九都県市首脳会議、通称首都圏サミットは首都圏の広域的な課題に取り組むため、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市の9自治体の首長が集まって会議を行うものです。

今回の会議の主なポイントは以下の通りです。
・地方分権改革を強力に推進するよう要求
・子ども手当の地方負担について来年度も地方負担を続けるようであれば、我々は負担と事務を返上し、独自に子ども子育て施策を展開する選択肢を検討する
・子宮頸がんなど3種ワクチンの公費助成は全額国費とすること、また定期接種の制度見直しを行うこと(千葉市提案)
・宝くじインターネット販売の早期導入の要請
・今年度で終了する東京湾アクアライン800円を来年度以降も継続することを国に要望する
・青少年をインターネット有害情報から守る仕組みを国に要望する
・児童虐待防止対策の強化について国に要望を行う
・高齢者の所在不明問題など孤立化居対策について意見交換、情報交換を行う
・若者の就労支援への取り組みについて経済4団体など関係経済団体に要請を行う
・ものづくり中小企業の国際競争力強化に向けた支援体制を確立すること
・首都圏の航空政策を国家プロジェクトとして取り組むよう提言
●子ども手当の地方負担は今年度限りの約束
このうち子ども手当に関する決議は非常に重要な意味を持っています。
新政権が政権交代後、今年度に子ども手当を支給する際に時間的制約から既存の児童手当のスキームを活用してその上に子ども手当を上載せする手法を取りました。その際に児童手当の地方負担を継続することとしたため、地方は「民主党のマニフェストには"子ども手当は国の責任でやる"と書いているではないか。事務を地方に押し付け、負担もさせるのはおかしいのではないか」と猛反発しましたが、"今年度限り"という条件で止むを得ず了承した経緯があります。
●相談も話し合いもなく一方的に地方負担の継続
しかるに、菅内閣はその合意を反故にして、地方との話し合いをすることなく一方的に「来年度も地方負担は継続」という意思決定を行い、メディアなどにもその方針を公表しています。政権の政策を実施するために地方との話し合いをすることなく地方負担を勝手に決めるという行為をするようでは新政権が掲げる地域主権改革など絵に描いた餅になります。
しかも、最近では来年度廃止される住民税の控除分を子ども手当の財源として活用するという話も出てきています。住民税というのは地方固有の財源で、この財源を勝手に国が使うというのは絶対に容認できるものではありません。
●このままでは事務のボイコットも
私は新政権に期待をしている立場ですが、高校無償化についても千葉市を始め一部の自治体に不利となる制度設計を押し付けるなど、昨今の内閣の方針に対しては地方を預かる身として看過できないものがあります。
私は夏に行われた政令指定都市長会議において「政策を実施する際は地方側と十分協議すること」「それがなければ事務のボイコットもありうる」という決議をすることを提案し、全会一致で了承を得て、民主党副幹事長にもその旨の要請活動を行いました。
国にも様々な事情があることは理解していますが、こうした要請をしたにも関わらず、このような事態になっていることは大変残念です。
今回の首都圏サミットにおいてはさらに一歩進み、事務のボイコットに向けて具体的な検討に入ることを確認しました。12月の政令指定都市長会議においても同様の議論がなされることが想定されます。
地域主権改革を掲げる政府に相応しく、国が地方と十分協議をして理解の得られる方策を検討するよう、今後も働きかけを行っていきたいと思います。