間接行政体であることには変わりなく、基礎自治体に比べればチェックは甘くなるリスクがある
・新政権では事業仕分けに取り組んできたが、基礎自治体を始め地方に分権を進めることで、365日住民や議会による事業仕分けが行われ、国民の税金がより無駄なく活用することができる体制が実現できる
・ただ、基礎自治体は幅があり、自立できる自治体と自立が難しい自治体がある
・政令市や中核市、特例市のように自分たちの責任と権限で自治体運営をしていく気概を持っている都市を是非分権の実験場として活用して欲しい
・私たち自立できる都市で実験をした上で制度の改善、検討を重ね、他の基礎自治体への展開を考えれば、より実現性の高い分権が実現可能
・最後に国会について、子どもも見ているということを申し上げる。是非、子どもたちが希望を持てる国会であって欲しい
・タイガーマスク現象が日本中で起きているが、これは日本がそれだけ明るいニュースに飢えていること、そして子どもたちに明るい未来を持ってほしいという気持ちの表れ
・タイガーマスクの正体は伊達直人、日本の総理は菅直人。是非、子どもたちに明るい未来をプレゼントしてあげて欲しい
posted by 熊谷俊人 at 23:00| Comment(7) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

指定都市市長会:地域主権推進部会の議論

この日は指定都市市長会議のため東京へ。
午前中は千葉市が所属する地域主権推進部会、午後から本会議という流れです。

●一括交付金、実態は非常に危ういもの
地域主権推進部会ではまず国の一括交付金化について協議。
一括交付金という言葉が最近新聞でもよく目にするのでご存知の方も多いかと思いますが、各省庁が個別に地方に出している交付金を一括化し、より地方が自由に使えるものとすることでムダを無くし、かつ地域の実情にあった使途を実現するというものです。来年度から都道府県分が5,000億円ほど導入されると聞いていますが、都道府県と同様の事務を担っている政令市が含まれなかったことは残念です。
また、この一括交付金化の議論の中で、総額を減額するような話も出ており、地域主権改革がいつの間にか国の財政健全化の手段となることは許されることではありません。

●大都市が損をする制度では成長戦略上も問題
さらにはこの一括交付金制度を検討するにあたって「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を参考とするようですが、この交付金では都市よりも農村部が優遇される制度設計(人口の2割以上を占める政令市全体でわずか6.1%)となっており、このままでは大都市を中心に国からの交付金が大幅に削減される危険性があります。
地方交付税を含め国から地方へ配分されるお金の多くがこのような財政調整がなされており、大都市ほど不利になっています。国土の均衡ある発展という旧時代的な考え方の元で、日本全体の経済成長を担うべき大都市を不当に扱ってきたツケが今まさに経済停滞という形で現れていると思います。国に対して都市の実態を具体的に示して要請をしていくことを確認しました。

●出先機関改革は政令市に対する視点が不足
次に国の出先機関改革について協議。
12/16に地域主権戦略会議にてアクションプラン(案)が示されましたが、この内容を見ると移譲にあたっては地方が広域的なブロックを作ることを前提としているなどハードルが高いものとなっているほか、都市への分権という考えがあまり見られない点が問題です。例えば一級河川については政令市内で完結するものがあり、以前から要望しているにも関わらず盛り込まれていません。ほかにもハローワーク業務の移譲も大幅に後退しており、かつ雇用の中心を担う政令市を移譲先として位置づけていないという問題があります。
住民に最も身近な基礎自治体への分権が最終ゴールである以上、その基礎自治体の中で自立できる能力を持つ政令市を分権のモデルケースとしていく考えを是非国は持って頂きたいと思います。

●地方自治法制の抜本的見直しの必要性
次に地域主権型社会に相応しい地方自治法制の確立に向けた検討について協議。
現在の地方自治制度は「箸の上げ下げまで国が指図している」と言われるほど必要以上に細かい規定が書かれており、地方自治体が地域の実情にあった柔軟な対応をしたくともできないケースが多々あります。地域主権時代にそぐわない現行法制度を抜本的に見直すよう、具体的な内容について個別に検討を積み重ね提案を行うことで合意。

●中核市、特例市を巻き込んだ「自立した都市連合」の設立を
私がこの部会で発言したことは「政令市だけの主張では地域主権改革の議論の中で知事会と比べて発言力・影響力ともに乏しい。このままでは都道府県への分権ばかりが先行し、都道府県が焼け太りすることで、むしろ基礎自治体優先の原則から逆行する危険性すらある。もはや政令市という枠組みだけにこだわるのではなく、中核市や特例市など自立できる能力と気概を持つ都市と連携し、都市への分権を強力に主張する連合体を作るべき」ということです。
地方分権がなぜ必要なのか、それは住民に近い行政の方が住民ニーズの把握に優れており、より地域の実情にあった施策が展開できるということ、そして住民に近ければ近いほど住民の監視があり、ムダを省くことができる、という考えがあるはずです。にも関わらず昨今の地方分権の動きを見ていると知事会が地方側の意見の代表例として取り上げられることが多く、これでは国と同じ間接行政体である都道府県が焼け太るだけで真の地域主権改革にはなりえません。
ただ、市側にも問題があり、市長会では大都市から小さな都市まで全てが一つの団体に含まれており、小さな市の中には予算の殆どを地方交付税で賄っているなど、構造的に自立できない市が多く含まれています。そのため市長会の提言などで思い切った分権を主張することは難しい面もあり、結果的に知事会の主張が強くなる傾向があります。そうした私の危機意識から政令市独自の主張も大事ですが、まずは自立できる都市に対する分権を進めることを強力に主張することが必要と考え、提案をし、多くの市長の賛同を得て本会議で提案され、了承されました。

以上で部会は終了。
posted by 熊谷俊人 at 23:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月30日

美浜区倫理法人会の朝会、高齢者医療制度の課題

この日は早朝からニューオータニ幕張で行われた美浜区倫理法人会1000回記念モーニングセミナーに出席し、講話をさせて頂きました。
千葉港の街づくり、幕張新都心の活性化に対する考え方、千葉市の観光戦略、ヒューストン・天津などとの国際経済交流、科学都市戦略について説明し、多くの反響を頂き感謝しています。

その後、東京に向かい、前厚生労働副大臣の長浜参議院議員を訪ね、国が検討を進めている新たな高齢者医療制度の問題点について説明をしました。
国の案では年齢による区分は廃止されるものの、一旦広域連合で巻き取った事務が再度市町村に降りてくることや、現在の後期高齢者医療制度のために多額の費用を払って構築したシステムが殆どムダになるなど、実行面において多くの課題を抱えています。制度導入時に無用の混乱を招かず、かつ日本全体の税金支出を少しでも抑えられる制度とプロセスを国に検討してもらうため、今後も働きかけを強めていきたいと思います。

午後からは政策協議、議会の代表質問の答弁割り振りの確認。
いよいよ議会も本格化してきました。
posted by 熊谷俊人 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 国や県の制度など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする