平成24年度予算案を発表しました。
今回の予算の特徴は、
・10年ぶりに市債管理基金などからの借り入れに依存しない予算編成ができた
・財政健全化プランに基づき市債発行を抑制したため市債残高は引き続き減少の見込み
・財政健全化の一方で将来投資として必要な分野には特別枠で予算を配分
・企業誘致などの経済対策、子育て施策、庁内システムの再構築などICT投資などが特徴
といったところでしょうか。
一般会計 3,658億4,000万円(前年度比 76億4,000万円増)
特別会計 3,875億1,600万円(前年度比 190億7,900万円増)
となっており、予算規模だけでみれば過去最大となっています。
主な要因としては、一般会計では中小企業金融対策が76.7億円増、消防指令センター整備が21.8億円増となったことが大きいわけですが、中小企業金融対策は銀行への預託金であり、実際に市が支出するのは利子補給など一部ですし、消防指令センターは県内他市と合同で整備するものを千葉市が一旦費用負担する形になっているだけなので、実質的にはほぼ横ばいの予算規模です。
特別会計の増は千葉駅西口再開発が進んでいること、高齢化に伴い国民健康保険や介護保険の特別会計が増えていることなどが要因です。
脱・財政危機宣言を出して3年目の予算編成でようやく通常に近い形の予算編成にたどり着きました。
平成22年度はあまりに収支不足が大き過ぎ、凄まじい数の事業見直しを行ってもなお、国民健康保険の赤字穴埋めのための繰出金を計上できなかったほか、退職手当の一部を計上せずに補正で帳尻合わせをする有様でした。平成23年度はそこまで酷くなかったものの、国民健康保険の赤字穴埋めは最低限の金額しか計上することができませんでした。
それを考えれば平成24年度は国民健康保険にも十分な繰出金を計上できている点は大きいと思います。
また、平成22年度・平成23年度とも最終的な収支不足を市債管理基金からの借り入れにより補わざるをえませんでしたが、平成24年度は初めて基金からの借り入れに依存しない形となっています。
市債管理基金とは借金を返済するために積み立てる基金で、借金の規模に合わせてルールに従って毎年積み立てる必要がありますが、千葉市は10年前からこの借金返済のための基金から借金するという緊急避難的な手法に手を染め続けてきました。
緊急避難的な手法を10年間も続けてきた結果、千葉市は見た目の借金以上にツケが溜まりに溜まった市となり、実質公債費比率・将来負担比率といった財政指標で政令市ワースト1位となったわけです。脱・財政危機宣言を出して3年目の予算編成でようやく脱却でき、そういう意味では財政再建の一つの節目と言えます。
とは言っても緊急避難をしなくて済んだだけであって、他市と比べれば以前最悪の財政状況であることに違いはありません。公債費のピークも平成29年度あたりまで続きますので、今後も財政健全化路線を崩すことなく、徹底した収支改善に努めなければいけません。
いずれにしても少し光が見えてきたことは事実です。
小泉政権の三位一体改革によって削減されてきた国の地方交付税が民主党政権になって少し回復したことも大きな要因の一つ(4割程度)ですが、それ以上に市として歳入確保と歳出削減に取り組んできた結果です。
これもひとえに職員給与の大幅カットを組合・職員が理解してくれたこと、大ナタを振るった平成22年度予算を一部修正があったとは言え、その殆どを議会が認めてくれたおかげです。改めて感謝します。また、平成24年度予算案も議会が承認して初めて効力を発揮しますので、十分な説明を行っていきたいと思います。
記者からは「予算を一言で言うと」と聞かれるのですが、平成24年度は「午前7時の予算」と申し上げました。
平成23年度は「午前6時」で「夜明けは近いことが分かるが、まだ光は差していないよ」という感じで、平成24年度は「ようやく光は差してきたが、朝はまだまだこれから」といった感じです。
ちなみに市債管理基金からは借入れが20億、償還が20億となっています。
これだけ見ると「借りて返すなら最初から借入れゼロ・償還ゼロでいいのでは?」と思われるかもしれませんが、私たちは予算執行の中でも経費削減に努め、もし上手くいけば借入れを20億から少しでも減らせるのではと考えています。そうすれば平成24年度から市債管理基金の借入れの返済を始めることができます。
予算で借入れゼロ・償還ゼロにしてしまうと償還そのものができなくなるため、あえてこのような計上となっています。
市債残高は一般会計で69億円、全会計で119億減少する見込みです。
補正予算などで変動はありますが、確実に市債は減少していますし、地方交付税の代替手段である臨時財政対策債を除けばもっと大幅に市債は減少しています。
別途、財政健全化プランの見直しについても紹介しますが、将来負担比率は平成21年度の306.4%から平成25年度には上手くいけば230%まで一気に改善できる見込みです。
これだけコスト削減を続けてきましたので、ごみ削減と同様に削減余地が無くなってきているのも事実です。
ここからは見直しに時間を要する大きな行革を実施していくとともに、職員一人ひとりの細かな事務改善の積み重ねが何より重要になってきます。