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2009年12月04日

なぜ千葉市だけがここまで財政危機なのか

財政に関して書いたところ、「なぜ千葉市が他市よりもここまで厳しくなったのか」というご質問を頂きました。ごもっともな質問です。

未だに誤解している人が多いのですが、千葉市が財政危機に陥っているのはリーマンショック以降の経済不況による税収減が主な原因ではありません。だったら全ての自治体が財政危機に陥るはずですよね。
千葉市は来年度予算では270億円の収支不足が見込まれていますが、このうち税収減による影響は100億円強であり、その他は別の要因によるものです。

では何が要因なのでしょうか。大きく分けると4点ほどあります。

1.市債がこれ以上発行できなくなったこと
2.基金から借り入れるなどの禁じ手が限界に来たこと
3.借金の返済(公債費)がピークを迎えつつあること
4.生活保護費などの扶助費が増大していること


1.市債がこれ以上発行できないってどういうこと?
お金が足りないとまず真っ先に考えるのは借金ですが、千葉市の場合、実は借金できる金額に上限が設定されていて、それ以上借金をすることができない状況です。
夕張市の破たん以降、国は地方財政健全化法という法律を作り、財政状況が危ない自治体に借金返済プラン(公債費負担適正化計画)を提出させ、約束した金額以上は借金を認めないようになりました。
千葉市は政令市最悪の財政状況にも関わらず今までは500〜700億ほど景気よく借金をしてきましたが、財政健全化法の成立以降、400億円前後しか借金ができなくなりました。まずこれでお金が足りなくなりました。

2.基金からの借り入れの状況
もう一つ千葉市が財源対策として手を染めてきたものに"基金からの借り入れ"があります。
12月2日のブログで市債管理基金という市債を返すための基金から202億円も借りていることを書きましたが、それ以外にも市庁舎を建て替えるための基金など様々な基金からごっそり借金をしており、基金は殆どカラになっています。
隠れ借金とも言うべき禁じ手で長年誤魔化してきたわけですが、国の財政健全化法によってこうした隠れ借金も財政指標の計算に組み入れられることになり、これ以上手を染めると早期健全化団体に転落することになりました。(にも関わらず平成20・21年とこの手法に頼り、ますます崖っぷちになったわけですが…)

3.借金の返済(公債費)がピークを迎えつつあること
政令市移行後、都市基盤をあまりに性急に推し進め、足りないお金を市債・債務負担行為(約束手形のようなもの)・基金の取り崩しに頼って財政を急速に悪化させ、市債はあっという間に1兆円を超えてしまいました。
借金の返済は少しタイムラグがありますので、この間は400〜500億円ほどの返済で良かったのですが、ここにきてとうとう、この莫大な借金の返済がピークを迎えることになり、確定値ではありませんが平成21年度:570億、平成22年度:606億、それ以降もずっと600億円以上を返済する必要があり、ますますお金が足りなくなります。

4.生活保護費などの扶助費が増大していること
さらに高齢化に伴い、介護施設を始めとした高齢者福祉の予算が増え続ける上、昨今の経済危機によって生活保護受給者が急増しており、これだけでも数十億円レベルで支出が増えています。

ほかにも千葉市は借金ですら賄えない開発行為を債務負担行為(約束手形のようなもの)で強行していましたから、この履行もこれからどんどん押し寄せてきます。
さらに外郭団体に爆弾がいくつか眠っていますので、この処理でも相当のお金が必要になります。また、都市基盤を急激に整備したということはその更新やメンテナンスも一気に来るということです。それに備えて他市よりも潤沢にその資金を用意しておかなければならないのに一番お金がないというのは非常に危険な状況です。

●急成長しただけに止まらず…
他にも様々な要因がありますが、大きく挙げると以上のとおりです。財政健全化法の成立以外は全て予測できたことです。
右肩上がりの時代に最もその追い風を受けて急成長した千葉市はその勢いが鈍った後も拡大路線を止めることができず突き進み、破綻が見えた後もその綻(ほころ)びを隠し続けて傷口を深くし、ついには再起不能の直前にまで至っているわけです。
途中から誰が見ても異常な財政運営を行っていたわけですが、当時の情勢や雰囲気を考えると財政健全化に舵を切ることは相当の勇気が必要だったと思いますので、私は過去の市政の舵取り全てを断罪する気はありません。しかし、財政健全化法が成立し、近い将来に行き詰ることを把握できた後も本当の意味で市政を転換できなかったツケを市民が払わされることについては反省すべきでしょう(そういう人を選んだのも市民ではあるのですが)。

●市政に近い人ほどマインドコントロールが解けていない
私が最近なぜここまで財政について厳しいことを書いているかというと、未だに千葉市の財政の現状を理解していない人たちが多いことに危機感を感じているためです(もちろん理解して頂いている方もたくさんいらっしゃいます)。批判が目的ではありませんので詳しくは申しませんが、この1ヶ月驚きと脱力と無力感にさいなまれ続けています。
特に市政に近い人ほど"脱・財政危機宣言"を「市長のパフォーマンスだ」と本気で思っている人が多く、予備知識のない市民の方がむしろ素直に今回の宣言を受け止めて頂いているというのは皮肉なものです。それだけ今まで財政部局を中心に行ってきた市のマインドコントロールが深いということなのでしょう。

●情けが仇に
財政危機を隠してきたので、まずはそれを明らかにした上でなければ予算編成も中期の財政健全化プランも作れないので財政危機宣言を遅まきながら出し、ただし、市のイメージダウンや士気の低下を最小限に抑えるために「脱」という文字をつけるなど少しソフトな表現にしました。また、責任論などの非建設的な議論になることを避けたいという思いもありました。
しかし、千葉市の将来を考えて控えめに表現したことが身内には仇となり、未だに目が覚めていないという弊害に気づきましたので、少し書かせて頂いた次第です。

●沈みつつある船でケンカをしている場合ではない
30そこらの若者が議員になって半年で気づくレベルのことです(市長になってさらに内情を知り危機感を強めています)。
長年市政に関わってこられた方々は今までの固定概念を捨て去ってデータを冷静に見て欲しいと思います。パフォーマンスだ何だと下らないレベルで揉めている余裕はもはや千葉市には残されていません。ここから先は少しでもロスをすれば即アウトの綱渡りです。全員が一丸となって初めてイーブンに持ち込めることに気づくことが千葉市の再建の第一歩です。

私はまだギリギリ間に合うと信じています。
厳しい期間を乗り越えれば千葉市は恵まれた条件をたくさん有している都市ですから、再度羽ばたくことができるはずです。ピンチをチャンスに変える、それが未来への責任です。
posted by 熊谷俊人 at 21:34| Comment(18) | TrackBack(1) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

財政危機の自治体に相応しく金策中

今議会に提案している補正予算の中に蘇我スポーツ公園用地取得費が計上しています。これはUR都市機構が先に整備している土地を買い戻すための費用です。

●計画は見直しできても約束は見直せない
蘇我スポーツ公園はフクダ電子アリーナを中心にサッカーコート、テニスコート、陸上競技場、総合運動広場など整備する大規模事業ですが、私のマニフェストに則って陸上競技場・総合運動広場の計画を廃止し、テニスコートも夜間照明の削減などで総事業費23億円を縮減しています。
ただし、土地については既にUR都市機構と協定を結んでいますので「やっぱナシで」というわけにはいきません。昨日の議案質疑では共産党が「買戻しを止めるべきだ」と主張しましたが、そんなことをすればURから訴えられて確実に敗訴してしまいます。

●支払を少し待ってもらいました
とは言いながら、財政危機の中で悠長に土地を買っている場合では無いと判断し、URとこの間折衝を重ねた結果、本来であれば1.2ha買い戻さなければならないところを0.8haでご勘弁頂いて、約2億円縮減した次第です。
他にも水面下で様々な団体に依頼をして金策をしています。昨日は民主党の富田議員が共産党の多重債務問題に関する発議に対して厳しい質疑を行いましたが、その中で突然「千葉市で一番の多重債務者は千葉市役所」というご指摘も頂きました。あながち否定できないところがあります。
posted by 熊谷俊人 at 07:49| Comment(8) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月02日

来年度予算編成がいかに厳しいか

今日の午後から議案質疑が始まります。
その一方で7日から始まる代表質問のすり合わせが始まっています。今回の代表質問のメインは「脱・財政危機宣言をするような状況下での予算編成についての考え方」になりますが、財政危機と言われてもまだピンと来ないという方も多いと思います。

「財政が厳しいのは前から分かっている」という意見がありますが、今回はそういうレベルで済むものではありません。

●今までの予算と今回は決定的に違う
まず認識しなければいけないことは「千葉市は厳しい予算の中で禁じ手を取り続けてきたために本当の意味で逃げる余地がない」ということです。
今までも財政が危機的な状況にある中で何とか予算が組めていたのは、工夫をしたからではなく、市債管理基金からの借り入れという禁じ手を取り続けてきたからに他なりません。

●今までは自転車操業で成り立っていただけ
市債管理基金というのは過去に発行した市債を償還するために定められたルールのもとで積み立てている基金(平成21年予算で約431億)ですが、千葉市はこの市債管理基金から202億円借り入れています。借金返済のために貯めたお金からさらに借りるという、完全な自転車操業でしのいできたわけです。
ちなみに、今年度予算は収支不足が220億円発生しましたが、都合120億円分を市債管理基金からの借り入れで誤魔化したので実質的には100億円分を何とか工夫して予算縮減したことになります。

●今回はその手法を使えない
私は議員時代にこの予算案(平成20年度も)に反対しましたが、それは上記のような禁じ手には限界があり、結局は危機を先送りしただけで状況はさらに悪化することが確実だったからです。
この市債管理基金からの借り入れで確かに単年度の予算は誤魔化せるかもしれません。しかし、自治体の財政運営を縛る財政健全化法の基準である実質公債費比率には確実に効いてきますので、イエローカードである早期健全化団体の指定はますます近づいてきます。

●最悪の時期のために踏ん張るべきだった
しかも、平成21年度に比べ平成22年度の方が景気悪化による税収減の影響をもろに受け、かつ千葉市は過去に大量の借金をしているために年を追うごとに借金返済額が増えていきます。つまり平成21年度に比べれば平成22年度の方がはるかに条件は厳しいわけです。
"市債管理基金からの借り入れ"という禁じ手はむしろ平成22年度や平成23年度に行うべきで、まだ比較的条件がマシな平成21年度はもっと徹底的な事業の見直しで逃げる余地を残しておくべきだったのです。

●危機から目を背けてきた代償は
にも関わらず、事業費を削るだけの小手先の見直しに留まり、本格的な事業の見直し・廃止に着手しませんでした。
結果、来年度の予算編成は逃げ道の殆ど残されていない中で最も税収が減るという最悪の環境での予算編成となりました。このことによってどれだけの市民と職員が犠牲になるか、本当に悔しい思いをしながら今予算編成にあたっています。

●事業仕分け対象事業など見直しの一部に過ぎない
千葉市版事業仕分けとも言われる事務事業評価の外部評価も遅すぎる実施なのです。
正直言って、この事業仕分けの対象は44事業であり、金額にしても仮に外部評価員の指摘を全て反映させて廃止や縮小をしても6、7億円しか削減できません。現実には即廃止とはいかない事業も多いため予算に反映させられる金額はこれよりも少なくなることは確実です。

●事業仕分け以上のカットが必要
収支不足額は270億円ですから、こんなレベルではとても予算は組むことができません。極端なことを言うとこの10倍以上の金額をカットしなければこの千葉市は早期健全化団体に転落するということです。
事業仕分けの対象となった事業を見て「廃止するのはけしからん!」と請願が議会にも出ていますが、仕分けの対象となった44事業はまだマシな方です。来年度予算案にはもっとショックを受けるような事業見直しが並んでいるはずです。また、市民や議会に見える形で議論している分でもマシだと言えます。

●貯まりに貯まったツケを払うことに
本来、一般会計3000億円余りの自治体で270億円も収支不足が発生すれば普通は予算を組めません。こういう経済危機にも対応するために自治体は基金などの貯金を持っているのですが、先ほど述べたようにこの千葉市は貯金をするどころか貯金からも借金をするという禁じ手を取ってきたために、こういう非常事態が起きても収入の中で予算を組まざるをえません。しかもこの数年、経費を一律カットしてきたために単純な経費カットも限界に来ている状況です。
無計画な財政運営の積み重ねによって来年度からしばらくの間、千葉市はのたうち回ることになったのです。

●「脱・財政危機宣言」は遅すぎた宣言
市長選挙において他候補が高齢者のバス・モノレール無料化などの景気の良い公約を掲げる中、私がマニフェストにおいて新たな予算を必要とする事業を殆ど挙げなかったのは、もはや新規事業などと言っているレベルではないことを想定していたからです。
脱・財政危機宣言についても本来であれば4年ほど前に出しておくべきでした。私は議員時代から宣言を出すべきだと訴え続けてきましたが、正直遅きに逸した宣言です。一部には「市長のパフォーマンスだ」とも言われていますが、前任者が出さなければならなかったものを私が遅まきながら出しただけです。4年前に出していればもっと計画的に事業の見直しを行うことができ、市民生活へのショックも幾分軽減化することができたでしょう。

●議会にも苦しい選択を迫ることに
来年度予算は各会派とも苦しい選択を迫られるはずです。
市民生活がある程度犠牲になるため、平時であればとても賛成できる予算ではないでしょう。しかし、この予算を認めない=この廃止・縮小は納得できない、となると借金をして早期健全化団体に転落することを良しとするか、他に見直す事業を探さなければいけません。ただ、先ほど述べたようにこちらから出す予算案はムダどころか本来ムダとは言い切れないものも含めてカットした予算ですから、代わりに削減すべき事業はおそらく見つけることは難しいはずです。
議会もこの財政危機に対して議員報酬も含めた議会経費の縮減に向けた検討に入るようです。ご理解に感謝したいと思います。

●早期健全化団体への転落をどう捉えるか
議会で議論されるべきは「そもそも、そこまで酷い予算にしてまで早期健全化団体への転落を避けるべきなのか」という点ではないかと思っています。
私は早期健全化団体に転落した場合、予算編成がさらに縛られてしまうことや千葉市のイメージが全国的に悪化し、千葉市に新規に住む人が激減するなど、長期的な損失を考えて、やはりそれでも早期健全化団体への転落を防ぐべきだと苦渋の判断をしました。この点は十分に議論されてしかるべきだと思います。

●事業費カット以外の削減手法も工夫
今はとにかく市民生活への影響を極力避けるため、URの土地の買い取りをしばらく遅らせることをお願いして億単位で浮かせたり、外郭団体の金融機関からの借り入れをより利率の低い市債に置き換えるべく国の関係機関に働きかけを行ったり、とにかくあらゆる手法と政治力を使って工夫を重ねています。

●将来の種まきは忘れずに
もちろん、カットカットでは千葉市の活力が削がれます。
徴収率を高めて市税収入を増やすために税務事務所を統合させ、さらに保険料や下水道料金などの一元徴収も実施することにしています。また、中小企業への金融支援のメニューを工夫したり、科学の都構想のもとで産業・観光振興も検討しています。他にも数多く施策を打っていますが、これらの施策が花開くには5年10年という期間が必要です。

●行政は良くも悪くもすぐには変化しない
行政というのは民間と違って、すぐに悪化することがない代わりにすぐに良化することもありません。非常に長いスパンで変化していくものです。
だからこそ非常事態になる前に正しい予測と認識のもとで行政運営がなされるべきで、それを欠いてきた千葉市はそのツケをしばらく払い続けることになります。私はこの厳しい局面で少しでも無駄を省き市民生活への影響を軽減すること、危機を先送りせず将来の希望を優先すること、少ない予算の割り振りをより市民目線の事業に振り分けること、市の組織と体質を改善して風通しを良くすること、などに任期中に取り組むことになります。

●異常な予算を通すことのリスク
今は私は支持率が高いと思いますが、来年度予算が通れば相当批判を受けることになります。それでも誰かがやらなければいけません。功成り名を遂げた人よりは私のような無名の若者の方がその汚れ役には相応しいかもしれません。
何期務めさせて頂けるか分かりませんが、市の財政にある程度目途が立った時点で市民や職員に対して私としてけじめを付けて辞任せざるをえなくなるでしょう。バトンを引き継ぐ次の方に良い環境を残してあげられるように種をたくさん蒔いておきたいと思っています。
posted by 熊谷俊人 at 11:55| Comment(11) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月20日

口座振替キャンペーン実施中!

市税における口座振替の利用を促進しようと、税務部で口座振替キャンペーンを行っています。1001名にプレゼントが当たるので皆さまもこの機会に口座振替にお申し込み下さい!

<対象者>
・市県民税(普通徴収)←天引きではなく請求書払いの方
・固定資産税、都市計画税(土地・家屋)
・固定資産税(償却資産)

<申込期間>
平成21年11月1日〜平成22年1月31日

<プレゼント内容>
1等 地デジ対応32型液晶テレビ(1名)
2等 500円相当のクオカード(1000名)

⇒詳しくはキャンペーン案内ページをご覧ください

●口座振替は良いことづくめ!
口座振替は普通徴収と比べると市民の皆さまにとっても便利な上、行政にとっても納期内での納付が多くなるため確実な税の徴収につながるほか、請求書の再発行や督促などの手間が省け、行政コストの縮減につながります。ちなみにコンビニ納付よりも手数料が安価なため、より増収効果も高いのです。
千葉市は他政令市と比べると口座振替の加入率が低く、こうしたキャンペーンを通して口座振替の加入を促進し、人件費や徴収手数料の削減・請求書などの発行コスト縮減・徴収率の向上により財政健全化を進めたいと考えています。

請求書払いの方はコンビニ納付も便利ですが、できれば口座振替に加入して頂きますようお願いします。
なお、既に口座振替に加入している方々にも市内施設の割引券などをお渡しすることを検討しています。
posted by 熊谷俊人 at 09:17| Comment(4) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月27日

脱・財政危機宣言を受けて

「脱・財政危機」宣言を出してから、市民の皆さまからは「頑張れ!」というエールを頂いています。
中には職場で寄付を集めていただいた方もいて本当に感謝をしています。職員も予想外の反応に驚いているようです。

もちろん、来年度予算が成立すれば市民生活にも影響が出てしまうのでもっと厳しいご意見を頂くことになるでしょうが、こうした市民のエールに応えられるよう、私たちも業務を様々な観点から見直して市民生活への影響を最小限にとどめたいと思います。
OBからの寄付についても概ね前向きな反応を頂いており、松井旭元市長にも協力を得られることになりました

また、市民の皆さまから「私たち市民は何ができるの?」という質問を頂いています。
ふるさと納税や市民による公園管理など、市民の方に支えて頂ける項目を今取りまとめていますので、近日中にお知らせできると思います。
posted by 熊谷俊人 at 21:03| Comment(17) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月21日

「脱・財政危機」宣言を発しました

先ほどの定例記者会見において「脱・財政危機」宣言を発しました。

今まで千葉市は市民の皆さまに財政状況をあまり伝えてきませんでしたが、 この数年間、千葉市は相当厳しい状況に追い込まれることから、市民と一丸となってこの難局を乗り切るために宣言を出した次第です。
これから予算編成が始まりますので、この宣言で庁内にも危機感を共有し、職員一人ひとりの苦心を重ねて危機を乗り切りたいと思います。
市民にも支出の見直しに向け考えて頂くきっかけになれば有り難いです。

なお、単なる「財政危機」宣言ではなく「脱」の文字を加えたのは、財政基礎体力に優れた千葉市であれば厳しい数年間を乗り切れば必ず危機を脱することができるということを市民に伝えたかったからです。

これから議会とも連携しながら既に着手している公共事業の見直し、市役所の仕事の総点検のほか、人件費の見直しも含め徹底的な行財政改革に取り組みます。

この難局は市・議会・市民全てが一致団結しなければ乗り切ることはできません。既に市職員OBにも寄付を呼び掛けていますし、今日の夜には全職員に私のメッセージが一斉配信され、さらには上司から直接財政の説明をする予定です。
市民の皆さまにはホームページ及び11/1号の市政だより一面で詳細説明をします


「脱・財政危機」宣言

千葉市は平成4年の政令指定都市移行を契機として、大都市にふさわしい都市基盤の整備に積極的に取り組むため、税収を大きく超える予算を組み続けてきました。
そうした積極財政を行ってきた結果、市債残高や債務負担行為の急増、基金の枯渇など財政の硬直化を招くこととなり、財政構造の転換を図るため財政健全化に向けた取組みを始めたところでした。

しかしながら、過去に積極的に発行した市債の償還がピークを迎えている中で、昨今の実体経済の急激な悪化に伴う市税収入の大幅な減少などが重なり、平成22年度予算編成の見通しでは、約270億円の収支不足が見込まれています。
また、これまでのような市債や基金に過度に依存した財政運営を続けると、財政の健全化判断比率である実質公債費比率が、平成24年度には早期健全化基準である25%を超える可能性があるなど、市の財政は、しばらく危機的な状況に直面します。

このような財政危機を乗り越え、安定した収支バランスを確保するためには、公共事業の見直し、すべての事務事業の総点検、人件費を含めた歳出カットなど、徹底した行財政改革を行うとともに、収納率の向上などのあらゆる歳入確保に取り組む必要があります。
これからの取組みは、行政内部の自助努力のみで成し得るものではなく、市民の皆様のご理解とご協力がぜひとも必要です。

幸いにも、千葉市の財政力は政令指定都市の中でもトップクラスですから、最も厳しい数年間を未来を見据えた果敢な改革によって乗り越えることで、財政危機は脱することができると確信しています。
職員一丸となって取り組みますので、議会及び市民の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。

平成21年10月21日
千葉市長 熊 谷 俊 人


「脱・財政危機」宣言の詳細はこちら
 
※10/22追記
この宣言の意図がまだ十分に伝わっていないので追記します。これはパフォーマンスでも何でもなく、この宣言をもって全ての取り組みが始まります。実はこの宣言は就任後からこの時期を狙って準備していたものです。
これから来年度予算編成の中で事業を抜本的に見直していかなければいけません。職員の給与も見直していかざるをえないでしょう。ただし、そうした痛みを伴う削減をするためには「なぜそこまでしなければいけないのか?」という事情について職員にも市民にも伝える必要があるからです。
既に職員は毎年度大幅な事業費カットを強いられていますが、未だに市からは自分達の職場の財政見通しについて正式に説明を受けてきませんでした。市民に至っては危ないということすら知らない方が多かったのです。共通認識を持たなければ抜本的改革は不可能です。

職員OBへの寄付も金額的には大したことが無いかもしれません。
しかし、財政健全化に向けてあらゆる方策を取る姿勢を示すことで職員の意識・市民の理解にも良い影響が少しはあるのではないかと考え、寄付を依頼することにしました。

既にモノレール延伸凍結(総事業費176億円)・蘇我スポーツ公園整備の縮小(総事業費23億円縮減)・都市計画道路の見直し(総事業費70億円縮減)や外部委員による事業見直しなどに着手していますが、さらに細かいレベルでの見直しを積み重ねなければ270億円の収支不足はとても解消できるものではありません。

「カットの話だけではダメで収入増加を」という声がありますが、もちろん収入増加策も仕込んでいます。
ただし、残念ながら収入増加策が花開くには時間がかかります。最も厳しい3年間ほどは殆ど効果がありません。少なくとも甘い見通しで収入確保策という名のもとにこれ以上税金を投入するわけにはいきません。
posted by 熊谷俊人 at 12:59| Comment(21) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月09日

事務事業評価のヒアリング日程が確定

先日紹介した市役所の仕事の総点検ですが、ヒアリング日時と対象事業が決まりました。
期間は10月23日から11月6日まで中央コミュニティセンター8Fにてビッシリ行われます。対象事業は42事業です。

詳細は市役所のホームページをご覧下さい。
http://www.city.chiba.jp/somu/somu/gyosei/jimujigyou.html
posted by 熊谷俊人 at 05:59| Comment(3) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月08日

人事委員会勧告&来年度予算の概要

今日、人事委員会勧告を受けました。
人事委員会勧告とは毎年、民間との給与格差を調査して給与改定を私たちに勧告するもので、今回は不況によって民間企業の給与が低下しているために月額給与で0.36%、期末手当で0.35ヶ月分を引き下げるものです。

政令市以降後、期末手当は最大の下げ幅となりましたが、民間の感覚からすれば「貰い過ぎだ!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
これは市内の一定規模以上の会社で、かつ正社員の給与平均から割り出しているために発生する感覚のズレで、一概に断じることのできない難しい問題です。制度そのものは国で今後議論されることになりますが、まずは我々はこの勧告を尊重し対応する責任があります。

その後、10月16日から始まるノースバンクーバー市の公式訪問団への対応を協議。数日間に渡ってレセプションが行われます。
ノースバンクーバー市は小さな市で、市長は名誉職に近い存在のようです。市長は議会(6名)では議長を兼ねるほか、市政に関してはあくまでアドバイザー的立場で、実質的な行政運営は行政官という役職の職員が行うそうです。

午後から定例記者会見。内容は後で記載します。

さらに来年度予算編成方針を財政局と協議。
何度もこのブログで申し上げていますが、来年度はかつてないほどの厳しい予算編成になります。過去に過度の投資をした意思判断は十分反省しなければいけません。
聖域なき行財政改革のほか、止むを得ずしばらく休止できる事業を選定するなどあらゆる取り組みをしなければとても乗り切ることはできません。
posted by 熊谷俊人 at 22:47| Comment(10) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月06日

千葉市版行政刷新会議スタート

今日、事務事業評価の外部評価員会議がありました。
これは私がマニフェストでも約束した「市役所の仕事の総点検」に基づき、事務事業評価に外部の専門家の意見を取り入れるものです。

メンバーは福嶋 元我孫子市長を始め、元県部長・学識経験者・PTA関係者など豪華メンバーが揃いました。
1000を超える市の事務事業をこのメンバーがそれぞれチェックし、必要性・内容に疑問を感じる事業を洗い出した結果、91事業が出てきました。このうち、担当からヒアリングをする事業を40ほどに絞り込む作業が今日の目的です。

さらに今回面白いのは、市民の意見を聞くプロセスを複数の方法で取り入れている点です。
今日決まったヒアリング対象業務は10月8日にホームページで公表され、市民の皆さんから意見を募集します。今月下旬〜来月初旬まで行われるヒアリングの際には寄せられた市民からの意見も参考にし、さらには当日傍聴に来ていた市民の方にも随時意見を求めていきます。

千葉市版行政刷新会議のようなもので、費用と稼動の削減に向けあらゆる取り組みを今後も進めていきます。

⇒事務事業評価のページ
 http://www.city.chiba.jp/somu/somu/gyosei/gaibuhyouka.html

posted by 熊谷俊人 at 20:08| Comment(3) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月05日

実質公債費比率ワースト1位はギリギリ回避

今、来年度の予算編成に向けて政策協議をしていますが、ここで平成20年度決算を受けての各政令市の健全化判断比率が出ました。
千葉市の順位は、

将来負担比率:309.6(ワースト1位)
※2位は横浜市の261.1

実質公債費比率:20.1(ワースト2位)
※1位は横浜市の20.2

・将来負担比率:財政力に対してどれだけ将来に負債が残っているか
・実質公債費比率:収入のうち借金返済にどれだけ割かれているか

千葉市は将来負担比率がワースト1位、実質公債費比率がワースト2位で、今回実質公債費比率が横浜市を抜いてワースト1位になるのではと言われていましたが、ギリギリ2位に留まりました。
千葉市はしばらくの間、以前に豪快に発行した市債の返済で苦しみますので平成21年度決算では両方ともワースト1位になる可能性が高いです。

千葉市の財政危機は待ったなしです。
不祥事のゴタゴタは早く解決して、市・市議会が一丸となって財政再建に取り組まなければなりません。
私たちはムダな事業を洗い出すため、市も市長も外部委員も事務事業の見直しをしています。議会も「ここに予算を」という要望も重要ですが、「これは必要性の乏しい事業では」という指摘もして頂ければ有難いです。
posted by 熊谷俊人 at 06:02| Comment(11) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月02日

給与カット案について色々と…

この日は朝からUR都市機構に関する説明を受けました。UR都市機構が千葉市内で保有しているマンション・団地は3万戸を超えます。
千葉市は他の大都市と比べても突出して団地が多い都市で、今後その団地の高齢化と正面から向き合わなければなりません。団地再生も含めて今後の課題を確認しました。

その後は来客対応が2件、来週から始まる市議会に提出する議案の確認、午後からは正副議長・代表者会議にて議会側に正式に議案の説明を行いました。
その後、わけがあり幹事長会議にも出席。私は幹事長を経験することなく市長になりましたので幹事長会議には初めて出席です。貴重な経験をさせて頂きました。

●給与カット案に会派から申し入れが
私が前回の議会で提案した市長・副市長の給与カット案は「パフォーマンスではないか」「根拠が不明確」「一般職へ波及する恐れがある」などの理由で継続審議となっていました。
先日この議案について、新政ちばから「幹部職の給与カットは一般職員にも影響しかねず慎重な対応を、退職金は更なる引き下げを検討しては」、自民党からは「地域手当を無くしてさらに給与カットしては、退職金もゼロにするなどしては」という申し入れがありましたので、それも含めて私の見解を述べました。

●幹部の給与カットは説明不足でした
まず幹部職の給与カットについてですが、これは市長・副市長の給与カットと同様に千葉市の厳しい財政状況に対してトップが自ら姿勢を示す必要があることから検討しました。
私としては給与の逆転現象が起きないかなどを慎重に見極めながら提案するつもりでしたが、「9月議会以降に提案したい」と申し上げたところ、それが「9月議会にも出す」と受け取られてしまい、まるで市長・副市長の給与カットと連動して提案されるかのような誤解を招いてしまいました。表現が不十分であったことを陳謝するとともに、もうすぐ人事院勧告を参考にした千葉市人事委員会の給与勧告に基づいて職員の給与もカットされますので、その結果と来年度予算の動向も見ながら適切に対応していく旨を説明しました。

●退職金は4年後の状況次第
また、退職金については私は今の千葉市の財政状況などを考慮し半額にすることが妥当だと判断して提案していますが、4年後の支給ですから、その時大きく状況が変わっていれば、また適切に対応していきたいと考えています。
ただし、これ以上カットするというのは「そもそも特別職と退職金の関係はどうあるべきか」という話になり、市長の退職金だけに留まらず、これは特別職の給与体系全体の話に波及するでしょう。

●地域手当はちょっと違う話
地域手当については、これは特別職のみならず一般職も含めて支給されているもので、地域における民間の賃金水準を基礎とし、地域の物価等を考慮して支給している手当で、民間でも支給されている類のものです。
これを市長・副市長だけ廃止するというのは根拠が不明で、それこそパフォーマンスになってしまいかねませんので、整合性を考えると特別職全体の地域手当を無くすということにおそらくなるでしょう。ただ、そうした時に一般職の地域手当に影響が出かねませんので、特別職・一般職の給与体系そのものを論じる中で方向性を決めていくレベルの話だと考えています。議論そのものは否定しません。

6月議会の議論を聞いていて「カットするのは抵抗が強いなあ」と感じていましたが、まさか「もっと削減しろ」と言われるとは思いませんでした。不思議な気持ちです。
いずれにしても「財政が厳しい中、トップ自ら財政再建への強い姿勢を示す」という私の目的を議会の多くが認めて頂けるようになり良かったと思います。

※9/4追記
肝心なことを書き忘れていました(当たり前のことだったので)。
前回出した議案の内容を変える気はありません。
posted by 熊谷俊人 at 22:15| Comment(10) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月01日

来年度予算のあまりの厳しさ

来年度の予算編成に向けた検討をしていますが、正直かつてないほど厳しい状況です。
詳細は秋くらいに明らかになりますが、政令市になってから一気に増やした借金の返済が一気に来ていることに加えて景気悪化による税収減がダブルパンチとなり、もはや首が回らない状況です。私の前の市長まで積極的に投資をしてきたツケが私の任期で一気に来ることになっていて、これは出馬する時から覚悟していたことでした。

財政局もそうでしょうし、私自身も議員時代から相当な危機感を持っていましたが、はっきりと数字で見え始めています。
6月議会では「熊谷市長は財政危機をあおり過ぎている」と議員から批判されましたが、当然そんなことはなく、まだまだ財政危機の説明が足りないくらいです。

今後は早期健全化団体に転落する実質公債費比率25%ラインでの攻防が予想されます。
ただし、私としては25%を上回らないように後に禍根を残す非常手段を取って辻褄を合わせるくらいであれば、潔く25%を突破して「抜本的対策で早期脱出をする」と宣言する方が後々の千葉市のために良いのではないかと考えています。

いずれにしても極めて厳しい状況です。
私は今大型開発を一つひとつ見直してムダをカットしていますが、この見直しは2〜5年後に生きてくるものであって来年度予算には間に合いません。さらには、千葉市はここ数年、突然の経費節減のあおりで公共施設の老朽化が著しく、このまま現場の経費を切り詰めるにも限界が見えてきています。

財政局も相当追い詰められています。
やれることは全て今すぐやらないと持ちこたえられない状況で、私の給料も早く削減したいのです。残念ながら、前の議会では一部会派から了解を頂けなかったので、説明を尽くして財政再建にご協力をして頂きたいと思います。
posted by 熊谷俊人 at 08:43| Comment(9) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月29日

徴収率向上に向けて取り組んでいます

この日のスケジュールはこんな感じです。

・市の施設を任せる指定管理者を選定する委員会のあり方について
・インターンシップ事業オリエンテーション
・新聞社インタビュー
・全国公立学校教頭会の式典に出席
・ランチミーティング
・市税徴収担当職員の表彰式
・表敬訪問2件
・第三者調査委員会準備プロジェクトチーム
・道路関係の打ち合わせ
・土地開発公社の状況について
・職員との懇親会

●インターンシップの重要性
大学3年生を数十名受け入れて市の職場で1週間ほど働いてもらうインターンシップをこの夏行います。市役所の仕事を身近に感じてもらうとともに、優秀な学生にそのまま千葉市の職員試験を受けて欲しいという思いもあります。
冒頭挨拶で「職場でどんどん意見を出して欲しい。市民・学生目線での素朴な疑問が市政を変えることもある。働いている間は行政のプロという自覚をもって臨んで欲しい」ということを申し上げました。インターンシップ終了後、意見交換をしたいと思っています。

●初めて森田知事と揃って挨拶
森田知事も私も就任してしばらくが経過し、様々な式典にお互い出席していますが、全国公立学校教頭会の式典で初めてともに出席し、挨拶をしました。
私もノー原稿の時が多いですが、森田知事の挨拶ももちろんノー原稿で、身振り手振りも含めて人を惹きつける話しぶりに「さすが役者だなあ」と感心してしまいます。

●徴収率向上に向け職員を表彰
千葉市は徴収率が政令市でワースト1位の市です。この間、徴収率を何とか上げようと必死に対策を重ねてきた結果、ようやくワースト2位の背中が見えてきた状況です。
徴収率が低いということは真面目に払っている人がバカを見る不公平な状況にあるということです。徴収率向上に向けた施策は、財政が厳しい中で本来払ってもらうべき人に当然の負担をお願いする非常に重要な施策です。もちろん法に則り、払えない人には分割払いなどの措置を行うことは言うまでもありません。
景気が悪く徴収員も相当苦労しています。こうした市の屋台骨を背負っている人たちを市としてしっかりと評価していくことでモチベーション向上を図り、最終的には市税収入の増加を目指していきます。
posted by 熊谷俊人 at 22:56| Comment(6) | TrackBack(0) | 財政・予算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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