10月8日に千葉大学で行った私の講義について後日報告です。
これは千葉大学の教養展開科目「地域を知る・地域とかかわる」の中の第2回目の講義として私が行ったものです。千葉市に住む、もしくは千葉市に通う学生の皆さんに少しでも自分の経験などを伝えられればということで喜んでお引き受けしました。
講義の主な内容としては、
・今なぜ地方分権なのか、理由は様々あるが、一つに成長社会から成熟社会へ移ったことも挙げられる
・今までは高度成長の中で増え続ける予算の配分にそれほど不満が出るわけではなかったが、今後は増え続けない予算の中で新規事業を実施するためには既存事業を縮小廃止しなければ不可能
・そうなると誰に泣いてもらうことが社会として一番マシかという優先順位をつける必要が出てくる
・そうした時により現場に近い方がニーズの把握や細かい対応がしやすく、納得感のある結論を導きやすい
・これからは自らが自らの判断と責任において諸課題に取り組める地域主権改革が進んでいくことになる
・しかし、分権とは国⇒県⇒市で終わるわけではない。市⇒地域、市民まで分権をして初めて完成となる
・上からの分権ではなく補完性の原理に基づき、公の仕事をどの主体が担うことが社会全体として相応しいかという議論が必要
・そのためには「自治」という言葉を私たちはもう一度考え直さなければならない
・この社会は全て自治に基づいて運営されており、自分達の居場所は代表者とともに自分達で考え決定している(少なくともそういう制度になっている)
・しかし、私たちはこの自治という認識はあまり持っていないのではないか
・例えばこの大学において学生自治ということを学生は認識しているか。卒業した学校において生徒会を含めた学生自治に参加したことや意識したことはどの程度あるか
・授業料や税金を払えば後は関係ない、リーダーを自分が選んだ自覚がない、これでは自治は形骸化する
・自治をせず公の大半を行政に任せることは最終的には高コスト、柔軟性に欠く公共を作り出すことにもつながり、結局は住民が損をする
・成長時代は終わった今、私たちはもう一度自治の気持ちを一人ひとりが持つ必要がある
・例えば、自治会や民生委員、社会福祉協議会、保護司など、行政以外に公を担っている団体や人たちの役割についてどの程度知っているか
・街路灯を自治会が払っていることを知らないために自治会費を払う理由が分からない人も多い
・是非、この公共が行政の手によって維持されているのではなく、行政も含む多くの公共の担い手によって維持されていることを知ってほしい
・この千葉市は千葉大学と包括提携をしており、現に多くの学生が地域との連携事業を行っている
・私たちは千葉大生のそうした活動を様々な形でバックアップしていくので、4年間の学生生活を過ごすこの千葉市と何かつながりを持ってくれれば幸い
他にも色々話をしましたが、具体的な事例を紹介しながら、公共がどのように成り立っているか、そしてそれは行政だけではなく、そこに住む市民の人たちの手によるものであること、を説明しました。
優秀な学生を前に講義をするのは恐縮でしたが、自分が学生時代に知っておきたかったことを私なりに伝えたつもりです。