始興市では市長と会談したほか、電子自治体サービスの状況について説明を受けました。


韓国では地方自治体の各種システムを統合化し、全国一律のサービスを受けられるようになっています。国民一人ひとりが持つ共通番号とカードによって個人認証が行われ、全国どの自治体の窓口でも住民票などが受け取れることはもちろん、24時間稼動している自動交付機のほか、日本よりも遥かに多くの手続きがオンライン上で処理できます。オンラインの場合は定められた仕様のプリンターで自宅で印刷ができ、手数料が無料です。
行政側にとっても一つの統合システム上で様々な業務が処理でき、ワンストップで住民サービスを提供できます。
日本では共通番号が無いためにAさんという住民と向かい合った時、住民票・戸籍・健康保険など個別サービス毎に情報を持っているため、一元的にその住民の情報が分からず、個々の端末で確認・処理をする必要があります。また、住基カードですら規格が別のため他自治体では使用できないほか、引っ越した場合はもう一度カードを作り直す必要があります。
また、各自治体が別々にシステムを構築するため、国の制度が変わる度に同じ変更にも関わらず各自治体が個別にシステム改修を行い、日本全体で見れば莫大なシステム改修費を払っている状況です。そのため、自動交付機も共通化できず、各自治体が個々に自動交付機を設置し、他自治体の住民は利用することができません。
これは韓国が少し前までは中央集権国家であり、国の下に地方自治体が存在していたため一気にシステム統合できたということ側面もあるかと思いますが、いずれにせよ統合効果は大きく、行政コスト・住民サービスともに韓国は世界的に見ても先進的な国となっています。
なお、共通番号のカードも見せて頂きましたが、生年月日6桁(yy/mm/dd)+7桁(最後がCD)の組み合わせとなっており、カードで年齢が分かるようになっています。裏面には住所記入欄(運転免許証の裏面と同様)と拇印。自動交付機などは指紋認証でした。
番号自体は出生時に付与されていて、カードは18歳になった時に発行されます。韓国ではお酒やタバコは18歳からで、このカードを提示して購入することになります。アダルト系のものを買う時もカードの提示が必要で、ネット上でも同様に番号を入力するそうです。選挙の投票時もこのカードで本人確認を行います。カードを紛失しても全国どの自治体でも発行が可能で、発行手数料は5,000ウォン。
このカードが韓国の国民にとっては身分証明書となるため、運転免許証は日本と比べるとシンプルな作りでした。住所は共通番号によってしっかり管理されているため、住所変更しても警察署に届け出る必要もありません。
また、全国の病院がネットワーク化されているため、例えば旅行先で病院に行っても自分の名前と住所を言ってネットワークへのアクセスを許可すれば、自分の医療情報を病院側が確認して診察することができるそうです。
共通番号を何でも本人確認に使用するため、民間からの情報流出事件が最近相次いでおり、韓国の国民の中にも抵抗を感じる人も出始めているようです。9月末から個人情報保護法も施行されるようで、少し歯止めがかかるのかもしれません。
ちなみに韓国は日本のシステムを真似ていますのでハンコ文化もあるのですが、今ではすっかり使う機会が減ったそうで、銀行なども基本はサイン(署名)でハンコを使うのは銀行の口座を作る時くらいだそうです。韓国大使の方は「日本に外交官として赴任すると外国人登録が完了するまで時間がかかる上、登録作業が完了するまでは銀行口座も携帯も持てず大変不便で不評」と言っていました。
私は始興市では統合システム化によって地方自治体のBPR(業務改善)がどのように行われたのかを質問したかったのですが、そもそもシステム導入とそれに伴うBPRが全国的なレベルで議論・導入されたため、個々の自治体ではそれほどノウハウがあるわけではなさそうでした。
後ほど説明しますが、システムが統合化されているため各自治体が持つサーバ自体も少なく、情報システム担当職員は日本の地方自治体と比べると少ないように感じました。その分、情報政策を考える部隊に集約化されている気がします。
視察終了後、副市長以下と昼食。韓国の伝統料理屋で、ハスを使った各種料理のほか、ホンオフェというエイを発酵させたものや納豆スープなど、独特の匂いと味がする料理も食べることができました。特にホンオフェは話には聞いていましたが、アンモニア臭がきつく、現地料理を何でも食べてきた私でも二つ目に箸が進みませんでした。
副市長は道から派遣されてきた職員で、韓国では副知事や副市長などは議会の承認事項ではないとのこと。また、知事や市長が任命するというよりはそれぞれ上位の行政府から派遣をされるケースが多いようで、微妙な緊張関係を生み出しているようです。
昼食後、高速道路を3時間ほど走り、日中韓地方政府交流会議の会場である全羅北道の扶安郡のホテルに到着。ここが国際会場の開催場所なのかと疑問に思うほど大自然の真っ只中でした。
この日は各国政府代表の顔合わせと開会式、レセプション。私も国際会議は初めての経験でしたので一つひとつが非常に勉強になり、参考になりました。
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詳細な説明にまだ行った事がない韓国の風土や民族性、そして先進的な住民サービスの利便性を想像する事ができました。
また副知事や副市長が上位の行政府から派遣をされるケースが多いというのは適度な緊張関係等大変参考になりました。