予算内容説明の第5弾は
歳入確保・経済活性化です。
財政再建には行政コストのスリム化が一番大事ですが、歳入を増やす取り組みも同様に必要です。
ただし、この「歳入を増やす(行政用語で税源の涵養)」という言葉は聞こえはいいですが、実際には非常に困難です。今までは右肩上がりの時代でしたから先行投資をして後で回収ということはできましたが、これからの時代は相当綿密に計画を練って始めて成果があげられるでしょう。「失敗しました、テヘ」では済みません。
私の考え方としては、
・投資をしてもある程度回収が確実に見込めるもの
・既にある資産などを活かすもの
・地味だが少ない投資で一定の成果が見込めるもの
といったものに予算を配分しています。
●市税事務所の設置 4,036万円
●市税等催告コールセンター設置 2,169万円いずれも徴収率向上に向けた施策で、いずれも今年の10月に設置します。
千葉市は市税の徴収率が92.0%(H20年度決算)と、他政令市と比べて非常に低い状況です。以前はもっと低かった(H16:88.3%)のですが、最近徴収対策を強化してようやく追いついてきました。徴収率が1%上がるだけでも数十億円の増収となりますので非常に重要です。
今後さらに徴収対策を強化するために、各区役所に分散していた賦課・徴収事務を2つの市税事務所に統合して効率的・機能的に徴収を行います。また、東には法人専用チームを、西には市税以外の国保料金なども含めて一元的に徴収するチームを立ち上げます。
●上下水道料金の徴収一元化 3,500万円千葉市の上水道は9割以上が県水道局ですが、若葉区と緑区の一部地域は市水道局のエリアとなっています。上水道と下水道が別々に徴収業務を行っているため、今回一元化することで収納率の向上や利用者の利便性向上を図ります。効果額は毎年1,400万円を見込んでいますので数年で元が取れる計算です。財政が厳しくともこうした施策は実施していかなければなりません。
なお、9割以上の県水道局の給水地域では依然として上水道と下水道は別々に徴収されることになります。上水道と下水道の徴収が別という非効率的な体制になっている県は全国でもこの千葉と長野県の一部のみです。県には以前から何度も一括徴収を要望しているのですが、未だに協議が全く前に進みません。私はこの問題を絶対に前進させていきたいと考えています。
●中小企業金融対策 313億5,171万円(73億7,513万円増)資金繰りに苦しむ中小企業を支援するため、市が金融機関と提携して利子や損失の一部を肩代わりするもので、この経済不況の中で大幅な予算増となりました。なお、予算額は預託金の金額も含まれているため巨額に見えますが、実際に市から持ち出しとなる金額は10億強となる見込みです(それでも巨額ですが…)。
また、今回新たに
商店街空き店舗活用支援資金(空き店舗で開業する創業者に支援)、トライアル支援資金(産学連携による研究開発や知的財産権を活用した事業を支援)の2つの融資メニューを新たに創設し、将来の千葉市の経済活性化に役立てます。
●商店街活性化対策 1,400万円(220万円増)商店街の空き店舗対策や地域連携事業に対する支援です。新年度から条件などを緩和するなど拡充を行います。
●千葉港湾の活用 880万円(800万円増)現在、千葉港において県と共同で埠頭などの港湾整備事業(平成24年度一部完成予定)を進めています。整備費用自体は年度末に補正予算で負担金を計上していますが、本予算では観光案内板の整備・新規航路創出に向けた旅客船運行実験・8都県市共同による東京湾広域観光の推進などを予算化しています。
千葉はまだ港を街づくりに活かし切れていない部分があります。海という貴重な資産を最大限活用して経済の活性化にもつなげていきます。
●科学の都構想 80万円有識者会議を開催し、科学の都構想を推進していくための検討を行います。
千葉大学や放医研を始めとする学術機関、京葉工業地域の企業群、科学館を中心とした行政機関を最大限活用することで経済の活性化と科学人材の輩出を目指します。
上記機関と話をするとどの機関も地域活性化に貢献をしたいと思っています。それは彼らの理想だけではなく彼らの生き残りのためのブランド価値向上にもつながるのです。地域へ貢献したいと思っている機関の持つエネルギーとノウハウを最大限に活かすことで投資費用を抑えながら経済の活性化を図りたいと考えています。
●ふるさとハローワーク 840万円雇用対策は重要な経済活性化施策の一つですが、国・県・市でそれぞれが対策を実施しており、なかなか一元的な対応が図れていませんでした。今回、市の無料職業紹介事業と国の職業紹介事業を統合し、稲毛区役所で無料職業紹介のワンストップサービスを開始します。
●緊急雇用創出事業 4億9,976万円国の緊急雇用事業を活用して合計388人の雇用を創出します。
●生活保護世帯の就労支援 1,708万円(560万円増)生活保護世帯の自立を促進するため就労支援相談員を4区役所に配置していますが、未配置の緑区・美浜区にも配置し、全区配置とします。
生活保護世帯への対策は今や市政の最重要課題の一つとなっています。経済悪化の中で生活保護世帯が増えるのは仕方がない部分もありますが、就労可能な世代がいつまでも生活保護を受けていては財政が持ちません。新年度早々にも対策を検討するチームを作って市を挙げて対策に乗り出します。
一方、見直した事業としては、
○中心市街地活性化のための各種イベント補助金 休止(527万円減)
○イルミネーション開催負担金 休止(1200万円減)
○千葉市民産業まつり 休止(620万円減)一部を除き、イベントへの補助は原則休止としました。
どれも活性化に対して一定の効果があったと評価していますが、優先順位をつける中で他事業を優先せざるをえません。